仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
ほぼワタクシごと、たまにお仕事。

戒名は変ることも

2007-12-10 14:15:55 | 仏事のあれこれ

以前、戒名に関する話題が登場しましたが、

戒名は変ることもあります

本位牌をつくったにも関わらず、「戒名が変ったので・・・」と

作りなおしに来られる方もあります。

しかも、よくよく観察していると、浄土宗の方が多い。

????

実はこれ、浄土宗特有の法会、「五重相伝」によるところが

大きいようです。

「五重相伝」とは数日間をかけて法然上人の教えを伝えるための

法要。これに参加した人は、「浄土宗の教えを受けた人」ということに

なります。

そして、「教えを受けた」しるしとして「戒名」を頂くことになります。

余談ながら、「戒名」とは本来仏弟子となって教えを受けた人に

与えられる名ですから、ここで戒名を与えられることは

本来の意味にかなっています。

(もちろん、地方や各お寺によって多少の違いはあるでしょうが・・・)

 

では、何故、この「五重相伝」と既に亡くなった方の戒名が関係あるのか?

それは「贈五重」という方法によっています。

つまり、生前「五重相伝」に参加できなかった人のために、

遺族が「五重相伝」に参加して、亡くなった人のぶんまで教えを受け、

それを「贈る」のです。一種の追善となります。

こうして亡くなった人が「五重を受けた」とみなされ、

戒名が与えられ、

結果、戒名が変ったので位牌を作りかえる・・・・・ということに

なるのでした。詳しくは和歌山県浄土宗青年会さんのHPをどうぞ。

 

ちなみに、戒名を彫り変える場合、

位牌全体を新しくするのではなく、札部分(文字の彫ってあるところ)

だけを新しいものに差し替えることができ、このほうがリーズナブルです。

彫った文字を消して、上から彫り変える、ということは

できませんので、くれぐれもご注意を。

 

 


迦陵頻伽(がりょうびんが)

2007-12-09 13:45:18 | 仏事のあれこれ

以前、浄土にいると考えられている六種の鳥、というのを

紹介したことがあります

その中で、あいにく例が見つからなかった、

迦陵頻伽。

写真の、ピンクの矢印の部分がそれです。

日本の仏教美術では「菩薩の顔に鳥の身体」という姿で描かれることが多く、

妙なる声を発する、とされています。

 

最近入荷した仏像の光背に彫られていました。

仏像の光背には形状、意匠ともに様々なものがありますが、

このように、それぞれに違った姿をした小さな仏様が

彫られたものは「飛天光背」と呼ばれます。

光背は薄い上に、小さな部分をそれぞれに彫り出さなければならない

細かい作業が要求されます。

それだけに、それに見合った価値となります。

 

お寺のお仏像などにも時々このタイプの光背のものがあります。

ちょっと気をつけてみるとまた新鮮な発見があるかも。

 


柘植製、鬼面台座の阿弥陀様

2007-12-08 13:34:28 | 商品のこと

この阿弥陀様は柘植製です。

仏像としては白檀が最高だけど、色白できめが細かく

精密な彫りのできる柘植も人気です。

その精密ぶりは「流紋」とでも言いたくなるような、

光背の彫りの美しさでもわかっていただけると思います。

そして、「鬼面台座」の由来となっているのが、こちらの台座。

赤いマルの部分。さながら四天王に踏みつけられる邪鬼よろしく

ここにこうして鬼が彫られているのです。

余談ながら、この阿弥陀様の台座。

一般に、「蓮華座」と言われるように、水面から伸びて

花開いた蓮の花をかたどっています。

だから、通常は台座の一番下の部分は「水面」を表す曲線の彫りが

施されていることがほとんどです。

 

そして、さらに注目なのが、この目線。

 どこから見ても、

こちらを向いておられるような、迫力の目線。

「玉眼入」という技法で作られています。

これは、仏様の目にあたる部分を内側から彫り、

水晶片(又はガラス)と綿(違う素材の場合もあります)をあてがって、

人間の眼球そっくりの構造で眼の部分を作り上げる技法。

 

ともかく細部にまでこだわって、仕上げられた阿弥陀様です。

それだけに、それなりにいいお値段だけど、

白檀製とかに比べるとお手ごろだし、何と言っても

一生に一度、どころか子供や孫の代まで手を合わせるかもしれないもの

ですもの、ぜひぜひ、お勧めしたいお仏像です。


お墓と、カラスと、「帰る」話。

2007-12-04 13:38:26 | よろづ考察

最近ではどこの墓地でもカラスの被害に悩まされているようです。

お供え物を狙ってやってきたカラスが、

お花を引っ張り出して散らかした、とか

線香立を取って行った、とか・・・・・。

墓地によっては「お供え物はお持ち帰り下さい」というところもあるようです。

 

そんな中、カラスの被害にあわなかったお墓の話。

年配の知人から聞いた話です。

そのお墓は昔ながらの墓地。

山間にある、いわゆる「野墓」というようなお墓で、

どのお墓もやはりカラスに荒らされていたそうです。

 

でも、最近納骨を済ませたばかりのお墓だけ、

たくさんのお供え物にもカラスは見向きもしない

そのお墓には事故のため遠方で亡くなられた方を葬ってありました。

カラスに荒らされないお墓を不審に思った家族は、

はっと気がつきました。

 

そして、事故の現場にお寺様と一緒に出向き、

改めてお経をあげてもらって、

「さぁ、帰りましょうね」と声をかけたとか。

 

以来、そのお宅のお墓もカラスがお供え物を取っていくように

なったそうです。

その地方の人は、こんなことを言います。

「お墓に入るべき霊魂がちゃんと帰ってきてないから、

 カラスもわかって、近寄らなかったんだよ。

 家族がなくなったら、遺体を搬送する時、必ず

 『さぁ、家へ帰ろうね』って声を掛けてあげないと、魂が迷うんだよ

 

信じる、信じないは別としても

家族の最後に、「家へ帰りましょう」って声を掛けてあげる、

これはとても優しい習慣ではないかと思います。

 

 

 

 

 


位牌の楽しみ

2007-12-02 13:33:04 | 仏事のあれこれ

あるお寺から修理を依頼されたお位牌

数本あるうちの3本は写真のような形で「触れなば落ちなん」というよりも

「触れなば崩れん」という風情。

さらに修理を請け負ったものの、上部に入れられたらしい

家紋や文字の判読がかなり困難な状態。

最も文字がわかりにくかったのが写真のお位牌。

でも「修理」するからには修復後に文字までちゃんと復元しなくちゃ

話にならない。確認あるのみ!!!というわけで

ためつすがめつ位牌を囲んでしばしの評定。

 

上部の家紋はどうやら「葵の御紋らしい。

(そもそも、なんでこんな片田舎に「葵の御紋」のお位牌が!?!?)

と、悩むスタッフ。

さらに、中央にやや大きく彫られた文字は「○○大権現」と読める。

他の9つの文字列は全て「○○院殿」。

でも○○部分の文字が判読しにくい。

!?!?!?

葵の御紋に大権現、とくればこれはひょっとして歴代将軍の

戒名を刻んだお位牌なのでは?????

 

ありました、ありました。

徳川家康の「東照大権現」に始まって

2代秀忠が「台徳院殿贈正一位大相国公」(位牌の右端上)

3代家光が「大猷院殿贈正一位大相国公」(上右から2番目)

この調子で10代家治まで。

やはり歴代将軍の戒名を刻んだお位牌のようです。

 

一緒にお預りしたお位牌の中に「浦氏歴代之霊位」というものもありました。

浦氏は江戸時代、この近辺の領主だった家だそうです。

おそらく浦氏は自分の菩提寺に

先祖代々の位牌だけでなく、主君(毛利氏)のそのまた主君である

徳川歴代将軍のお位牌までつくって、供養していた、ということでしょう。

この位牌をつくったときの浦家当主の実直な人柄が

思われます。

 

ひょうたんから駒。

意外なところで思わぬ歴史のお勉強、となったのでありました。

 

 

 


「ズームインサタデー」で

2007-12-01 13:24:11 | 商品のこと

時計代わりに見ている朝の情報番組。

今朝の「ズームインサタデー」は紅葉の京都特集でした。

このテのものはいつもまぁ、似たりよったりなのですが・・・。

その中で、人気のお土産物スポットとして、

お香で有名な「松栄堂」さんが紹介されてました

でもって、その多彩な商品のなかでも人気なのが

お部屋焚き用のお香、「堀川」

なのだとか。

各地の料亭などで焚かれることから、女性の人気に火がついた、

と紹介されていました。

そういえば、当店でも「堀川指名買い」のお客様が何人かいらっしゃいます。

もちろん堀川に限らず、「芳輪」のシリーズ、当店でも扱っております。

スティック型の他に渦巻き型もあります。

 

余談ながら、「堀川」はちょっと甘めの香り。

雅楽演奏者として有名な東儀秀樹はステージの時は

すっきりとした沈香系の「天平」を焚かれるそうです。

 

そろそろ冬本番。

空気が澄んでお香の香りが映える季節となりました。