季節と流行に流されやすいタイプなので
毎年夏になるとやたらとホラーやらミステリやらが読みたくなります。
暑いわ忙しいわで集中力に欠けるから楽しんで一気に読めるものに
走るのかも。
で、道尾秀介の「骸の爪」を手に取りました。
この作者のものは初めてだったんだけど、ぱらぱらめくって見た時に、
「仏師」とか「千手観音」とかの言葉が目に入って
商売柄、惹かれてしまったわけです。
読みやすくテンポのいい展開でほぼ一日で読了。
感想は、道尾ファンには申し訳ないけれど「なーんだ」って感じでした。
「謎解き」のための「事件」というか、ともかく
仏師とか霊能力者だ僧侶だいわくつきの仏像だ、と一癖ありそうな
素材がずらりと並んでいながら、どれも深みが足りないような気がしました。
やたら観光地の解説が挿入される、
2時間もののサスペンスみたいで。
仏像にしても、「仏像辞典」的な解説に終始していて
「別に、仏師や霊媒師じゃなくてもこのくらいしゃべるんじゃない?」などと
思ってしまいました。もっと肉厚の人間像が読みたかった!!
せっかくだから京極夏彦の作品のごとく、
(ま、プロとしては他人のまねは出来ないでしょうが)徹底的に登場する仏師に
「仏像を彫る」ということについて語らせて欲しかった・・・と思いました。
とにかく、期待しただけにちょっと残念!!な読後感でした。
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