先日、スタッフが某所から表装のためにお預かりしてきた2幅の絵。
チベットの仏画、だそうです。
「タンカ」とも呼ばれるこれはチベット文化圏で作られる
布に描かれた宗教画です。
実物を見るのは初めてです。
セレモニーの時に寺院や屋内の祭壇に掛けたり、
お守りとして自分の守護尊の描かれたタンカを持って旅に出たり
していたそうです。
このあたり、日本の仏軸と同じようなものでしょうか。
現在ではお土産用のタンカも多いそうですが、宗教目的の作品は
「儀軌」と呼ばれる色や構図の取り決めがあるそうです。
そして、あくまでも宗教目的なので描いた作者の名前が入ることはなく、
開眼の時、背面にマントラが書き込まれるのみ、だそうです。
それにしても、思わず息を呑んでしまうような鮮やかさ。
主として岩絵の具が使われるそうですが、なんとも大胆で鮮やかな色彩。
「日本人は『水』の表現を多く持ち、エスキモーは『白』を表現する言葉を
多く持つ」と言われるけれど、環境が感覚を育てるなら
チベット文化圏の人々のこの色彩感覚はどういう環境が育てたのかしらん?
ちなみにこの絵に描かれているのは「十一面観音」だそうです。
もう一幅は「軍荼利明王」。こちらは次の機会にアップします。