仏壇販売人、ぶつぶつ日記

山口県の隅っこから
仏壇販売人のたわ言、繰言、独り言。
ほぼワタクシごと、たまにお仕事。

「跡取り」と「仏壇」2

2006-03-10 17:28:59 | 仏事のあれこれ

うんざりするほど叫ばれている
少子高齢化の影響はお仏壇にも
現われてます。

一家に2つのお仏壇は縁起が悪いの?」
いうお尋ねを度々いただきます。

姉妹が嫁いでしまって、
お仏壇をみる人がいない、
空家にお仏壇を置いている・・・。

これはお寺様などでも
賛否の分かれるところ

「ご本尊さまが何体もいらっしゃるのはおかしい」(否)

「お仏壇が2つあると法要等も煩雑になって大変」(否)

「『みる人がいない』という状態が既に
 不幸な状態なので、2つ仏壇を置いたから
 縁起が悪い、ということはない」(賛?)

私個人としては「問題ない」と思っています。

「仏壇屋」だから、ということを差し引いても、

たとえ他家に嫁いでいても、娘が親を
「祀ってあげたい」と思うのはごくごく自然なこと。

立派でなくても、部屋の隅でも、
暗い空家に放っておくよりははるかにいい、と
思っています。

それにご主人にしても、奥さんを大切に
思うなら、奥さんの御先祖さまも大切に
してくださるはず。

人間、木の股から生まれるわけじゃなし。

だから、私はこの件について尋ねられると
「一家に2つお仏壇があると縁起が悪い、なんて。

 親に感謝し、祀ってあげたいと思って

 精一杯やってることで、不幸になるとは思えない。

 ましてや、祀っているのは

 自分の親・先祖。自分に一番近いはずの仏様
 (まちがった解釈かもしれないけれど
  そう思う方が解かり易いと思うので)

 頑張ってる子孫にマイナスの結果をもたらすなんて

 思えない。どうぞ、大事にしてあげてください」

とお返事します。

正否よりも、それでお客様が納得して、安心して

御先祖さまを祀っていただけたらよいと思っています。

(御先祖さまではなく、ご本尊さまがメインなのだ、という

 教えもあることは100も承知ですが、一般的な感覚としては

 やはり『仏壇=御先祖様』が強いようです)

どうせ食べるなら「おいしい」と思って食べるほうが

栄養になるように、

同じ祀るなら、ゆったりした心で安心して

祀っていただきたい。

少なくとも、それで心の平穏の一部分は

満たされると思います。

もちろん、こういうお返事をするのは
他の条件が整っているにも関わらず、
俗信が気になって迷っている
お客様に対してのみ。

すでに永代供養に決めてある、とかその他
迷いのないお客様には余計なお世話ですから
言いません。

また、永代供養か、自宅で祀るか迷っている方には
まずは、お寺様とのご相談をお勧めしています。

お寺様を「お医者様」とするなら
仏壇屋は「町の薬屋さん」のようなもの。

相談にものるし、アドバイスもしますが
「診断」は分を越えています。