二胡工房 光舜堂

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二胡のメンテナンス(保存版)4

2013-11-12 09:40:01 | ■工房便り 総合 
☆千斤

 千斤は弦を締め上げて駒を皮に押し付ける役目をします。
 それと共に、開放弦の調弦を決める働きがあります。
 
 固定千斤と糸千斤があります。
 固定千斤はプラステックの柱部分と金属のリングがありそのリングの中に弦を二本通して弦をおさえます。
 固定千斤の場合金属のリングで弦を押さえますから開放弦の時にどうしても金属音が出ます。
 それを押さえる為にゴムのチューブやフェルトなどを弦と金属リングの間に差し込みます。
 固定千斤の良さは、このゴムのチューブを時々取り換えるほかはほとんど何もしなくて済むところでしょう。
 反対に良くない所は、皮が伸びてきた時に、調整しきれなくなることです。

 糸千斤は、基本的には伸びにくい糸を使います。
 ですから、ベストはポリエステル系の糸が一番伸びにくいです。
 教室の中には、麻や、木綿などの糸を進める先生もいますが、始終ご自身で千斤を結び治せれば問題は無いのですが、
 伸びやすく切れやすい麻などは、2,3ヶ月もすると伸びてきますし切れても来ます。
 木綿や麻などの伸びやすい物を千斤に使う時には、瞬間接着剤などで、千斤のサイド(弦に当たるところ以外)を硬化させると、大変役に立ちます。
 昔はこれら伸びやすい物は、蝋をしみこませて使っていました、今でも時々見かけます。

 糸で、弦を締め上げる時、いろいろな方法があります。その巻き方次第で音色が少し変わったりもするからです。
 これは好みとも言えますから、いろいろ試してみて下さい。
 
 ご自身で千斤を巻く時に一番の問題は、弦を締め上げていき棹からどのくらいの距離を取ればよいかが決定しにくいことです。
 いろいろなブログや本やCD等にも出ていますが、楽器に合わせてこの棹からの距離と言うのは決めていくとは言っていないのが問題です。
 
千斤で一番大切なのがこの事だからです。
 
この棹からの距離は、駒の高さ、或いは木軸の長さにも関係します。
 要するに駒をどのくらい皮に押し付けるかは木軸の長さや駒の高さにも関係してきます。

 距離を取り過ぎると、(例えば22ミリくらい)駒が遊んでしまい雑音の原因にもなります。

 しめ上げ過ぎれば、(例えば12ミリ)音は強く出ますが、高温に雑音が出やすく音が伸びなくなります。

又、皮が伸びてきた時には、振動が強くなりますので、駒の高さを高くしますがその時には、千斤の棹からの距離と言うのは、試しながらやってみないと、皮の振動について行きにくくなります。

経年変化に伴って、千斤の締め方と言うのは変わってきます。

夏場や冬場の季節の変わり目などでは、先月までは何の雑音も無かったのにと言う楽器が、なんだか雑音が出てと言うのは比較的、この皮の緩みや緊張に対応していない場合も多いのです。


本屋やネットやCDなど、見ながらやることも大切ですが、この駒を弦がしっかりとそして適度な強さで押さえこむ感覚がわかると良いですね。。

又千斤の巻く回数や巻く形などいろいろ本にも出ています。

正直ってこれは好みです巻く形は4種類ぐらいあります。

棹に沢山巻きつければ、棹が鳴らなくなります。

柔らかい糸で締めつけるのですから、音は吸収されてしまいます、するとなんだか鼻が詰まったような音になります。

巻く回数が少なければ楽器は良くなりますが、開放弦の時に跳ね返りの振動が出てしまい、音が暴れます。

木軸がガタツキのある時には、巻く回数を増やすと、開放弦での雑音も消えますが、音が伸びにくくもなります。

このように千斤の巻き方ひとつでも音の出も、音色も変わってきます。

これらを一つ一つ楽器に合わせて巻いて行くのが、調整の基本です。

 千斤の絞め方を、皮の弾力の変化に合わせること。
 
 木軸の長さに合わせること(メーカーによって長さは違います)

 駒の高さに千斤の絞め方を合わせるか、或いは駒の高さを削り合わせるか。

 駒の上下もきちっと合わせると言うこともあります。

 木軸のガタツキを削り合わせる。

これらが調整です。

 
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