☆椅子☆椅子☆椅子☆

家具のことやらデザインのことやらイロイロと。思いつくまま。

私も高級車くんとは友達になれない。

2010年07月27日 05時07分04秒 | Weblog
 実家にソファというものは存在しませんでした(今もない)。
 子供のころ目にするソファとはお金持ちの家の応接間にあるもの、そんな認識でした。普段使われていない玄関横の薄暗い部屋にあるもの。

 そんなんで、ソファに対する審美眼のようなものは一切養われることなく大人になりました。

 というわけでこういう風に言われると全く反論できません。

 以下引用。

 老人が留守にしているあいだに二回か三回休憩時間があったと思う。休憩時間には私はソファーに寝転んでぼんやりと考えごとをしたり、便所に行ったり、腕立て伏せをしたりした。ソファーの寝心地はとても良かった。固すぎず柔かすぎもせず、頭の下に敷くクッションの具合もちょうど良い。私は計算に出向く先々で休憩時間になるとそこにあるソファーに寝かせてもらうのだが、寝心地の良いソファーというのはまずない。大抵はいきあたりばったりで買ってきたような雑なつくりのソファーだし、見栄えの良い一見高給そうなソファーでも実際に寝転んでみるとがっかりしてしまう場合がほとんどなのだ。人々がどうしてそんなにソファー選びに手を抜くのかよくわからない。

 私はつねづねソファー選びにはその人間の品位がにじみ出るものだと – またこれはたぶん偏見だと思うが – 確信している。ソファーというものは犯すことのできない確固としたひとつの世界なのだ。しかしこれは良いソファーに座って育った人間にしかわからない。良い本を読んで育ったり、良い音楽を聴いて育ったりするのと同じだ。ひとつの良いソファーはもうひとつの良いソファーを生み、悪いソファーはもうひとつの悪いソファーを生む。そういうものなのだ。
 
 私は高級車を乗りまわしながら家には二級か三級のソファーしか置いていない人間を何人か知っている。こういう人間を私はあまり信用しない。高い車にはたしかにそれだけの価値はあるのだろうが、それはただ単に高い車というだけのことである。金さえ払えば誰にだって買える。しかし良いソファーを買うにはそれなりの見識と経験と哲学が必要なのだ。金はかかるが、金を出せばいいというものではない。ソファーとは何かという確固としたイメージなしには優れたソファーを手に入れることは不可能なのだ。
村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上』p.77より


待ちの姿勢で

2010年07月18日 21時19分36秒 | Weblog
 アンテナ問題で揺れていますね、iPhone4。ユーザーでもなんでもない私には関係のないことなのですが。でもなにはともあれ影響力はすごいです。
 先日日経新聞一面下段の「春秋」にそのiPhoneやiPadについての言及がありました。観点はデザインや技術の寿命。でコメントとして登場したのは西堀晋氏。「デジタル製品の技術進化は早い。寿命もある。それでもずっと捨てたくない、手元に置きたいと思えるデザインを目指す空気がアップルにはある」とのこと。とても素晴らしい「空気」です。とにもかくにも西堀氏はアップルに移籍されてからも活躍されているようです。

 ちなみに西堀氏のデザインの椅子は例えばこんなん。


 さてわれらがauから販売されたis02をいじってみました。エクセルの使い勝手がわたし的ポイントなのですが、やはりこの大きさでは使いずらい。ウィンドウズ的iPadの登場を待つことにします。


追記:
先日亡くなった友人宅に本日訪問しました。お通夜にも出ましたが(過去経験中最大の式だった。外人さんもいたのも初めてだった。)今日友人のお母さんとゆっくり話してやっと私も落ち着きはじめました。たいへん長居してしまいましたが、訪問して良かった。ありがとうございました。Rちゃんもありがとう。


夜間公開講座

2010年07月09日 19時46分10秒 | Weblog
 昨日札幌医科大学の夜間公開講座に行ってきました。お題は「よい椅子とわるい椅子~あなたは楽に座っていますか?~」というもの。講師は札幌医科大学保健医療学部の内山教授。



 会場に到着すると客席には中村昇氏の姿がありました。いままで展示会などで何度かお見かけしていましたがちゃんと挨拶をしたことがなかったので声をかけて名刺交換。

 さて講座の内容は脊柱の湾曲の意義から始まって頸椎・腰椎のコントロールの重要性、それを支える骨格筋の話と進みます。その後シーティングクリニックの現場の話題から現在のシーティング理論という流れ。

 現在のシーティング理論といっても特段目新しいものではなく、骨盤を安定させることにより”能動的”な四肢体幹の動きを引き出す、という考え。ちなみに昔の理論というのは体幹を固定・受動的に姿勢を維持しようと考えるもの。

 んー、アカデミックな香りがするにはしますが、意外性のある内容の講座ではなかったなぁ。残念。

 意外性といえば。講座の終わりにとある椅子を紹介されました。その椅子は内田洋行の「パルス」という椅子。北海道大学と北海道立心身障害総合相談所との共同開発の椅子なのだそうです。悪くないデザインですが、特にすごくもないと思うんだけど。まぁこんな講座で特定のメーカーの特定の商品を勧められるとは。なんとも意外。




 追伸:パルスはなんと川上元美さんのデザインでした。知らなんだ。無知は罪。
 2009年度 グッドデザイン賞 受賞