中村歯科

東京都中野区本町3-27-17
http://www.knndc.com/

今シーズンも混合流行の兆し、ワクチン株との反応性が低いAH3亜型に注意

2011年12月14日 | Weblog
今シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出状況をみると、前シーズン同様、AH1型、AH3型、B型の混合流行の兆しが見えている。同時に、現在優位とみられるAH3型では、今シーズンのインフルエンザワクチン株との反応性が低い株も検出されていることから、「特に高齢者や乳幼児の重症化に注意すべき」との警告も発せられている。

 国立感染症研究所・感染症情報センターがまとめているインフルエンザウイルス分離・検出速報によると、最近の5週間(2011年第39~43週)では、AHpdm09は埼玉県で1件報告され、AH3亜型は茨城県で6件、山口県と三重県でそれぞれ4件、神奈川県で3件、兵庫県で2件、東京都で1件が報告されている。B型については、山形系統株が大阪府で1件、系統不明株が茨城県で5件報告されている。

夏季の南半球の流行状況などから、今シーズンも混合流行との見方が主流だ。地方衛生研究所などからのウイルス分離・検出状況の結果は、これを支持するものとなっている。

 その一方で、気になる指摘も拾うことができる。

 1点目は、三重県保健環境研究所からの報告。10月下旬に同県で発生した集団感染例のウイルス株はAH3亜型で、「抗原解析の結果から今シーズンのインフルエンザワクチン株との反応性が低い抗原性であった」と結論している。その上で、「AH3亜型インフルエンザウイルスの動向に警戒し、特に高齢者や乳幼児の重症化には注意が必要である」と警告を発している。

 2点目は、堺市衛生研究所からのB型の株が昨シーズンと違うという報告だ。同県では、第39週と第42週にインフルエンザB型山形系統株が相次いで分離された。昨シーズンはB型Victoria系統が優勢であったが、今シーズンはB型山形系統株が先行したことになる。

 混合流行との見方が主流である中、亜型の株の種類が異なったり、あるいはワクチン株との反応性が低い抗原性のウイルス株が検出されるなど、昨シーズンとは内容が変化しており、今後のインフルエンザウイルス流行状況には、これまで以上に注意する必要がある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高血圧合併の糖尿病患者、1日1時間のヨガで症状が改善

2011年12月09日 | Weblog
高血圧を合併している糖尿病患者が、1日1時間のヨガを行うことで、3カ月後には、収縮期血圧と拡張期血圧、空腹時血糖値のいずれもが有意に低下することが報告された。これは、アラブ首長国連邦Gulf Medical UniversityのN. Shanthakumari氏らが、100人を対象に行った試験の結果明らかにしたもので、12月4日からドバイで開催中の世界糖尿病会議(WDC2011)で発表した。

 Shanthakumari氏らは、2型糖尿病で高血圧の合併症のある35~55歳(平均45~46歳)の100人を対象に、無作為化比較対照試験を行い、3カ月間追跡した。被験者を無作為に2群に振り分け、一方には約60分のヨガを毎朝続けるよう指導し、もう一方の群には何も介入しなかった。ヨガは、体位や身体姿勢が35分、呼吸法が10分、瞑想が10分だった。実施前後に、それぞれ5分間のリラクセーションを行った。被験者は、治療薬は従来通り服用し、食事療法についても介入はなかった。

 試験開始時点では、収縮期・拡張期血圧、空腹時・食後血糖値は、いずれもヨガ群と対照群で有意差はなかった。

 ヨガ群では、空腹時血糖値(平均)は試験開始時の155.86mg/dLから3カ月後の126.63 mg/dLへと、有意に減少した(P<0.01)。拡張期血圧(平均)については、90.57mmHgから85.49mmHgへ、収縮期血圧(平均)も141.71 mmHgから132.23mmHgへと、それぞれ有意に減少した(それぞれP<0.05、P<0.01)。食後血糖値(平均)については、240.31mg/dLから208.74 mg/dLに減少したものの、有意差は認められなかった。

 一方の対照群では、いずれの項目についても、試験開始時と3カ月後では減少は認められなかった。

 Shanthakumari氏は、食後血糖値について、「追跡期間が3カ月と短かったため有意差が認められなかったのではないか」と指摘した。ヨガにより血糖値が低下する機序としては、例えばヨガで用いられる呼吸法に、交感神経緊張を緩和し、副交感神経の活性を促し、コルチゾールを減少させ、ストレスを和らげる効果があることが関連しているのではないか、と推察した。また、血圧減少効果の背景としては、ヨガの瞑想法がストレスを減少させる点を挙げた。

(日経メディカル別冊編集)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする