「竜頭の滝」:湯ノ湖から落差60mの湯滝となって流れ落ち、湯川となって戦場ヶ原を貫流した水が男体山大噴火により流れ出て固まった溶岩の上を210mにわたって流れ落ちる滝で、どこから見てもたいへんな迫力がある。滝の上部を橋の上から見ると、その彼方に中禅寺湖も望める雄大な景色である。またよく整備された長い側道からは、変化に富んだ滝の中間部の姿を楽しむ事ができる。そして最下部の滝正面の姿と滝つぼは、江戸時代までさかのぼる長い歴史を持つ「竜頭之茶屋」の滝見スペースからゆっくりと眺めることができる。「竜頭の滝」の名は、その最下部を竜の頭に、長い流れの部分を胴体にみたててつけられたという。
一つの滝だけでいくらでも時間をかけて撮影を楽しむことができるという点ではとてもありがたい滝だと訪れるたびに思う。とりわけ初夏のころ、薄紫色のトウゴクミツバツツジが滝周辺に咲き乱れる季節はすばらしく、時間のことなど忘れてしまうほどである。初夏だけではなく、毎年のように秋にも真冬にも撮影に通い続けている。
10月18日、19日の奥日光は、最深部の湯元・湯ノ湖周辺では紅葉はまだとてもきれいだったが、不思議なことに標高はやや下がる戦場ヶ原や竜頭の滝周辺ではすでに晩秋の雰囲気で、上の写真でも見られるように紅葉は完全に盛りを過ぎてしまっていた。どういうわけだかよくわからないが、竜頭の滝あたりは毎年紅葉が早いような気がする。