木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

江戸川区実施の空間放射線量調査の結果と評価

2011-06-29 23:50:24 | 地方自治
 6月27日、28日の両日にわたり実施されてきた区内19カ所における大気中の線量調査結果が、今日(6月29日)に公表されました(「区内における放射線量の測定結果について」)。今回の区の調査は、計測地点を2キロメートルメッシュで区切っており、先週実施の4キロメートルメッシュ区切りの都調査よりは、測定地点数においても拡充されました。ちなみに、一カ所ごとの測定地点はそれぞれ3カ所程度をピックアップしていますので(例えば、同じ施設であっても園庭、木陰、砂場など)、実際の測定地点は69地点となります。

 さて、その気になる結果です。

 各測定地点において、都調査の時と同様、地上1mと地上5㎝での測定が行われております。基本的に、放射線物質は地面に落ちていきますので、地上に近いところの測定値が高く出るのが自然です。ですので、とりあえず、より高い値が検出されやすい5㎝のほうの測定結果に注目したいと思います。(案の定、最大値は地上5㎝の地点で観測されていますし。)

 最大の測定値が観測されたのは、鹿本幼稚園と南小岩保育園における0.22マイクロシーベルト毎時(μSv/h)です。この値を、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に規定されている年間推定被ばく線量の限度値1ミリシーベルト(mSv)と比較しやすいように、年間の被ばく線量の推定計算をしてみます。

 計算式は「推定被ばく線量(年間)算出方法 」に分かりやすく説明されています。そのままここにも貼り付けます。以下の計算方法になります。


【測定結果から1年間の積算線量を推計する場合の条件】
○ 自然放射線量を全国平均値0.05マイクロシーベルト/時と仮定
○ 測定した場所に8時間、その場所の木造家屋内に16時間居ると仮定
○ 木造家屋内滞在における被ばく低減効果を60%(係数0.4)と仮定

【1年間の積算線量を推計するための式】

(測定結果-自然放射線量0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)×24時間×365日

(注)1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルト


 よろしいでしょうか。では、上記の0.22マイクロシーベルトを当てはめてみます。

 (0.22-0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)× 24 × 365 = 893.52マイクロシーベルト(μSv)

 893.52ですが、ビックリしないでください。単位はマイクロシーベルトですので、ミリシーベルトにそろえなければなりません。1mSv(ミリシーベルト)=1,000μSv(マイクロシーベルト)ですので、893.52マイクロシーベルトは0.89352ミリシーベルトとなります。区のホームページでは小数点第3以降を四捨五入していますので、0.89ミリシーベルトと記載されています。

 結果、鹿本幼稚園と南小岩保育園では相対的に高い数値が検出されていますが、ICRP勧告の限度値以下ということです。あまり過度の心配をしなくても大丈夫な価であると言えるでしょう。

 ついでですので、私の西葛西の自宅の近くの、しばしば訪問している西葛西中学校での測定最大値0.14マイクロシーベルト毎時(μSv/h)についても、年間の推定被ばく線量を算出してみたいと思います。

 (0.14-0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)× 24 × 365 = 473.04マイクロシーベルト(μSv)
                             = 0.47304ミリシーベルト(mSv)
                             ≒ 0.47ミリシーベルト(mSv)

 このようになります。とりあえずは、即健康被害がると言われるような数値ではないようです。

 ただ、放射線物質は存在する限り、有害な物質です。同時に、地球上に生活する限り、大地から自然放射線を年平均でも1~2ミリシーベルト受けざるを得ないという事実もあります。現在観測されているデータを認識し、今後もアンテナも張りつつも、ストレスをためてしまうほど過度に不安視せぬよう、これからも測定値に注意を払っていきたいと思います。


※このブログを書いたころは、私自身、上記のような考えを示しています。ですが、放射性物質汚染に対する私の考え方は、ブログ記事「『安全宣言』と『危険宣言』はともに慎むべき」を記したころより、変化してきました。現在はパターナリズム的なスタンスには反対です。




江戸川区議会議員 木村ながと
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