内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

路上で拾ったK先生の古ぼけた黒革手帳から ⑤ ― 『神秘的認識、現出と境域』

2018-07-12 23:59:59 | 哲学

 「メランコリーの系譜学」の次の頁の第一行目目には、「Frédéric Nef, La connaissance mystique. Émergence et frontières, Éditions du Cerf, 2018」と著者名・書名・刊行年が記されています。四月に出たばかりの大著です。 私もつい最近買ったばかりです。
 著者のフレデリック・ネフ(1947-)は、言語哲学・分析哲学・認知科学・社会存在論などの分野やライプニッツ研究等で多大の業績を上げている哲学者です。二〇〇四年に刊行された Qu’est-ce que la métaphysique ?(Gallimard, coll. « Folio Essais »)という浩瀚な概論によって、私たちの認識活動一般における形而上学の本来的現実性を現代哲学のコンテキストの中で明らかにしてみせました。
 K先生は、このネフの新著にとても強い関心をもっているようです。書名の下に以下のようなメモが記されています。
 「西洋精神史における神秘的認識の系譜を認識論一般の中に位置づけることで、他の認識(特に科学的認識)との類縁性と異質性とを明らかにし、その経験と認識の正当性と固有の境域を確定することを試みる」
 「ある経験の歴史的連続性を認めることとその歴史的過程に複数の異なった発展段階を措定することとは矛盾しない」
 「創発の可能性を孕んでいる非線形的歴史過程を認めつつ、相互に断絶した複数の閉鎖系を併存させる無限相対論に陥らない歴史的認識論」
 私もこの夏休みの課題図書の一冊として読み始めています。











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