内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

磨けば耀く問いの原石がキラリと光っている ― あるいは、走るという人間の原始的欲望について

2021-07-30 17:30:59 | 講義の余白から

 遠隔集中講義本演習第2日目。昨日同様、15分の休憩を挟んで3時間きっちり行う。この集中講義を始めた2011年から一貫して参加者に課しているのは、毎回の演習後、その日のうちにミニレポートを提出してもらうことだ。翌日の授業はそのレポートについての私の側からのコメントとそれに対する学生からの応答から始まる。遠隔でもそれは同じ。
 レポートとはいっても、きちんと起承転結があるような「お行儀のよい」小論文は求めない。むしろ、そんなものは書いてほしくない。そんな小手先の文章はクソつまらない。そんな体裁のために時間を浪費してほしくない。その日の演習で受けた刺激によって点火された精神状態をそのまま反映しているようななぐり書きの方がいい。なぜなら、そんな風にとっちらかった文章の中に、磨けば耀く問いの原石がキラリと光っていることの方がはるかに多いからだ。
 上っ面を習っただけの西洋哲学の諸概念の模造品の羅列で窒息しかけている君たちの頭脳は、本来、現実の動的な曲線に沿って柔軟な思考ができるようにできている。だから、既得の知識(つまり硬直した死せるガイネンの集合)で直面する問題を上手に処理しようとするな。そんなガラクタみたいな知識(ですらない脳内のゴミ)を捨てろ。それらを捨てたら、今まで見たこともない「景色」の中に立っている自分を君たちは見出すだろう。
 な~んてね、啖呵切ってみたいんですが ― それをやっちゃぁ、オシマイよ、旦那。そもそも、あんた、そんな器じゃねぇだろ。
 それはそうと(これ、メッチャ便利な表現ですよね。だって、それまで話していたこと、全部そっちのけにしていいのですから。だから論文では使えないけど)、ジョギングって、なんか、とても楽しい。昨日も演習直後にほぼ2時間、18,5キロ、今日は1時間20分、13,5キロ走った。ただトロトロ走るだけ。景色がキレイとか、森の空気を吸い込むと脳が活性化されるとか(それらもウソではないけれど)、そんなこと、どうでもよくて、走っていると、生きているって感じられる。これって、太古からの人間の原始的欲望だからでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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