内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

路上で拾ったK先生の古ぼけた黒革手帳から ② ― 痛みと苦しみ

2018-07-09 18:28:31 | 哲学

 昨日拾ったK先生の古ぼけた黒革手帳の「今後の研究テーマ」と記された頁の次の頁には、「痛みと苦しみ douleur et souffrance」と記されています。その下に、幾人かの著者名といくつかの書名、それぞれの本について短いコメントが付されています。
 最初に挙げられているのは、Max Scheler, Le sens de la souffrance, Aubier, coll. « Philosophie de l’esprit », 1936 です。「まずこれを読むべき。同書のルイ・ラヴェルの書評も参照のこと」とあります。この書評は、Psycologie et spiritualité, Albin Michel, 1967 に収録されている « Le sens de la souffrance » (p. 164-173) のことですね。
 次に挙げられているのが、Souffrance et douleur : autour de Paul Ricoeur, sous la direction de Claire Marin & Nathalie Zaccaï-Reyners, PUF, coll. « Questions de soin », 2013です。「リクールの « La souffrance n’est pas la douleur » (1992) の哲学者と臨床医たちによる読解。人間の根本的存在様態としての苦しみ。リクールを精読せよ」とあり、「精読」が赤い線で囲まれています。本書にも巻頭に収録されているリクールのテクストは、もともとは1992年1月に精神科医たちを前に行われた講演の原稿でした。
 続いて、Bertrand Vergy, La fouffrance, Gallimard, coll. « Folio essais », 1997。「臨床医と看護師たちを対象とした講演集。問題についての良心的かつ網羅的なガイドブック」とあります。この本は私も出版されてすぐに買って読んだ覚えがあります。
 最後が、David Le Breton, Anthropologie de la douleur, édition revue et complétée, Métaillé, coll. « Traversées », 2012 です。「身体の人間学の一環として。人間の自己身体への関係の象徴的次元を把握するための分析装置としての痛み。著者とコンタクトを取る」と記されています。著者はストラスブール大学社会科学部の社会学の教授です。












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