内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

「汝、罪深き者よ、一日くらい休んだって罰は当たらぬ」(『古代耶蘇教偽典集成』(偽書)より)

2021-04-03 23:59:59 | 雑感

 昨日金曜日から来週月曜日までの四日間は復活祭の連休になっている。もっとも復活祭直前の金曜日が聖金曜日として休日になるのはフランスではアルザス・ロレーヌ地方だけである。だから国の年間休祝日表に聖金曜日は載っていない。それもあって、私は毎年忘れる。金曜日に授業を持つことが多いので、毎年学生たちから「先生、○月○日の金曜日はお休みですよ」と指摘されてようやく気づく始末である。復活祭の休みは移動祝祭日だから毎年聖金曜日も移動する。だからなおのこと忘れやすい(って、私だけの話です)。
 今回は、先日話題にしたように、私の方から今週はすべて休講にしたから、「先手を打った」かたちになったが、「来週はすべての授業を休講にします」と先週金曜日の遠隔授業で通知したとき、すかさずある学生が「四月二日はもともと休みです」とチャットで指摘してくれた。それに対して、別の学生が「それって、アルザス・ロレーヌだけの話だし」と半畳を入れたが、大学はやはりその地方の慣習に従い、聖金曜日は休みにする。キリスト教徒であろうがなかろうが、休みが多いのは基本的に喜ばしいことのはずである。それでも世界は回るのである。
 老生には、しかし、「休みは休み」という感覚が乏しい(いかんなぁ、おフランスに二十五年も暮らしているのに、日本の昭和の仕事感覚をいまだに引きずっておる)。昨日博論審査を終えてやれやれと思ったのも束の間、今日から別の作業に入る予定であった。日本語論文の仏訳およびその仏語解説の査読である。ある出版社の日本学シリーズの監修者から先月半ばに依頼された。締め切りは今月半ば。忘れないように大学のメールボックスのリマインダーに依頼受諾の日に記入しておいた。今朝メールボックスを開くと、「作業開始日ですよ」と知らせが開いた。律儀なことである。だが、無視した。明日からにする。今日は休むと決めた。
 「汝、罪深き者よ、一日くらい休んだって罰は当たらぬ」(『古代耶蘇教偽典集成』(偽書)より)。