内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

大伴家持の友情とキャロル・キングの “You’ve Got a Friend”

2018-11-11 17:58:57 | 私の好きな曲

 昨年十一月から萬葉集全歌通読を始め、拙ブログの今年の元旦の記事では、年内読了を目標として掲げた。主に、角川ソフィア文庫版の伊藤博訳注四巻と岩波文庫新版五巻の二つを主テキストとして、それにさらに他の注釈書もときに参照しながら、巻を追って一首一首順に読んできた。今日で巻第十九を読み終え、明日からいよいよ最終巻巻第二十に入る。巻第二十は、長歌六首、短歌二百十八首の計二百二十四首。大みそかまであと五十日あるから、ときどき休みをいれても、日に五首ずつ読めば、読了できる。もっと簡単に読み上げることができるだろうと、始めたときは高を括っていたが、いろいろと雑事にかまけて、しばらく中断してしまったり、歌によっては注釈書をいくつもあたることで時間がかかったりして、思った以上に時間がかかってしまった。
 巻第十九を読んでいて、しみじみと感じられたことの一つは、越中赴任中の家持が同地あるいは近隣地方の官人たちと結んでいた友情の深さと細やかさであった。他方で、家持は、世間の無常を悲しむ歌を少なからず詠んでおり、その孤愁の深さは覆うべくもないが、その個としての孤独の深さが友情を大切にする気持ちもまた深めているのだろう。
 話は変わるが、今朝、プールに行く前後に万葉集を読み、その後、昨日一応仕上げた時間割の再確認をしているとき、例のごとくストリーミングで音楽を低音量で流していたら、キャロル・キングの “You’ve Got a Friend” が始まった。「ああ、懐かしい」と、思わず作業の手を休め、聴き入ってしまった。「永遠の名曲」なんて言葉、めったなことでは使いたくないけれど、1971年に発表され、翌年グラミー賞最優秀楽曲賞を受賞したこの曲は、文句なしにそれに値すると思う。今朝から繰り返し聴いている。
 著名な歌手たちによるカヴァーも多数ある。マイケル・ジャクソンも1972年、声変わり前の14歳にカヴァーしている。日本人歌手では、小野リサがボサノヴァ風アレンジでしっとりと歌い上げている。