手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!間接法の練習≪関節モビライゼーション≫ その10

2012-04-14 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
間接法のまとめとして、今回は関節モビライゼーションの練習をしましょう。


ここまでお話ししてきた間接法と、過去にお伝えした直接法による関節モビライゼーションの組み合わせです。


ですから細かい解説はあえて行いません。


みなさんにたずねながら進めますので、これまで練習してきたことを生かしてみてください。





「昔のことは忘れちゃった」という方は「関節あそび検査練習法」シリーズと「関節モビライゼーション(直接法)練習法」シリーズを復習しましょう。

「ひとりでできる関節あそび検査練習法1」

「関節モビライゼーション(直接法)練習法」


続いて、今回の間接法の練習シリーズも念のため復習しておいてください。





よろしいですか?


では示指DIP関節を対象にして、関節モビライゼーションによる間接法の練習を行いましょう。


「関節あそび検査練習法」や「関節モビライゼーション(直接法)練習法」では、以下のように示指の中節骨と末節骨を固定し、DIP関節の側方すべり検査とそのモビライゼーションを行いました。





骨を固定するときには、どのように固定したでしょうか?





続いて、天井側・床側に末節骨を側方にすべらせて、関節のあそびを確認してください。


どのように力を加えて操作するのでしょうか?





このとき、エンドフィール(関節終端感覚)だけを感じるのではありません。


動かし始めからエンドフィールに至るまでのすべてを感じとり、なめらかに動いているかどうかなど、動きの質も評価するようにしましょう。





関節あそび検査の結果、仮に天井方向に側方すべりが制限されていたとします。


直接法ならそのまま天井方向にモビライゼーションをかけますが、今回は間接法なので床方向に動かします。




間接法で練習した、組織がゆるむ程度を感じながら操作しましょう。


ほんのわずか動かしただけで、ゆるむポジションにくるのではないかと思います。





操作する力に注意してください。手先で動かすのではありません。


手先で動かすと、ゆるむポジションを感じとりにくくなるだけではなく、組織がリリースしていく変化のプロセスも感じとることが難しくなります。


「小さな操作は大きな動作で行う」ですよ。





ゆるむポジションがわかれば、そのまましばらくキープしてください。


これが間接法による関節モビライゼーションになります。





関節がリリースするとき、どのように感じますか?


感じとり方はセラピストによって個人差があると思いますが、私はフワッと関節が膨らんで温かくなるような印象を持ちます。





リリースを感じたら、再評価してみてください。


動きの範囲や質は変化したでしょうか。


側方すべりのみ練習しましたが、余裕ができたら前後のすべり・傾斜・軸回旋など多方向へ同時に行ってみるとよいでしょう。


より精度の高いアプローチとなります。





関節にアプローチする場合も、このような間接法を中心に使っているというセラピストもいますが、私の場合は、このシリーズのはじめにお話ししたような用い方をしています。


みなさんそれぞれ、自分のスタイルに合わせて取り入れていただければと思います。


次回は、このシリーズのまとめ(おまけの話)です。


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4 コメント

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初めまして。 (ひっとみー)
2016-04-28 14:36:56
初めまして。
柔道整復師で臨床3年目になります。

手技の勉強をさせてもらうために、よくこちらのブログを拝見させていただいてるのですが
とても勉強になります。
ありがとうございます!

気になることがありました、質問をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?

過去のものから見させて頂いているので
各お題ごとのコメント欄に書かせていただこうかと思います。

関節モビライゼーションの手技についてですが
直接法では、動揺法、その場でリリースを待つ(持続的伸長法)←手技の名前違いましたご指摘ください、、
間接法では、その場でリリースを待つことはこちらのブログに書かれていたのですが
間接法での動揺法という手技はないのでしょうか?
また、関節の遊びを作る際に
動揺法を施すとだんだん関節の動きが出てくると思いますが
手技を辞めるタイミングのポイントなどあれば教えて頂きたいです。
関節の遊びの範囲を超えるまで
動揺させると、逆に関節機能障害を作ることにつながると思うので教えていただきたいです。

よろしくお願い致します!
返信する
ひっとみーさんへ (くつぬぎ)
2016-04-30 23:42:07
メッセージ、そしていつもご覧いただきありがとうございます。
さっそくですがご質問の件につきまして。

間接法での動揺させる方法や、スラストという早く鋭く刺激を加える方法もあります。
制限の反対方向(動きやすい方向)へ動かし、抵抗のない位置で刺激を加えた後、再評価を行う流れになります。

ただ、どちらかといいますと、動揺させるのは直接法に多く、間接法には持続的な方法が多いと思います。
大切なことは自分で試して体験を通して確認することですので、まずは身近な方をモデルに練習してみてください。


次に、関節を直接法で動かしすぎると可動性亢進をもたらし、不安定になる可能性は確かにあります。
実際に私の頸椎が繰り返しの練習により、そのような状態になっていますから。
それを防ぐため慣れないうちは、わずかでも可動性が改善したらいったんそこまでにするとよいでしょう。
わずかでも可動性をつけておくことで動きのきっかけを作ることになり、その後の生活の中でさらに改善していくことがあります。

そして次に受診されたときに再評価した上で、再度刺激を加えます。
これを繰り返して、変化しない段階まで達したら、その関節の動きはそこまでだといういうことが学習できます。

少々回りくどいようですが、このような方法がより安全に経験を重ね、技術を高めていくことになると思います。
慣れてきたら、手ごたえで適度な範囲が理解できるようになっていきますよ。

ご参考になれば幸いです。
返信する
ありがとうございます (ひっとみー)
2016-05-01 00:05:56
ご回答ありがとうございます!

動揺法について
直接法では、制限にぶつけて離すのことの繰り返しで可動性をつけていく方法を行っています。
間接法で、動揺させるには
どのような位置まで持っていって離すのでしょうか?

また、僕が関節の遊びをつける時は
直接法で動揺させる方法で行うことが多いのですが
くつぬぎさんの臨床では
直接法では動揺させ、間接法では伸長させるとのことですが
実際の臨床では
直接法か間接法の
どちらの方が使うことが多く、また効果が出ますでしょうか?
患者さんによって使い分けられるのならば
どのように使い分けているのか教えていただきたいです。


関節の遊びをつける際に、どこまで動かしていけば良いか参考にさせていただきます。
僕は、今までは
直接法で可動性をつけていき
動いてなかったものがだんだん動いてきて
動きが一定になったら辞めるようにしてます。
また、動きが一定になり始めの瞬間に
フワッと緩むような感覚があるのですが
そこまで動かすのは、あまりよろしくないでしょうか?

よろしくお願い致します。
返信する
ひっとみーさんへ (くつぬぎ)
2016-05-03 07:13:59
こんにちは。

>間接法で、動揺させるには
>どのような位置まで持っていって離すのでしょうか?

セラピストにより意見が分かれるところだと思います。
仲間との練習の時に、動かし始め、最終域近く、あるいはそれらの中間域で試してみてご自分でしっくりくる位置を探してみてください。


>どちらの方が使うことが多く、また効果が出ますでしょうか?
>患者さんによって使い分けられるのならば
>どのように使い分けているのか教えていただきたいです。

セラピストとテクニックの相性によるものが大きいと思います。
個人的には直接法を好みますが、過敏で不安の強い方には間接法を用います。


>直接法で可動性をつけていき
>動いてなかったものがだんだん動いてきて
>動きが一定になったら辞めるようにしてます。
>また、動きが一定になり始めの瞬間に
>フワッと緩むような感覚があるのですが
>そこまで動かすのは、あまりよろしくないでしょうか?

その感覚で大丈夫だと思います。
以上です。
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