ことりのあしあと

ほんのわずかなじかん、立ち止まって耳をすませて自分を見つめたい。そんなあしあとをペタペタとのこしています。

読書日記8/19-20 山下成司『発達障害 境界に立つ若者たち』平凡社新書

2011年08月25日 15時31分35秒 | 
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気になって、入荷しながら、
なかなか読めなかった本。

作者自身の経歴が面白い。
不登校で高校を中退。
美術学校に学び、音楽活動、レコードデビュー。
渡米してイラストレーションを学び、フリーのイラストレーター。

そのフリーのイラストレーター時代に、私設学校の美術の授業を教えたことが
きっかけで、発達障害児の教育に携わること18年。

なので、筆者のつかみ方は、現場感覚丸出し。
表現に持ちいつ言葉も、専門家が読んだら眉をひそめるでしょう。

それでも、ひとりひとりの子どもたちに、懸命に寄り添おうとしてきた姿と、
だからこそ、慕った子どもたちが見せる本音の顔を、垣間見ることができるのです。

奇しくも、この本を手に取る直前に、A新聞で、発達障害児のコウくんのルポが連載されていました。
何に、どのくらい、どう傷つくのか、手に取れるようで、切なかったのでした。
そして、外から見ているだけではちっとわからない、子どもたちの内面を
手ごたえのある感じにつかみとることができました。

当事者の姿を伝える。当事者の声を伝えることが、
生々しい現実を差し出すことが、
誤りのない、人の理解の第一歩であることを、しゅくしゅくと感じるのでした。

続編にあたる『発達障害 母たちの奮闘記』も読まなくちゃ、という気になりました。


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