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天満天神繁昌亭昼席~月亭文都襲名披露特別公演~

2013年06月04日 10時27分16秒 | 落語・講談・お笑い




日曜は繁昌亭の昼席へ。
今週は「八天改め七代目月亭文都襲名披露特別公演」が開催されている。
どの日に行っても良いようなものだが、
長いこと見ていない三枝を見ようと考え、日曜を選択した。

休日でありメンバーも良いので前売完売、
当日立見まで出る大入り。


「浮世床」(方正):△+

初めて見た。
やはりテレビでそこそこ売れていた人間の
「面白いことを言いそう」な雰囲気がある。
ごく内輪の話であっても「これは面白い」と確信を持って言うのは大事。
CMの話は若干クドい気もしたが、
マクラでは無駄な間投詞などがないリズミカルな点、
強弱の付け方など、さすが。

ネタはまあまあ。
最初の将棋の場面、横から口を出す男の位置が若干遠いように感じた。

場面転換は良い。
講釈本を読んでいくところは字が読めないようには見えない。
まあこのネタ、そこに拘っても仕方ないのかも知れないが。


「犬の目」(八光):△+

マクラで父親の話を少し。
この人が八方の子どもだ、と、意外に知られていないような感じもする。

ネタは、いきなり医者に行く。これはこれで良いかな。
メインが医者になるイメージがより強くなる。

「ハイターも入れる、あまり長いこと漬けておくと黒目が白くなる」は
初めて聞いたが良いクスグリ。
「目抜きの場所」の持っていき方や拾い方はイマイチ。
別に抜いてしまっても良いかも知れない。
「目が見えなくなった」と医者を隣に連れて行って話し、
患者が「犬がどうこう」が聞こえて気になる、というのも自然だろう。

「珍しい症例などで書いておくように」と言って書き取らせるのも、
まあ、悪くないと思う。

全体に上手くはないが、明るくて良い。
何となくたい平の高座を思い出した。


「絶叫ドライブ~彼女を乗せて~」(遊方):△

マクラは「少し恰好付けた運転を若い頃はする」といった話。
ここからネタへ。

マクラであまり共感を呼べないままネタに入ってしまったようで、
特に最初、勝手に興奮して勝手に暴れている、という印象を受けた。
徐々に笑いが起こるところも出てきたが、
如何せん滑舌の悪さや人物描写のスキルの低さや、
ネタそのもののぶつ切り感などで大ウケにはつながらず。

好きな人とドライブに行く、その際にいろいろ恰好つけたい、という登場人物に
演者が感情移入しているのは分かるのだが、
それをダイレクトにぶつけられてもしんどい。
もう少し消化しやすいようにして欲しい、とも思いつつ、
まあ、それがこの人の魅力であり、
変に上手く見せられても困る、というところもある。
ただバランスとしては、
もう少し「伝わる」方向にシフトさせないと勿体ないと思うのだが。

サゲは「車酔い」だが、
クサく「貴女に酔っていて」でも良かったかも。


「南京玉すだれ」(勢朝):○

久し振りに見た。カツラ付けた?

10分ほど漫談して玉すだれ。
非常に慣れた感じ。
噺家というより、場末の芸人らしさが板に付いている。
文都は家が近いそうで、
「一緒にサウナに行く」流れで
「ものが大きい、プリンでは隠せない」と小枝を弄る話をしていた。
個人的には面白かったのだがあまりウケず。
下ネタに行っていることが気付かれなかったのか、
小枝のプリン不倫の話が意外に知られていないからか。

玉すだれは3分ほど。
色々聞いている「玉すだれ」の中では、非常にテンポが速いものだった。
その中で失敗して(わざと失敗?)「後回し」と言ったり、
東京タワーの上に絵を付けてもらって
「スカイツリー」や「通天閣」にするなど。

良い色替り。


「くもんもん式学習塾」(きん太郎):○-

派手な着物、派手なメガネ、金髪。
これがきん枝の一番弟子。
初めて見た。

ネタは三枝の新作だが、まあ面白かった。
「ヤクザが学習塾をする」という、ベタと言えばベタなネタなのだが、
どこでウケをとるかが演者として明確であり、
その部分を丁寧にやって結果としてきちんとウケていた、という感じ。
それぞれのヤクザの描き分け、「龍二」の描写、
対する子どもの恐がり方など、
分かりやすく聞けた。

テキストとしては、
個人的には塾の中での訳していく部分が面白く、
その前のヤクザ同士の会話や
成績が上がった後で母親がやって来る場面以降はそれに劣ると思う。
特に母親が帰ってサゲに至る部分は何か手を付けられないかなあ。
尻切れトンボになる印象。


「誕生日」(文枝):○

「序の舞」で上がってくる。小さん(無論先代)みたい。

この人を見るのは久し振り。
文枝襲名後、は勿論、
10年以上見ていないのではないかなあ。

少し歯の具合が悪いのか、聞き取りづらいところはあったが、
良い感じで老けている印象。
マクラから自分が病院に行ってのお年寄りの話などを振っており、
そのあたりは演者と対象となる高齢者とが一体となっている印象。
このマクラ、無駄な言葉なく、
全ての言葉を世界構築に貢献させ、ウケにつなげようとしているところが流石。
しかも無理に力んで「笑わせよう」ともしてしない。

ネタは88歳の誕生日を迎えたおじいさんとおばあさんの会話。
数多い子どもや孫がどうしているか、といった話をしていくだけ、なのだが、
淡々として可笑しい。
これも特にウケさせようと間違っているのではなく、
自然に(周囲から見れば)変なことを言っているのが可笑しい、という感じ。
おばあさんもおじいさんが日頃からこんなことを言っているのに
付き合って慣れているのだろうな、という雰囲気。

聞いていて夫婦の子にあたるのか?孫にあたるのか?
分かりづらいところは散見された。
まあ、当事者同士では(ところどころ忘れているにしても)分かり切っているから、
説明的にならないのは仕方ないだろう。


口上(遊方・八方・文都・文枝・雀松)

司会遊方。
師匠八方、桂の代表かつ会長として文枝、米朝一門代表として雀松、の順に喋る。

遊方と八方が噛みまくって、文枝から突っ込まれていた。
文枝の話は若干長かったが、まあ、良い話。
雀松は10月に自身が襲名する話に触れていた。
上から見ていると髪の毛の具合など、確かに亡き吉朝に似ていると感じた。

1週間同じ顔ぶれだったかは知らないのだが、
丁度良いメンバーの口上だったと思う。


「千両みかん」(八方):△+

口上後、師匠が上がる。

この位置での「千両みかん」はしんどかった。
「みかん」と言うまでの振りや最初に回る店を減らしたり、
磔の情景描写を切るなどで時間を短縮していたとは思う。
それでも「あちこち走り回る」「気持ちの上がり下がりが大きい」
番頭に肩入れしてしまうからか、
「金の話」「みかん商人の心意気」などがテーマと重いからか、
やはり疲れてしまった。

安請け合いしてしまった番頭に対して、
旦那が畳み込むように「訴え出る」まで言うのは悪くない。
番頭が回る場面では、恐らく時間短縮のためだろうが
八百屋1軒で次は鳥屋、そこで磔の描写なしに天満のみかん問屋を紹介される、
という流れで、少し不足感がある。
少なくとも八百屋は2軒回って3軒目が鳥屋だった、で落とす必要はあるだろう。
磔の描写は、確かになくても良いかも知れない。

みかん問屋は米朝に比べて軽め。

若旦那のみかんを持ってきてくれた番頭への応対の口調や表情、
その後みかんを食べる我を忘れて嬉しげに、必死に食べる様子が良かった。
そのあたりは番頭との対比がよく効いていた。

サゲのあたりは丁寧で良かった。
今度、もう少し余裕のある会でも聞いてみたい。


「始末の極意」(雀松):△+

「けちん坊」と「泥棒」の小咄をいくつか振ってネタへ。

若干詰まってリズムが狂う部分もあった。
時間の加減か、途中「鰻」の話まで。
ごくあっさりと。この人に向いているネタだとは思う。


「親子酒」(文都):△+

酔っ払いの小咄などを幾つか。
描写などで細かく手を入れている。
そこに意義があるとは思えないが。

ネタは枝雀或いは雀三郎ラインだろうな。
親父が眠りに落ちるところ、
或いは最後の倅が親父に躓いたり、サゲのところで倒れたり、と
オーバーアクションではあるのだが、
無理にこの人がやらんでも、と感じてしまった。

上方「親子酒」はテキストとして、
親父が帰宅して倅が帰宅するまでのうどん屋との絡みが非常に長い。
これが好きな人は好きだし嫌いな人は嫌いな部分。
この日の「親子酒」は「ボケとツッコミ」の話やその繰り返しを入れているのだが、
これはあまり好きにはなれない。
正直、入れる意義がよく分からないんだよなあ。
間の倅の絡みを不快感なく聞けるようにしているのかも知れないが、
不快感を持つ人はどうせ持つ(これで軽減されるのかなあ)し、
持たない人には却って理屈っぽくクドい印象を与えてしまうのでは、と思う。

酔っ払いの描写そのものは流石なのだが、
全体には「演技」を感じさせて平板であり、クドい印象は拭えない。
そこに枝雀ラインのオーバーアクションを入れたら目先が変わるのか、と言うと、
そんな訳でもなかろう。


折角なので、1500円でCD付きのパンフレットを購入。
サインももらいました。

【パンフレット表紙】


【サイン・千社札とご挨拶】
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