対局日誌

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筋がよくなる18のヒント(書評)

2005-04-06 23:41:13 | 棋書
筋がよくなる18のヒント(日本棋院:増淵辰子著)

囲碁の上達をRPG風(もはや古い?)に例えると、棋書は大まかに三通りの本に分類できると思います。

一つは武器になるもの。
定石書、手筋書、布石の本など大半がこれに当たるでしょう。
これらを身につけて、碁敵をバッタバッタとなぎ倒し荒野を行くというわけ。
問題集はいわば砥ぎ石か訓練場か。

もう一つは地図。
あなたの次の目標に至るまでの地図です。
手元にある本をみると「発想転換」といった題名が多いですね。
地図ですが、そこには多くの盤面、変化を載せる必要は必ずしもありません。
むしろ必ず目的地にたどり着けるように、適切な盤面、かつわかり易い文章が望まれます。
そして既に目的地に到達した人、あるいは「到達することを目標としていない」人にはあまり意味がない本でしょう。

最後が記録。平たく言えば打碁集です。

今回紹介する「筋がよくなる18のヒント」はその中の「地図」に当たると思います。

著者の増淵辰子先生は、あの坂田栄男先生の師匠。
坂田先生をご存知ない人はgoogleで調べてください。
一言で言えば古今東西最強棋士候補の一人。二十三世本因坊。
ということは坂田先生が引退してから久しいことを考えると、この本が刊行された当時(現在、出版されているのは昭和50年代に刊行されたものの改訂版)は既に相当ご年配だと思われます。

しかし全然、古臭さを感じさせません。
むしろウィットに富んだ文章で、読み物としても面白かったですし、
章ごとの表題を見ても、「川は流れる」やら「捨てる神」、「堂々と負ける」(!)などユニーク。
全部で本の題名通り、筋が良くなるための18のヒントが書かれているわけですが、
流石に驚くようなことは書かれていないものの、我々が勘違いしやすい、あるいは理解しにくいポイントをしっかり抑えていると思います。
私は良い「地図」だと満足しました。
一つだけ難点を挙げれば、盤面の難易度にバラつきがあることでしょうか?
「ちょっと初級者には難しい図やないの?」というところがいくつか。

ですからMr.KさんがHPで、「すぐに役立つ初級突破法」と比べて「腹立たしくなった」という書評を載せておられたのには「えーっ」っと思いましたね。
見ず知らずの方の批評に横槍を入れる私も非常識ですが。

「たいしたことは書かれていない」と言えばその通りなのですが、その「たいしたこと」以外の基本が大事な訳で…。
私などは「味」の意味とか「なるほど」と思いましたが。
恐らくMr.Kさんはこの本を「武器」としてみたときに物足りなさを感じられたか、あるいはこの「地図」を必要とされていなかったのでしょう。
私も「この本の値段に満足するか?」と問われたら確かに「もう少し安くても」とは思いますし、「すぐに役立つ初級突破法」と二択で選べと言われたら迷うかもしれません。
確かに「すぐに役立つ」の方が即効性はあるかもしれない。が、そもそもこの二冊を比較するのに違和感があります。
読者に伝えたいことの内容が違いますから。

というわけで買う買わないはともかくとして、囲碁の王道を真っ直ぐ歩きたいと思う方。
そしてその道を見失ったしまった方は一読されることをオススメします。
題名の通り、何かしらのヒントになるでしょう。

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