くまくまDays~アデレードな日常~

新しい環境の中で感じたことをつれづれに書きつづります。

All or Nothingからの脱却を。

2011-06-20 23:09:31 | 考えたこと
震災を機に多くの方の価値観が変わったことは、いわずもがなだと思いますが、感情論は別にして冷静に考えなければいけない問題もあると思うので、ちょっとまとめてみます。

例えば、今週はこんな記事が・・

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○福島市の保育園や公園で高放射線量 グリーンピース調査
http://www.asahi.com/national/update/0609/TKY201106090519.html

【概要】
環境NGO「グリーンピース」は9日、福島市内の保育園や公園の地表面から、最高で毎時45.1マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した。

測定は7日に行った。この結果、ある中学校では倉庫の雨どい下の地表面の放射線量が、毎時45.1マイクロシーベルトだった。保育園入り口近くの道路わきで毎時35マイクロシーベルト、公園のトイレそばでも9.5マイクロシーベルトを記録したという。 文部科学省が定めた校庭利用の基準では、地表から0.5~1メートルの線量が年間で20ミリシーベルト、1時間当たりで3.8マイクロシーベルト以内とするよう定めている。

クミ・ナイドゥ事務局長らは「政府は、放射線量の高い地域に住む子どもや妊婦らをすみやかに避難させる必要がある」と訴えた。

【考察】
放射線量の測定方法は、図る場所、方角、時間、はたまた人によって数値が変わってくると言われており、国(や地方自治体)が行う調査でさえ、統一した手法が取られていないのが実情です。

地表面の調査を行ったとしても、それが地面そのままなのか、5センチ削ったものなのかで大きく結果は変わってきます。(グリーンピースが行った調査が具体的にどのような形で行われたのかはわかりませんが、)結果自体を100%鵜呑みにするのは尚早と言わざるを得ません。もちろん、一部の場所では非常に高い数値を表したかもしれませんが、では、全体としてどうなのか。福島市全体として数値が高いのであれば、同団体が主張するように、集団避難を検討する必要はありますが、一部であれば、それを除去することで、ひとまず事足りるのではないでしょうか。さらにその高い数値が一時的なものなのか、例えば1週間ほど継続的に観測されたものなのか等疑問も浮かんできます。

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もちろん、くまが日本から遠く離れた場所に暮らしているから、そんなのんきなことが言えるんだ!とか、小さい子どもを持つ親の気持ちになってみろ!というご批判はごもっともだと思います。もちろん、心情としてそれらは理解できます。ただ、ここで言いたいのは、単に情報を情報のまま受け取るのではいけないということです。

もう少し広い意味で話をすれば、世の中のあらゆることには「リスク」がつきものです。我々が普通に生活しているだけでも、さまざまなリスクと隣り合わせです。不謹慎を承知の上で例示すれば、交通事故にあうリスク、転んでケガをするリスクから、食べすぎでお腹が痛くなるリスクまで幅広いです。

もちろん、可能な限りリスクを低減する努力は必要だと思うし、それが商品提供する側の責務であると思いますが、ゼロになることは決してありません。じゃあ、リスクが少しあるから、そのサービスを受けることを拒否するのか?ということです。

食品だって、あらゆるリスクが潜んでいます。例えば、有機栽培のものだから100%安心ということは決してありません。体にいいとされている食品や栄養素であっても、摂取過多は逆に体に悪いということもあります。そもそも100%安全という概念さえ、この世の中に存在していないといっても過言ではないと思います。では、完全に100%安心じゃないからといって、食事することを完全にやめるとすれば(それが、食品リスクをゼロにする唯一の方法ですよね)、それがどのような結果をもたらすかは明らかですよね。

ぐだぐだと書いて来ましたが、結局言いたいことは、我々の暮らす世界は、決して「All or Nothing」の世界ではないのです。顕在するリスクだけではなく、目に見えないリスクをとりながら(あるいは気づかないor無視することで)、我々は「通常」の生活を送っているのであり、それを針小棒大のように声高に叫ぶのはスマートなやり方とは思えません。

震災を機に、食の安全性、放射能汚染、原発問題など、これまで「当然」と思っていた(目に見えなかった)リスクが顕在化しているのは事実であり、それについて広く議論することは非常に重要なことだと思います。ただし、リスクがあるからといって、そこで思考停止しては元も子もありません。答えは決して単純な二者択一の世界にはないはずですから。

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