現在美術日記@関西

アートシーンは東京だけじゃない

GALLERYGALLERY:Diana Van Der HARST

2010年08月18日 03時05分09秒 | 美術
かなり前の作品展ですが、せっかく作品を撮らせて頂いたので紹介しない訳にはいきません。

たかが3ヶ月前ですしね、
毎週のように各ギャラリーで展覧会が行われているから古く感じるかもしれませんが、
そんなことは作品にとっておかまい無しです。

ギャラリーギャラリー
ダイアナ・ヴァン・デール・ハースト / Diana Van Der HARST
2010年5月15日[土]~5月29日[土]




作家のダイアナさんはオランダで活動されている方で、
見ての通り、織の作品です。

この細かなタッチを再現するために、ジャガード織で制作されているそうですが、
個人でジャガード織を作っているというのは聞いた事がありませんでした。



聞いてみると、オランダ政府が個人の作家に対して制作支援をしているとのこと。
なんと理解のある国なんでしょうか。

たしか、格安で織ってくれるのだったと思います。



しかし、織の作品の特性上、その出来上がりを展示するという形式になりがちです。
そうなると、作品は一気にモノ化します。

モノ的な作品はあまり主張をしてくれません。
そこが良い効果を生む要因にもなり得るのですが、それは見る人が近よってくれればの話。
観察者の経験と興味によって受け取られ方に波ができているのではと思います。

そこが染織の難しいところ。



昨今は美術ブームなのか、雑誌やブログで取り上げられることが多くなりましたが、
それでも関心がある人だけのコミュニティとなっていると感じることがあります。

そもそも現代の美術はクローズドな環境をぶち壊す所から始まっていて、
興味の有る無し関係なく、既存の感覚におおきな影響を及ぼしてしまうもののはず。



この状況を生んだ要因として、マンガが関係している気がしてなりません。
その理由はそのわかりやすさにあると思います。

マンガには誰もが読んである程度理解できるようになっていませんか。
もちろん吉田戦車さんや中川いさみさんのような種類のマンガもあります。
私も大好きですが、それらは特殊な部類として扱われ、
同じ土俵に挙げてもらえていない気がしています。



わかりやすいかどうか、それはわかりやすい感動かどうか
という安い価値観を生み出してはいないでしょうか。

「キャラクタ作りと演技とセリフと照明とカメラワークを漫画家は全てこなす」からスゴいんです。
という考えの方が大勢いらっしゃるようなのですが、
そもそもそういった現実的な作業量で計る所にズレを感じます。

寧ろそんな即物的な一面を最小の仕掛けで別の問題を提起できているか、が重要です。

あまりにも現実的な問題ばかりに直面しすぎて、つまらない事ばかりが気になってしまう。
そんなストレスが不確定で不安定なものを排除したくなるような焦燥感を産んでいるのかもしれません。

誰もが苦しい思いをしたくないはずなのに、
環境で自ら首を絞めているなんて、つまらないです。


ギャラリーギャラリー
〒600-8018
京都市下京区河原町四条下ル東側 寿ビル5F
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/kictac/Gallery2/topJp.html

※ご紹介した作品画像は、当ブログに掲載すべく撮影させていただきました。
個人管理のブログにも関わらず、
快諾していただいた各ギャラリー様のご厚意に、心より感謝致します。