現在美術日記@関西

アートシーンは東京だけじゃない

【申し訳ない】展覧会ダイジェスト その2【2009】

2010年04月06日 01時47分38秒 | 美術
昨年の続きです。
どれだけ更新していなかったか・・、冷や汗ものです--;

いずれも関西を代表する企画ギャラリーらしい力の入った展覧会でした。

MORI YU GALLERY
玉ノ井哲哉「「夢を見ない午後…」
2009年11月28日[土]~12月26日[土]




スイーツのパーツが組み合わされたオブジェと、それが登場するイメージフォトの作品展。
昨今人気のあるスイーツモチーフアクセサリーしかり、乙女チックしかり、
非常に時代に密着した作品だと思います。

柔らかく甘さを想像させるオブジェはチェーンソーや鈍器になり、
額縁の中に物語となって登場します。

今の若者の言葉を借りれば「カオス」「シュール」と言わしめるでしょうが、
その言葉の実感が伴わない表現にどれほどの価値を見いだせるのでしょうか。

それが定着し重みを感じるまでには、苦みが少し足りなかったのかもしれません。


ギャラリーノマル
大西 伸明展 -Chain-
2009年12月19日[土]~2010年1月23日[土]




画面一杯のバナナが変色していきます。





真っ黒に変色したバナナのなかに、変化しないものが紛れています。
ディスプレイに映された2次元の映像からは、その本物と偽物が見分けがつきません。

目の錯覚ではなくて、今見えているモノには判断要素があらかじめ用意されていない。
その中で、私達はしたり顔で日常生活を送っているということそのものが、
既にコンセプチュアルだと感じさせます。


studio J
Akikazu Iwamoto Exhibitions
2009年12月2日[水]~12月26日[土]





人間の体を持ったキャラクターが画面全体に奔走している絵画。
色や構図からは作家の絵画に対するイメージが惜しみなく注がれています。

作家曰く、今回頻繁に登場するキャラクターはおそらく自画像であるとのことでしたが、
なるほど一見その飄々とした人柄がキャラクターのイメージに重なるようでした。
しかし、「作品の描き方を毎回忘れてしまう」と話すその言葉の端々には、
苦悩して制作を続けている様も感じられました。

自由奔放に見えて、その生き方を必死に模索し続けているように、
作家も観客もそのキャラクターになぞらえて、
必死さを取り戻せと言わんばかりです。


MORI YU GALLERY
〒606-8357
京都府京都市左京区聖護院蓮華蔵町4-19
http://www.moriyu-gallery.com/v3/index.php

ギャラリーノマル
〒536-0022
大阪市城東区永田3-5-22
http://www2.nomart.co.jp/index.html

studio J
〒550-0013
大阪市西区新町3-14-8
http://studio-j.ciao.jp/

※ご紹介した作品画像は、当ブログに掲載すべく撮影させていただきました。
個人管理のブログにも関わらず、
快諾していただいた各ギャラリー様のご厚意に、心より感謝致します。

【申し訳ない】展覧会ダイジェスト その1【2009】

2010年04月01日 12時00分00秒 | 美術
実は、昨年末にお伺いした展覧会を紹介しきれていませんでした。
申し訳無さからずっと気にかかっていたのですが、
ここでダイジェストという形でご紹介したいと思います。

約三ヶ月前の展覧会ですので、
出品された作家ご本人が見ると懐かしく感じるのではないかと思います。

画像も少なく伝わりにくいかもしれませんが、
昨年の年末を思い出しながら、楽しんで頂ければと思います。

Gallery H.O.T
北岡利浩 展
-あなたがここにいるということ-

2009年12月14日[月]~12月26日[土]



様々な作風を作家一人で披露された展覧会です。
錆びた鎖で形作られた衣服の作品は、素材として重々しい鎧を感じさせながら、
あくまで日常に消費される生活を象徴的に描いたように感じました。

昨年最後の展覧会とあって、壁に直にピンを刺すことを許された角砂糖の群れ。
ニーズに群がる企業かユーザか。需要と供給を思わせるオブジェでした。


GALLERY wks.
i  my  me  mine
木村尚也 展

2009年12月7日[月]~12月19日[土]



若い作家らしい有機的でポップ、そこに性的な意味合いを持たそうとしています。
ジェンダーを扱う作品の特徴だと思いますが、
作家自身の性別が大きく影響しているように感じます。
趣味・趣向には性別による境目の意識を感じることがよくありますが、
この作品にも同じような印象を覚えました。


小山登美夫ギャラリー京都
大竹利絵子 展
夢みたいな

2009年11月26日[金]~12月26日[土]




樹の模様とアンバランスな形状が不思議な妙味を醸し出す作品たち。
その大きさも相まって、作品の素材を通して感じられる、
作品の内側に内包された質量が魅力的です。
湿度変化による伸縮から生じる亀裂からも、素材の生々しさが感じられました。


児玉画廊(京都)
池谷 保 「基本の復習と予習」
2009年11月28日[日]~12月26日[土]




色彩に厚みのある巨大な平面作品が所狭しと並ぶ展覧会。
幾何学的に区切られた色彩構成の上に、
渦巻いた絵の具の盛り加減がどこかいじらしく、まるで触覚をくすぐられているようでした。
絵画を体感するという感覚に陥る魅力的な作品です。


Kodama Gallery Project 20
阿波野 由起夫

2009年11月28日[日]~12月26日[土]




都市計画のモデリングを思い起こさせる形状の作品が印象的でした。
素材はおそらくウレタンフォームを溶かしたものを使用しているようですが、
その化学的で有害物質を象徴するような雰囲気がまさに「ケミカル」というイメージに結びつきます。
作品の大味な部分を、ナスカの地上絵のような細いワイヤーによって繊細さを補っています。
人工的で煙たさを感じる作品ですが、何処か美しさも感じます。


Gallery H.O.T
〒530-0047
大阪市北区西天満3-6-3
西天満福岡ビルディング1FC
http://galleryhot.com/index.html

GALLERY wks.
〒530-0047
大阪市北区西天満3-14-26
中之島ロイヤルハイツ1103
http://www.sky.sannet.ne.jp/works/

小山登美夫ギャラリー京都
〒600-8325
京都府京都市下京区西側町483番地(西洞院通六条下ル)2F
http://www.tomiokoyamagallery.com/

児玉画廊(京都)
〒601-8025
京都市南区東九条柳下町6 7-2
http://www.kodamagallery.com/

※ご紹介した作品画像は、当ブログに掲載すべく撮影させていただきました。
個人管理のブログにも関わらず、
快諾していただいた各ギャラリー様のご厚意に、心より感謝致します。

遅すぎる本年のご挨拶

2010年04月01日 00時01分20秒 | 美術




今更ながら、あけましておめでとうございます。
身の回りがばたばたばたばたしているうちに年が明け、
新年度を迎えようとしておりました。

私自身の生活も節目を迎えようとしております。

昨年の夏、自分の感想を留めるために始めた当ブログですが、
掲載させて頂く展覧会のおかげで、
たくさんのギャラリー関係者の方々、老若男女の作家の方々に
お会いする事ができました。

こんな拙い記事にご協力頂いた関係者の皆様、
またブログを見て下さっている皆様、誠にありがとうございます。

休んでいる間、展覧会は最低限のものしか見ていませんでした。
そのおかげと言うのもなんですが、
少し離れた目線で現在の美術や作品、その周辺を垣間見ることができた気がします。

サブカルチャーの細切れとも言える、
細分化されたミニコミュニティが孤立化しているこの状況の中、
観客の求める要求がイージーな方向にしか変化しないこのもどかしさに、
一矢報いる役目を「美術」に担わせたい。

そのための活動を再開したいと思います。

堅苦しいご挨拶になってしまいましたが、本年(度)もできる限り更新をしてゆきます。
この中で何か大事な事が見つかれば嬉しいです。
どうぞ宜しくお願い致します。