ろくびー

山中清隆 作品日記
Kiyotaka Yamanaka

広島の風景「ティティン ティティン」2017年 水彩画

2018-12-07 20:00:42 | 広島

「ティティン ティティン」 透明水彩画 広島 A2(594×420) 2017年作 個人蔵



広島県尾道市にある標高178.8mの浄土寺山の展望台よりスケッチしました。

現場スケッチは2015年ごろで、着彩は2017年にして完成させています。


この展望台は千光寺よりも高い東側の山の上にあるので尾道の東半分を見渡せ、

目の前の尾道水道が東西に長く伸びて見えるとても気持ちのいい場所です。


また、尾道から少し離れているので観光客がわりあい少なく、

静かにのんびりと瀬戸内海風景を楽しむにはちょうど良いところでした。


やっぱり

のんびり静かな気持ちで風景を眺めていると

いいことがあります。



瀬戸内海に吹く島風を

肌でここちよく感じれたり


たまたま通りかかった空を滑るように飛ぶハヤブサに気付いて

嬉しくてやたらと興奮したり


しまなみの隙間にチラリと見える遠くの青い海に

静かな時の流れを味わうことができたり


そして

あんまり気持ちがいいので

風景の物語だって見えてきますよ。


たとえば・・・


ずいぶん昔、きっとここは山々に挟まれた谷でした。

その谷底にはきれいな小川が流れていて

いつも眩しくキラキラと光り

「ピチャピチャ ピチャピチャ」と楽しそうなせせらぎのリズムで

この谷一面にやさしく響かせていました。



鳥たちも動物たちもその楽しげなリズムにつられて谷を下り、

きれいな小川の水を飲んで

あまりの美味しさに嬉しい気持ちになり、

谷底から見上げる青い空と白い雲に

不思議な幸福感を味わって

また山の中へと消えていきます。


谷底の小川で生き物たちが感じた

たくさんの幸せな思い出は、

いつのまにか時がたって

今では海の底に横たわってしまい

もう誰も見ることはありませんが、


尾道水道を流れる海の水が

いつどこで知ったのか

潮の満ち引きの流れを使って

右へ左へと

ゆりかごでやさしく寝かしつけるように

その思い出を眺めているのでした。



そして今では

「ティティンティティン」と人々を運ぶ列車の楽しそうなリズムが

たくさんの夢と一緒にここちよく遠くまで響いています。






















そういえば

動物園で見たフラミンゴや女の子やクロエリセイタカシギなんかが

私のスケッチブックの中で

なんだか楽しそうなリズムに乗って

踊っているように見えました。








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