福ちゃんの散歩道

コロナ禍で関空での遊びも卒業、栂地区ウオーキングコースを中心に近場の日々の散歩で何か見つけよう。🚶‍♂️🚶‍♂️

ボーイングとエアバスの航空2強体制に中国の脅威 2021.7.15 日経ビジネスニュース

2021-07-15 08:20:00 | 飛行機の話題(乗り物ニュース)

将来、ABC時代が到来するのでしょうか?

Airbus
Boeing
Comac 



ボーイングとエアバスの航空2強体制に中国の脅威

中国当局は、中国商用飛機(COMAC)が開発する中国初の国産ジェット旅客機C919の運行を近く認可する。
世界の2大大手エアバスとボーイングはこれに警戒を強める。中国は今後、世界最大の旅客機市場になる。
専門家は、欧米諸国が中国を「デカップリングする将来に対してヘッジをかける」意図が中国政府にあるとみる。



中国政府は近く、中国初の国産ジェット旅客機「C919」の商用運航を認可する見通しだ。

この旅客機の開発に10年以上の歳月と、数百億ドルに及ぶ国の補助金を投じてきた。

 C919は単通路機で、中国政府が支援する中国商用飛機(COMAC)が製造する。

欧州のエアバスと米国のボーイングがほぼ複占する世界の航空機業界に、

豊富な資金と政治的後ろ盾を持つ新たな競合が参入する。

 COMACは2008年に中国の軍用機メーカーから分離して誕生した。

同社によると、これまでにC919を、オプションを含めて1000機近く受注している。

顧客は主に国内企業だ。最初の機体を、中国東方航空向けに年内に納入する予定である。

 中国政府は、欧米の大手2社による航空機業界の複占を破るとの意図を隠さない。

米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は、

C919の開発を円滑にすべく注ぎ込まれた政府関連の補助金は720億ドルに及ぶと推定する。

 このプロジェクトには戦略的な重要性があり、それが初期の受注を押し上げてきた。

中国の航空コンサルティング会社「奕飛評估」で航空機ファイナンスを専門とするデビッド・ユー氏は、

この機種を購入するようにとの「明示的な義務」はないが、

国から中国の航空会社に対する「強い推奨があるに違いない」と語る。


ここでも影落とす米中貿易戦争


 エアバスとボーイングは、市場シェアとそれぞれの政府からの支援の程度について、過去数十年にわたり争ってきた。

両社の主張の食い違いを脇に置くためには共通の脅威が必要だった。

この新たな競合に対処するため両社は、

補助金をめぐる17年に及ぶ世界貿易機関(WTO)での争いに終止符を打ち、休戦することにした。

 C919の開発計画は何度も延期を繰り返し、今後さらに遅れる可能性もある。

それでも、中国政府の投資が報われ始めた兆候は見える。

エアバスのギヨム・フォーリCEO(最高経営責任者)は最近、COMACの勢いを認め、

業界のイベントで「30年までには、少なくとも単通路機において、

2社による複占から3社による寡占に移行するだろう」との見方を示した。

 C919は燃費や航続距離の面ではエアバスの最新型「A320」やボーイングの「737」ファミリーに及ばない。

しかし、欧米の2社は、C919の改良が将来進めば中国での両社の受注が激減するのではと強く懸念する。

 中国は、このままいけばいずれ世界最大の航空機市場になる。

ボーイングは、今後20年間だけでも、中国の航空会社は8600機の新しい機体を必要とすると予測する。

 航空宇宙コンサルティング会社、米ティール・グループのリチャード・アブラフィア副社長は、

「COMACは、中国以外の市場では誰の脅威にもならない。しかし中国は、輸出市場として世界最大だ」と語る。

 COMACは、欧米と中国の間で貿易をめぐる緊張が高まったこの時期に、歩みを進めた。

欧米の業界幹部は、中国政府が保護主義の傾向を強めるのではないかと危惧する。

「これは政治のゲームだ。中国にもっと投資してくれるなら航空機をもっと買おう」と口にする中国の人もいる。

 中国の規制当局は、ボーイング737MAXの運航をいまだに停止したままだ。

同機は犠牲者を伴う墜落事故を、18年と19年の2度にわたり起こし、それ以後、運航停止となった。

欧米の航空規制当局はおよそ半年前に運航の再開を許可している。

 ボーイングのデビッド・カルホーンCEOは6月に開催された会議の席上で

「(中国による運行停止が)あまり長引くようだと、(当社は)代償を支払うことになる」と語った。

「中国は世界の航空機業界において、その成長の最も大きな部分を占めているからだ。

(米中の)貿易関係の一部でも修復できなければ、数年のうちに現実的な問題が生じるだろう」

 中国航空業界のある幹部によれば、エアバスは「恐らく今、政治的に比較的容易な立場にある。

だがボーイングについては、米中間の貿易関係がどう進展するか注視する必要がある」という。

 欧米と中国の緊迫した貿易関係は、COMACに部品を供給する欧米企業にも厄介な問題を提起する。

C919が使用する主要部品は大半が欧米企業の製品だ。

 COMACに関係する企業の中には、8月に発効する米国の制裁リストに載っている企業もある。

このリストは、軍事や監視に関わる中国企業数十社などをリストアップしている。

本紙(英フィナンシャル・タイムズ)がCOMACに製品を供給している企業数社にコメントを求めたところ、

各社ともC919に関与していることは認めたが、それ以外は回答しなかった。

 CSISの上級顧問、スコット・ケネディー氏は

「供給業者にとり、現状を乗り切るのは非常に難しいことだろう。

米国政府の意向に常に注意を向けていなければならない」と指摘する。


COMACに山積する課題


 C919の事業が本格的に離陸するのはまだ当分先のことだ。

中国規制当局から認証を得たとしても、

COMACがこの航空機の運航をサポートできるか課題が残る。

 英航空情報企業シリウムのコンサルティング部門「アセンド」を率いるロブ・モリス氏は、

「商用航空機の分野で成功を収めるには、設計、製造、(認証)、納入する能力だけでは十分でない。

その航空機が使用されている間、1日24時間・週7日の体制で年中休みなく運航をサポートする力が必要になる」と指摘する。

 ドイツの経営コンサルティング会社ローランド・ベルガーのロバート・トムソン氏は、

増産は慎重に進める必要があると語る。

「十分な実績を持つエアバスでさえ、A320を月産30機の水準までもってくるのに優に10年以上かかった。

十分な量の部品を安定的に確保できる供給網を設計する必要がある」(トムソン氏)

 C919が国際的な競争力を持つためには、

米連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)から認可を得る必要がある。

EASAは本紙に「C919の認証手続きは16年7月から始まっている。大型輸送機の認可に最短期間はない。

この種の製品の複雑さを踏まえると、それぞれの認可にかかる期間はさまざまで一様ではない。

ただし、通常の場合、最低でも5~7年は必要だ」と語った。

 米国と欧州は、対中国の共同戦線について、詳細な部分の合意ができていない。

知的財産権の保護などが検討課題として残っている。

 COMACは欧米の供給業者が持つ専門知識を現時点では必要としているが、

国内での能力を高めるにつれ、その状況は変化し得る。

 大半のアナリストは、次のようにみる。

中国市場は十分に大きいため、今後20年は、C919が穏当なペースで投入される

一方、エアバスA320neoとボーイング737MAXも受け入れられる余地がある。

 しかし、この予想は政治に大きく左右される。

ティール・グループのアブラフィア副社長は、C919を推進する真の原動力は中国政府だと指摘する。

欧米諸国が中国を「デカップリングする将来に対してヘッジをかける」目的だ。

 最近、米国と欧州は航空機業界を舞台とする争いを休戦にした。

これだけで、中国が欧米に対して市場を閉ざす動きを止めることはできない。

だが、少なくとも中国が「米国と欧州を争わせる」シナリオは防げるはずだと、アブラフィア氏は指摘する。


 COMACニュース





中国の国産旅客機「C919」が初の購入契約獲得


第1号機は年末にも納入、国内線で商用運航へ


中国の国産大型旅客機「C919」が、商用運航の実現に向けた最終段階に入った。3月1日、中国の3大国有航空会社の1社である中国東方航空が、C919の開発・製造を担う国有航空機大手の中国商用飛機(COMAC)との購入契約に正式署名した。

東方航空は最初のフリートとして5機のC919を導入することで、中国の国産大型旅客機を商用運航する世界初の航空会社となる。これら5機は本拠地である上海と北京、広州、深圳、成都、アモイ、武漢、青島などを結ぶ路線に投入する計画だ。

C919の購入契約への署名後、東方航空とCOMACは共同で新型機の運航に必要な許認可の取得や専門要員の訓練などの準備作業にすみやかに着手する。C919の第1号機は航空機としての安全性の検査を経て早ければ2021年末までに「耐空証明」を取得し、東方航空に納入される見込みだ。

なお、東方航空は国産旅客機を主力機材とする新航空会社「一二三航空」を子会社として設立し、2020年12月から営業を開始した。一二三航空は現在、国産小型旅客機の「ARJ21」を3機保有し、上海-北京間を運航している。今回契約した5機のC919は、同じく一二三航空のフリートに加わる。

エアバスA320やボーイングB737と競えるか

国際的に見ると、C919はエアバスのA320やボーイングのB737などに近いサイズの中型ジェット旅客機だ。その開発は2008年に始まり、2017年5月5日に上海の浦東国際空港で初飛行を行った。現在、中国の民間航空行政を所管する中国民航局が試験飛行の経過を審査している段階だ。

東方航空による購入契約の前から、C919はすでに買付けの意向表明書を多数獲得している。顧客の多くは中国国内の航空会社や航空機リース会社であり、中国国際航空、中国南方航空、四川航空、工銀金融租賃(ICBCリーシング)、国銀金融租賃(CDBリーシング)などが名を連ねる。


なかでも工銀金融租賃はC919を100機購入する意向を示しており、現時点では最大の顧客だ。今後は、国際市場で長年の実績を積んだ(A320やB737などの)旅客機とC919が互角に競争できるかどうかが焦点になりそうだ。



最新の画像もっと見る