永続優良企業への「変化と継続」井上経営研究所

中小零細ファミリー企業版『長寿幸せ企業』の実践経営事典2019
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第3章(11)「経費削減対策」 第3回 経費の科目毎のポイント

2017年01月31日 | 第3章 経営危機の乗り越え方

章 経営危機の乗り越え方

(11)「経費削減対策」 第3回 経費の科目毎のポイント

では経費の科目毎にポイントを述べていきましょう。

【役員給与】
 経営危機に陥ってる中小零細企業はパートさん以下の給与にまで落としている会社とそのような状態になっても高額の役員給与を取っている会社に大別できます。決算書だけを見ている経営コンサルタントは短絡的に役員給与を下げなさいとアドバイスするケースがありますが私の場合は個人の資産や生活状態までチェックさせて頂いてからアドバイスさせて頂いています。借入の関係から個人から会社に資金提供しているためその返済のために高額の役員給与を取らざるを得ないケースが良くあります。このような場合は個人を含めて金融対策のスキームを再構築しなければなりません。
 金融機関に対してリスケを要求する場合、役員給与削減は資産の売却とともにその会社が金融機関にも無理をお願いする以上自らも大きな痛みを伴う改革を断行するという意思表示のためにも不可欠となります。またどうしても従業員の給与をカットしなければならない際にはそれ以上の役員給与をカットしない限り従業員の協力を得られることは非常に難しくなります。


【給与・賞与】
 まともな経営者なら従業員の給与を少しでも上げたい、たとえ半月分でも賞与を出してあげたいと考えているはずです。経営者が一番悩み苦しむのが給与や賞与の削減です。私は従業員の給与や賞与の削減は再建のスキームがこの削減なしで組めないときにのみ手をつけるようにしています。本当の意味での経費削減対策が功を奏した場合、この科目に手をつける必要のないケースが意外と多いのです。
 もちろんプログラムの各種対策を終えても、営業利益が出ない場合は従業員の給与にも手をつける旨を事前に従業員に説明をしておくことにより社員の対策への協力度や意欲も大きく違ってきます。逆に従業員の給与や賞与を削減することにより、かれらの士気が極端に下がってしまい、それに伴って売上高や粗利益までも下がってしまうからです。私たちがこれから目指していくのは、「売上高や粗利益を下げないで(できれば上げて)経費を削減する」ことなのです。

 ちなみに、従業員に十分な説明もしないで一方的に給与・賞与を削減したり、首を切るような行為は言語道断です。そんなことをすれば、おそらく優秀な従業員から退職し、売上高や粗利益が落ち込むはずです。

【福利厚生費】
 役員給与や従業員の給与・賞与を削減することにより10%近い法定福利費が下がってきます。法定福利費とは、会社が負担している社会保険料のことです。役員報酬や従業員の給与・賞与を削減すれば、自動的に法定福利費も下がります。

 法定福利費を試算してみましょう。 

法定福利費=(過去3年間の法定福利費の合計)÷(過去3年間の役員報酬・給与・賞与の合計)×(新年度の役員報酬・給与・賞与の合計)

 

【広告宣伝費】
 売上不振からこの科目の経費が増加傾向にあります。広告宣伝費は麻薬的なところがあるため、経費倒れになっているにもかかわらず資金繰りのために安売り広告を続けている企業が多く見られます。私が一番大鉈を振るう経費科目です。後日「利益を伴う売上対策」で詳しく述べていきますが、基本的には「日繰り資金繰り表」で広告宣伝費をゼロにして資金繰りが成り立つかを検証し、資金繰りに問題がない期間に新たな売上対策(特に新たな情報伝達方法)を行動に移すことです。

 売上不振になると、現金商売に近い業種ほど、目先の売上高欲しさに、広告宣伝を乱発し、お金を作ろとしてしまいます。しかし、しばらくすると広告宣伝費の支払いが始まり、資金繰りはますます苦しくなります。しかも、広告宣伝費を増やしたからといって、必ずしも売上が伸びるとは限りません。

 ですから、経営が苦しい時にはむしろ、大胆に広告宣伝費をカットする方が正解なのです。状況によっては、0円にすべき会社もあります。そこでまず、広告宣伝費を0円にした場合を想像してみてください。あなたの会社の広告宣伝費が0円になったら、本当に売上が激減するのでしょうか?  この広告・宣伝がなくなったら、絶対に売上が減って困る」というものがあれば、その広告・宣伝だけを今後も続けてください。それ以外の広告宣伝費はすべて0円にしてください。 なお、広告宣伝費の大幅削減はあくまで短期的なものです。資金繰りに問題がなくなったら、後日、「利益を伴う売上対策」の際に改めて検討する必要があります。

 

【備品消耗費・事務消耗費】
 全ての経費科目について言えることですが再建期間中の「ものさし」を利用して稟議システムを導入しなければなりません。特にこれらの科目は小額の場合が多いため見逃しがちです。購入先も洗い直し、品目毎の購入先を決定しておく必要があります。
 又頻度が高い品目については改めて数社から見積もりを取っておく必要があります。

 備品消耗品や事務消耗品は、一つひとつの金額が小さいため、気軽な気持ちで購入しがちです。みなさんの会社でも、「これ少なくなったから買っておきましたよ」とか「これ便利だから買っちゃいました」などと、従業員が誰の許可も得ずに購入し、領収書だけを回して立替代金を請求するというケースはありませんか?

 資金繰りが苦しい状況において、上記のような行為はもってのほかです。ボールペン1本でもティッシュペーパー1箱でも、必ず文書で申請書を提出し、経営者等の許可を得てから購入すべきです。文書にするのは面倒ですが、面倒だからこそ経費削減に役立つのです。ぜひ、会社として申請システムを導入し、従業員に徹底させましょう。こうした申請システムは、財務状況がしっかりした会社ほどきちんとしています。逆に、「なあなあ」で買っても文句を言われない会社ほど、経営状態は悪くなる傾向にあります。

 また、どの店で買うのが一番安いかを調べ直し、購入先を決めておくことも大切です。文房具ならこの店、コピー用紙ならこの会社、という具合に、品目ごとに購入先を決めるのがポイントです。

 さらに、「まとめ買い」も禁物です。「まとめて買うと割安だから」といって、すぐ使わないものを引き出しなどにしまっておくのは、無駄な在庫を持っているのと同じです。それに、たくさんの量を買うと、従業員が備品を大切に扱いません。

 「絶対に必要なものを、必要な分だけ、文書で申請・許可してから購入する」というのが基本原則です。

 

【旅費交通費】
 出張費や日当も再チェックが必要です。経営危機に陥る会社に多く見られるのは、旅費規定や出張規定が存在しない会社です。出張の宿泊に関しても、会社から決めるのはせいぜい管理職は一泊〇〇円、一般社員は〇〇円を守るように支持しているぐらいで、従業員が旅費精算書を出せばそのまま支払っているのが現状でしょう。

 日常的な交通費、出張旅費、出張手当などについても、改めて現状を見直し、新しいルールをつくる必要があります。そのポイントは次のようになります。

・タクシーや自家用車利用のルールづくり

・出張旅費の再チェック

・出張手当の再チェック

・ホテル、航空券、JRなどの予約方法

 なかでも宿泊施設や交通機関の見直しは大きな効果があります。出張の目的によって使用するホテルや交通手段が違ってきますし、日程が変更される可能性の低いセミナー参加などのホテルや交通機関は早目に予約すれば支払額がうんと安くなります。近場の営業でJRや地下鉄などで何度も乗り降りをするのであればのであれば、一日回数券やフリーきっぷなどの検討も必要です。
 できれば宿泊の予約や切符の手配などは、営業の従業員が個別にするのではなく経理に一元化させることを考えてみてください。それにはまず、経理と旅費交通費を使用する従業員が集まって、インターネットなどで普段使う交通機関の運賃などのついて調べ、前期の元帳の旅費交通費の仕訳伝票をまな板の上に置きながら、どうすればもっと費用を安く済ませられ、尚かつ、従業員の交通宿泊機関の手配に取られる作業の無駄も省くことが出来る方向でルール化していくことが大切です。

 

【リース料・賃貸料】
 リース料について意外と経営者の皆様がご存知ないのがリース期間満了後の買取についてです。こちらから何も申し出なければリース会社は
「来年からは一月分のお支払いで一年間ご使用になられます。お得です。」
といってきます。これを承諾すると毎年そのリース料を払わなければなりませんがリース満了前に買い取り交渉をする(本当は購入交渉のときに決めておかなければなりません)と一月分の支払いであなたのものになり翌年からは支払う必要はなくなります。
 善良(無知?)な中小企業経営者は販売先からは毎回のように値下げを要求されているにもかかわらず、購入先との交渉はほとんどやられていません。

 

【地代家賃】
 地代家賃についても同じことが言えます。貸主も楽なところは少ないですが値下げ交渉は絶対行うべきです。この種の交渉は金融交渉と同様に粘り強い交渉が必要になります。1回や二回の交渉で相手がすんなり値下げに応じてくれるとは考えないでください。
 小売・サービス業以外では移転も視野に入れるべきです。売上や人員がピークの時の状態のだだっ広い事務所や倉庫を依然として使いつづけている企業は考えなければなりません。特に倉庫は「倉庫がなければ経営が維持できないか」を基本に判断してください。倉庫がなくなったり小さくなれば自然と在庫を洗いなおす必要が出て来て、資産負債対策上も効果があります。

 

【接待交際費】
 経営状況の悪化に加えて、資金繰りをさらに悪くしている要因に、「経営者の見栄とプライド」があります。そしてその見栄とプライドは、多くの場合、この接待交際費に現れます。みなさんの会社では、経営者個人のプライドを保つための経費が発生しています。たとえば、ロータリー、ライオンズクラブ、JCなどは退会することも視野に入れてください。これらの会の価値は認めますが、そのために会社が倒産してしまったら、元も子もありません。
 「~会費」「~協会費」とつくものも要注意です。全くその必要性を検討することもなく「先代からずっと支払っているから・・」とか「このくらいは・・」とかいうものも全てまな板の上に載せてみてください。「この接待交際費をカットすればすぐに営業や売上に支障をきたす」以外はすべてゼロにしてください。

 

 

【保険料】

 一番判断が難しい経費科目です。一社ごとに、経営者の年齢や会社の経営状態により全て対策が変ってきますのでここで一般論を述べるのはやめておきますが「基本的姿勢は会社の保険は解約し、個人の保険は継続方法を検討する」ことです。ご相談頂ければ個別にアドバイスさせて頂きます

 

【諸会費・雑費】
 一番訳の分からない経費が発生する科目です。「困ったときの雑費扱い」といわれるぐらいの科目ですから一項目ずつ「ものさし」を当ててチェックしてみてください。「日繰り資金繰り表」を作成していればかなりの経費削減することが出来ます。

 その上で、それら一つひとつについて「本当に必要か否か」をチェックしてください。必要か否かの判断基準は、以前書いた通りです。

(1)「この経費を使わなくても売上高や粗利益額に大きな影響が出ない」と思われる経費については、0円に削減する。

(2)「この経費を使わないと売上高や粗利益額が落ちる」と思われる経費については、削減しない。

(3)判断がつかない場合は、減額を検討する。

(4)商品・サービスの品質、安全性、信用性など、会社の根幹に関わるような経費は絶対に削減しない。

 

【支払利息割引料】
 この科目も「金融対策」で詳しく述べていきますのでここでは説明しません。


 各科目ごとの経費削減の基本的な考え方は以上の通りなのですが、「いざ、経費削減」と取り掛かっても経営者だけでは、いや幹部や社員と協議しても、ほとんど「経費節約」出来るだけで「経費削減」までにはいたりません。
 なぜなのでしょう?
 答えは 経営者や幹部、社員と経費の間に利害関係が生じるからです。本当の意味での経費削減を実行するにはそれらを「ものさし」を使い、俯瞰的に判断するに人間が必要です。ですから私が参加すると、絞りきった雑巾からまだまだ不必要な水(経費)が出てくるのです。
 実際に、経営再建(改善)プログラムの経費削減対策会議に私が出席させていただくと、経営再建(改善)プログラムの費用の何倍もの経費が削減できる場合がほとんどなのです。もちろん経費削減対策会議は過去1年間の元帳を1項目ずつすべてチェックしますので最低でも丸1日を要すくらいの作業になります。
 経費削減の際の重要なポイントは、すべての科目を一律に削減するのではなく、大幅削減科目、削減科目、現状維持科目、増額科目が生じてくるということです。ここでも経営再建(改善)のキーワードである「選択と集中」が必要となってくるのです。

 

次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (12)社員のリストラは絶対やらない です。

このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

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第3章(10)「経費削減対策」 第2回 会社がひとつになれるかどうかは「経費削減対策」に掛かっている

2017年01月24日 | 第3章 経営危機の乗り越え方

章 経営危機の乗り越え方

(10)「経費削減対策」 第2回

会社がひとつになれるかどうかは「経費削減対策」に掛かっている

 経費削減対策は、経営再建、経営改善のメインプログラムです。 ここがうまく行けば経営再建、経営改善の成功が見えてきます。そのためには、まず経費削減対策は従業員の皆さんにも参加してもらい経営再建チームを立ち上げる必要があります。零細企業であれば、全員がチーム構成員として参加してもらいます。

 実際に【経営再建プログラム】でどのようにして進めているかを例にしながら、具体的に経費削減対策のやり方を紹介しましょう。

● 再建チームをチームを召集する前に次のものを用意します

1,過去3期分の総勘定元帳

2,過去3期分の損益計算書

3,「経費削減対策実行一覧表」1

4,来期の損益計算計画書

 会議が開始されたら、まず社長は、この会議が会社の再建や改善に非常に重要であることを説明しなければなりません。社員の給与カットまで考えなければならない状態になっている場合は、この会議で〇〇万円以上の経費削減できなければ、給与削減まで考えなければならない。そのために、私もこの会議の決定に従うので、ぜひ従業員のみなさんのお力を借りたいということを宣言します。

 この会議の目的を話したあと、議長(進行役)を指名します。【経営再建プログラム】の第1回の会議では、多くの場合、私が進行役をつとめます。なぜなら、多くの経営再建現場で、人は、自分に影響のない決定には従うが、自分が損をする決定には多くの不満ち反対するということを嫌というほど体験しています。つまり「総論賛成・各論反対」の会議になるのです。
 実は反対が一番多いのが、経営者一族なのです。社長が議長をやると、諸会費や接待交際費など自分が関係する諸費用例えばロータリークラブの会費や祭りなどの寄付で、会長や社長があれこれ理由をつけて最期は「それでいいな」と高圧的にケリをつけるがおこりかねません。
 身に火の粉が降りかかると、経営者は経費削減会議前に説明したこと(下記傍線部)や果ては会議前に約宣言したことさえを忘れてしまいます。できるだけ、直接的な利害関係の少ない人物が議長をする必要があります。

 しかし、私が実際にお伺いして「経費削減対策」を実行しますと、削減できる経費が山ほど出てきます。私に言わせれば中小企業の皆様の行われている経費対策は「経費節約」であっても「経費削減」とは言えない場合が多いのです。 

 ではなぜあなた自身では経費節約しか出来ないのでしょうか?

その原因は大きく2つあります。

 ① 経営者自身では「見栄」、「プライド」、「しがらみ」を断ち切ることが出来ないこと。

 ② 経費削減の「ものさし」がないこと。

 さて、作業としては、前期の元帳の勘定科目別に、一つ一つの経費を経費削減のまな板に乗せて、前述の「3つのものさし」で料理していいくのです。
 前期総勘定元帳の勘定科目の接待交際費を開くと、期首から期末までの個別仕分けがすべて日付順に記録されています。これを、一つも抜かり無く再建対策会議のテーブルのまな板の上に乗せて参加者全員が「3つのものさし」という包丁を手にして、その改革方針を議論決定していくのです。
  上の、「経費削減対策実行一覧表」をごらんください。実はこの表、今は【俯瞰塾】の会員企業が実際に使用したものから考案したものですが、例えば、2行目のお歳暮に前期は5万円の経費を使っています。これがまな板の上に乗ると、
「会社が苦しいときにまで、歳暮をする必要があるのか?」
「これをやめたら、営業にさしつかえて、売上が落ちる」
などいろいろな意見がでてきます。
 この伝票の支払金額は 一品単価2500円✕20個(贈答先件数)=5万円 となります。これを要素分解することで例えば次のような対策案が出てきます。

  1. 全てやめて、来年の予算は0円にする

  2. 単価を2000円に下げて、 来年の予算は4万円にする

  3. 贈る件数を6割12件にして、来年の予算は3万円にする

  4. 贈答先をランクづける A:4000円✕3件 B:2000円✕4件 C:贈らない0円✕5件で、来年の予算は2万円にする

 これをさらに、「3つのものさし」という包丁で料理していき、対策案4を選択しました。この裏付けは下記の「得意先別利益貢献度表」などでしておく必要があります。

 このようにして、前期総勘定元帳の全経費科目の仕訳伝票を一つずつまな板の上に乗せて対策を考えていくのが、本当の「経費削減対策」なのです。一見大変な作業のようですが、必要書類を準備させすれば、小規模企業~中小企業の場合は3~4時間程度の経費削減対策会議を2~4回で終了します。その上、この会議を進めていくうちに、自然と「旅費規定」や「慶弔規定」など「仕組み」のもとが出来上がってしまいます。
 
「従業員が領収証を持っていけば、予算や内容に関係なく精算してもらえる」という状況も言語道断です。そうした会社はけっして優良企業に変わることはできません。 そのためにも、経費削減対策には従業員にも参加してもらい、購入申請の方法などを会社のルールとして確立することが非常に大切です。

 議長の他にもうひとつ重要な役目があります。それは、書記です。書記はできるだけ、経理の方を指名してください。
 対策会議は来期の経費予算を決定しながら進めます。起業まもない会社や新事業や新サービスが出た場合などは例外ですが、数年分の総勘定元帳を並べてみると、面白いほど同じ経費が毎年同じ日に発生することがわかります。ということは、経費削減対策会議は予算作成会議でもあるのです。ですから経理の方には決定事項と金額をまず元帳に直接メモしその合計を月次事業計画書の予算欄に書き込むという重要な役目があるのです。

 総勘定元帳は従業員の誰もが見たこともない、開いたこともなく、税理士に預かってもらっているか、鍵付きのガラスケースの中で飾り物になっていることがほとんどです。そんな総勘定元帳が対策が進むに連れてボロボロになっいくのはある種感激ものです。

では経費の科目毎にポイントを述べていきましょう。

井上経営研究所作成ワークシートのひとつ


 

次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (6)経費削減対策-第3回 です。

 

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第3章(9)「経費削減対策」 第1回 経費削減対策の重要な道具-「ものさし」

2017年01月17日 | 第3章 経営危機の乗り越え方

(6)「経費削減対策」 第1回

経費削減対策の重要な道具-「ものさし」

 

 私に相談されるほとんどの皆様は

「経費削減は既にとことんやっており、乾いた雑巾からはもう1円の経費も削減できない」

とおっしゃられます。

 しかし、私が実際にお伺いして「経費削減対策」を実行しますと、削減できる経費が山ほど出てきます。私に言わせれば中小企業の皆様の行われている経費対策は「経費節約」であっても「経費削減」とは言えない場合が多いのです。 

 ではなぜあなた自身では経費節約しか出来ないのでしょうか?

その原因は大きく2つあります。

 ① 経営者自身では「見栄」、「プライド」、「しがらみ」を断ち切ることが出来ないこと。

 ② 経費削減の「ものさし」がないこと。

 

 会社が正常な時と再建期間中とでは経費に対する「ものさし」が違っていなければなりません。会社が正常なときには適正な経費であっても、経営再建や経営改善の期間中には使うべきではない経費がたくさんあるのです。

 適切に経費を削減するためには、今まで使っていた「ものさし」(=判断基準)を捨て、新しい「ものさし」で経費について考えなければならないのです。新しい「ものさし」とは、自社の身の丈に合った「ものさし」です。

 特に、資金繰りが苦しい時期には、会社が順調な時期と同じ「ものさし」を使うべきではありません。少なくとも、会社が正常な状態になるまでの間は、特別に厳しい「ものさし」を使うことが求められます。そうしなければ、会社が倒産してしまうかもしれないからです。

 私が経費削減に使う「ものさし」は、以下の3点です。


(1) 「この経費を使わなければ、売上高に大きな影響が出るようになるか」

(2) 「この経費を使わなければ、利益額に大きな影響が出るようになるか」

(3) 「この経費を使わなければ、商品・サービスの品質、安全性、信用性など、会社の根幹に大きな影響が出るようになるか」

 元帳や経費帳で一項目ずつ「この3つのものさし」をあてて判断していかなければなりません。例えば新聞を何誌も購読している方に言いたいのは再建期間中のあなたが取引先との会話に世界情勢を話している余裕はないということです。再建期間中のあなたの会社は新聞など必要ありません。自宅で1誌購読していれば後はテレビやインターネットで十分です。正常企業に戻られた後、適正な報酬を取ることが出来るようになってから、好きなだけ雑誌や新聞を再購読するべきです。

 

 もうひとつ重要なことは

 経費削減は贅肉を殺ぎ落とすことが目的であり、筋肉まで削ぎ落としてしまうと、売上に大きな影響を当ててしまい、縮んだ胃袋のようにますます売上が減少して再建計画が頓挫してしまうことがありますので人件費や販売経費を削減する際には慎重さが必要です。

 

また、経費削減対策のみ実行されても会社は良くなりません。経費削減対策は経営再建プログラムの一部であるということをご理解ください。

 私が、経営危機に瀕した中小零細ファミリー企業の再生・再建から健全化、さらに『長寿幸せ企業』への道をお手伝いする上で柱としているのが

①徳性 : ブレない経営を支える柱

②知恵と技能 : 知識や技術を行動することによって会得したもの

③習慣 : これらを息をする如く継続していき習慣化できること

④変化 : 時代に応じて、事業の柱などを変えていくこと

です。

各項目については、今後このブログでそれぞれ詳しく解説していきますが、

要約しますと、

①は、

  • 嘘をつかないこと
     
    たとえば、粉飾決算はプログラム着手後はすべて公にして頂きます。私のクライアント様には1社たりとも粉飾されている企業はありません。というのも、私は以後粉飾をやめるというお約束できない企業の【経営再建プログラム】には着手しないからです。粉飾は「天に向かってつばを吐く」行為です。
    「赤字決算を避けるために・・」
    「借り入れするために・・」
    「経営審査事項1のために・・」
    といって
    「今期だけだから、来期利益が出たら元に戻すから・・」
    と言って始めてしまった粉飾は、ほとんど戻せることはありません。
     それより悪いのは、自分自身に嘘をついて騙してしまうからです。赤字決算であれば、金融機関等から
    「同対策を打つのか?経営改善計画書を作成してほしい。」
    など色々注文つけられますが、それもありません。赤字の決算書や試算表を見ることもありませんので、粉飾からしばらくすれば、経営者自身も会社が赤字であることも忘れてしまいます。ということは、経営改善や経営再建に取り組もうなどと考えませんので、体質は何も変わりません。結局、赤字状態が続いて、粉飾金額もどんどん増えて、「倒産への負の連鎖」に入り込むことになります。
     逆に、粉飾を表に出して金融機関等に頭を下げるとどういうことになるでしょうか?会社の財務状態がはっきり表に出ますので、その程度によっては一気に経営危機に陥ります。金融機関もこれ以上の借り入れには応じてくれないでしょう。ここでよく考えてみてください。これがあなたの会社の本当の経営状態なのです。こうなれば、どんな経営者でも必死になります。この状態で【経営再建プログラム】などに取り組む人は、健全企業に戻るために「見栄、プライド、しがらみ」を捨てて大変な対策に挑むため、再建成功の確率はぐっと上がってくるのです。
     その上、粉飾した分が税務上の繰越欠損金2となれば、繰越期間の間、赤字分が利益と相殺されるまで税金を支払う必要がなくなり、【経営再建プログラム】で上げた利益をそのままキャッシュフローとして活かすことができますので、財務体質も急激に良くなります。
     これをできない方は、本当は赤字決算なのに、税金まで支払い無駄なお金を使ってしまいます。行き着く先は、資金繰りのために親、兄妹、親戚、友人などに無心をし、「倒産への負の連鎖」の坂道を転げ落ちていくことになります。

 今これをお読みになっている経営者で、「自社のことを言っているようだ」と思い当たる方は、自社がどのような状態にあるかを俯瞰的な眼で見るために、私の無料経営相談を受けられことをおすすめします。
 

  • 「ありがとう」を言えること(客の側であっても)

  • 時間を守れ、細切れの時間を大切にできること(目上の人との待ち合わせには余裕を持って待ち合わせ場所に行き、待ち時間を活用する準備ができるようにする)

  • 使ったものを次の人のために元に戻せること(立ち上がった後の椅子やトイレの蓋など)

  • 礼儀を守れること(迎え三歩に見送り七歩など)

これらに加えて経営者には「自己犠牲」の精神が必要となります。

 徳性の乏しい私は、これをお教えする立場などにはありませんが、徳性を高めるために「人間学」を一緒に学び、行動していきます。この特性は全ての判断や行動の「心柱」にしていきます。

②は、経営再建や経営改善プログラムの間に、「今ある売上で最大の利益を絞りだす知識や技術」を学んで頂き、実践して頂き、単年度黒字化を達成(1年以内目標)を目指します。具体的には自社で月次決算や中長期の予想概算キャッシュフローを算出できるようになります。「売上対策」以外の「資産対策」や「経費削減対策」などはここで学びます。

③、すべての対策が即効性があるのではありませんので、これらを③習慣化していくことにより「知恵と技能」に変わっていきますが、実はこの「継続」「習慣化」が一番難しく、プログラムに着手された企業の何割かがここで脱落していきます。これをクリアーして安定的な健全事業化(目標3年以内)ができます。

④が「変化」です。①から③ができても「変化」することができなければ、企業も死滅します。ダーウィンではありませんが、「生き残れるものは、大きいものでも、強いものでもなく、変化できるもの」なのです。②の経営再建プログラムを終了した段階で初めてスタートするのが「売上対策」=「新規事業開発」です。

1 「経営事項審査」とは、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされており、当該発注機関は客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化し、順位付け、格付けを行います。(一般財団法人建設業情報管理センターHPより)

2 平成28年度税制改正により、平成3041日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10

次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (10)経費削減対策-第2回 です。

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 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
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第3章(8)いまの会社の内部からどのようにしてお金を生み出すか、それが「資産負債対策」

2017年01月10日 | 第3章 経営危機の乗り越え方

章 経営危機の乗り越え方

(8)いまの会社の内部からどのようにしてお金を生み出すか、それが「資産負債対策」

 

 【日繰り資金繰り表】ができても資金繰りがショートするまでに時間のない会社の場合は、緊急手当てを施す必要があります。

 期日に支払うべき1000万円のお金が必要なのに、700万しか用意できないとき、あなたならどうしますか?
選択肢は二つです。会社外から不足する300万円を手当するか、その日に不足する300万円の支払うのをやめるかです。

  ここで落ち着いて、一息入れてよく考えてください。この段階で経営者であるあなたの目的はなんですか?


 支払期日をクリアーすることだけが目的であれば、どんな手段であっても会社外から手当すれば済むことですが、目的が経営再建・企業再生であれば、この選択では倒産への先送りでしかありません。倒産による犠牲者が経営者だけならまだ構いませんが、ここで会社外からの借り入れを起こすことによって、家族や親戚、友人があらたに連帯保証人になり、犠牲者を増やすことになります。

 易きを選択すれば、のちにその苦労がついてくるのは世の常です。あなたの会社が資金繰りに窮しているのは、今の経営力で必要なお金を生み出すことができないからです。

 資金繰りに困らないときは、経営者は新たに学んだり、やり方を変えることには消極的です。しかし、経営危機から脱出するために、経営者は必死になって基本的なの経営知識や能力を身につけながら、経営再建・企業再生するしか手はありません。ですから、【経営再建プログラム】を成功させた会社の多くが健全企業から、無借金会社など優良企業に変わっていくことが出来るのです。

 それでは、不足の300万円を【日繰り資金繰り表】の期日の支払いからジャンプさせていく優先順です。その際に最も重要なことは、「支払う順序を間違えない」ということです。どうしても支払額が足りなってしまう時は、企業によって若干の違いはありますが、原則的には次の順に支払いを延期する以外にありません。
企業の個別事情の判断については考慮していませんので、無料相談などでご相談ください。

 

  1. 借入金の返済

  2. 経営者の報酬

  3. 租税公課

  4. 電気・ガスなどの公共料金

  5. 事務維持に要する最低限の諸経費

  6. 買掛金
    仕入先や外注先などへ支払うべき残高を指します。中小零細企業では資金繰りが難しくなると、、厳しい苦情を言われないから、金融機関への返済より先に支払いを延期するケースが多く見受けられますが、順番は全く逆です。また、事前にお願いして、支払期日などを交渉することが原則です。倒産の危機ですからある程度信用が崩れるのはやむをえません。会社の信用が大きく崩れ信用をなくすと当然、以後の仕入や外注が難しくなり、場合によっては前金でしか仕入れられなくなる可能性もあります。そうすれば、資金繰りは今以上に悪化します。

  7. 従業員の給与の減額や遅配
    これを従業員の了解をなしにやることは厳に謹んでください。再建計画を説明しその協力を取り付けてください。彼がが知りたいのは、いつ払えるのかと今後会社はどうなるのかということです。

  8. 手形のジャンプ
     手形が2回落ちなければ、金融機関との取引が停止され、事実上の倒産となってしまいます。流通業の一部では、手形を落とせなくて金融機関の取引停止になっても、現金仕入れで凌いだという例もありますが、よほどの精神的な強さがある人でないとおすすめできません。

 

 支払い優先順序の中で最も大きなポイントとなるのは、「借入金の元金返済は一番最後」ということです。多くの経営者が間違ってしまうのはこの点です。なぜなら、「元金を返済しないと、金融機関から取引を停止されてしまうのでは?」という不安を抱いてしまうからです。

 金融機関との関係は重要取引(仕入)先との関係と全く同じです。特別な存在ではありません。お互いに信頼関係を築くべきですし、過度に恐れたり、敵対したりすることは間違っています。当然信頼すべき重要取引先ですから、現状を理解してもらい、お互いに言いたいことを言い、できないことをはっきりいうべきです。
 ですから絶対に無断で返済をストップしない。必ず事前に、金融機関へ相談する必要があります。

 

金融機関への元金返済猶予の交渉

(「経営改善プログラム講座」実務テキスト[注1]より転載修正加筆)

 金融機関へ元金返済猶予を相談する場合、具体的には以下の手順で行うことが望まれます。

 まず、金融機関の担当者へ電話をして、

 「申し訳ございませんが、今月は借入金の元金を返済できない可能性があります」

と丁重に申し出ましょう。

 元金自動引き落としの同日や直後に、それよりも優先すべき引き落とし事項がある場合は、

 「申し訳ございませんが、今月は借入金の元金を返済できない可能性があります」と電話で申し出た上で、

「今月は借入金の元金返済を止めるようお願いいたします。○月○日に別案件の引き落としがありますので、元金の引き落としはせず、そのまま口座に残してくださいますようお願いいたします」という旨の書面を送ります。

 いずれの場合においても、ケンカ腰は絶対にいけません。金融機関の担当者も人間ですから、味方になってくれるよう丁重に相談する姿勢が望まれます。 

 そうするとおそらく金融機関から、次のような答が返ってくるでしょう。

 「それは困ります。ぜひご返済ください」 

 しかし、それでくじけてしまっては目的を叶えることはできません。再度丁重に、なおかつ強い意志を持ってお願いしましょう。

 ただし、申し出を受け入れてくれたとしても、「上司と相談してみますが、どうすればご返済いただけるか説明してもらえますか」など、何らかの条件がつくでしょう。

 この場合、説明とは口頭での言い訳を意味するのではなく、

 経理的な数字がきちんと記載された、実現可能な「経営再建計画書」を作成・提出し、金融機関に協力してもらうこと

を意味するケースがほとんどです。

※「経営再建計画書」についてはこのあと第(12)節で詳しく解説します。

 

会社の内部からお金を生み出す「資産対策」

 支払い優先順序は、あくまで緊急時における苦肉の策です。支払期日を延ばす“延命方法”を述べただけであって、支払義務がなくなったわけではありません。いずれ、どれも支払わなくてはいけません。【経営再建プログラム】の対策は効果のあるものほどお金を生むまでの時間がかかります。経費削減対策でも早くても数ヶ月、対策によっては半年以上かかります。ということで、“延命”している間に何らかの形でお金を作る必要があります。もちろん、個人のお金は会社から戻してもらえることが【日繰り資金繰り表】ではっきりしない限り会社につぎ込むべきではありません。

 まずは「資産対策」で会社の内部からお金を生み出す方法を考えてみましょう。お手元に最近の決算書・勘定科目内訳明細書・総勘定元帳をご用意ください。貸借対照表(B/S)の左側の部分(資産の部)をご覧ください。この部分は大きく「流動資産」と「固定資産」に分かれていますが、今回の話は「会計学」の話ではなく、再建のための話ですのでB/Sの詳しい解説はやりません。

 ところで、「資産」とはどのようなものを言うのかおわかりでしょうか?

 企業会計における「資産」とは、主に次のようなものを指します。
 現金、預金、受取手形(現金の代わりに受け取った手形)、売掛金(売上先からまだ入金されていないお金)、商品・製品(在庫)、原材料、仕掛品(まだ完成していない製品や工事)、貸付金、土地、建物、建物付属設備、車両、機械工具、事務機器、特許権、有価証券(株式など)、出資金などです。

注目していただきたいのは

(a)「流動資産」の「売掛金」

(b)「流動資産」の「棚卸資産」

(c)「その他の流動資産」の「立替金・未収入金・仮払金・貸付金」など

(d)「固定資産」の「工具・器具・備品」など

です。 

 科目名は決算書で確認できますが、その個別明細や詳細については勘定科目内訳明細書・総勘定元帳を開いてみてください。

 経営危機に陥った会社の経営者は不足する資金を借りてくることと売上を上げることのみに腐心していますが、金額の多少はあるものの今ある会社の資産・負債からお金を生み出すことを忘れてはなりません。

(a)で洗い直しをしなければならないのは「売掛金」です。全ての売掛先をチェックしてみてください。失礼な言い方ですが、売掛先もあなたの会社と同じように
「うるさく言ってこない支払い先は放っておこう」
と考えているところがあるかもしれません。言い難いかもしれませんがこのような売掛先の気持ちは良く分かるといってもあなたの会社が倒産すれば元も子もありません。
 段階を追うことが必要ですが、ある程度強い請求態度を示さなければなりません。不良化している売掛金についても、その相手が倒産していれば別ですが、内容証明など法的請求してみると、意外とあっけなく振り込まれてくるケースさえあります。

(b)の「棚卸資産」は経営危機に陥っている会社の多くは過剰評価しています。なぜなら,金融機関へ提出する際一番粉飾しやすいのがこの科目だからです。この段階で必要なことは、金融機関に良く見せて、借り入れしようということより、不良化している棚卸資産を1円でも現金化することです。そのためには棚卸のための「ものさし」を決め、その「ものさし」にそぐわない商品は処分して、現金化する必要があります。

(c)の「その他の流動資産」には前払い費用・未収入金・立替金・仮払金などを一つ一つチェックしなければなりません。意外と目こぼししているものが出てきます。経営危機に陥っている会社はここに何年も同じ金額が固定しているものがあります。その多くは現金化できないもので実質ゼロ円です。税理士の指導で見せかけ上悪いといって残しておいている数字です。つまり、粉飾しているということです。しかし、中には、この人は払ってくれないのでということであきらめているケースがあります。請求していないので、法的には時効になっているかもしれません。しかし、ダメ元で内容証明を出しただけで支払っってもらったケースが幾つかあります。

(d)の「固定資産」の「工具・器具・備品」などについては決算書に付いている「固定資産台帳兼元きゃ償却計算書」をコピーして、店内や事務所・倉庫などを指差し確認するくらいのつもりで
「今、本当に必要なものなのか」
チェックしてみてください。埃をかぶった事務什器などが倉庫に場所を取って眠ってしまっていませんか?
 無駄な「棚卸資産」や「工具・器具・備品」を売却することは、単に現金を産むばかりでなく、作業効率をアップさせます。ひどい例では、不良化した固定資産を保管するために倉庫を賃貸している会社さえあるのですから。

 「こんなもの売れるわけない」と思い込んでいるものでも売れる可能性はあります。たとえば、壊れて使い物にならない機械であっても、日本のどこかには「オブジェにしたい」と考えるマニアがいるかもしれません。不良在庫でも、誰かが別の目的で欲しがっている可能性もあります。売り方もいろんな方法が考えられます。捨てるのにお金がかかると思っていたものが、思いもかけない値段で売れた例は枚挙にいとまがありません。 みなさんは「赤いクリップ」の話をご存知ですか? カナダのカイル・マクドナルドという人が、「1個の赤いペーパークリップを何かと交換してほしい」とインターネットで求めたのです。そうすると、クリップは魚の形のペンに化けました。その後、ドアノブ→キャンプストーブ→発電機→パーティーセット→スノーモービル→旅行→車などへと物々交換が発展し、最後には家を1軒得たのです。

 みなさんの会社の隅には、ほこりをかぶって眠っている備品はありませんか? 現在は、ヤフーオークションやメルカリなど便利なサイトがいくつもあります。インターネットのオークションに出品すれば、誰かが購入するかもしれません。今まで「役に立たなかったもの」がお金になるのです。今はゴミを捨てるのにもお金がかかる時代。たとえ数千円にしかならなくても、要らないものが現金に化けるのでしたら、すぐに実行すべきです。
 ともかく前に進んで成功体験の端緒のつもりで取り組んでみてください。

 このうち、売却の候補としたいのは、車両、機械工具、事務機器、有価証券、そして不良在庫です。土地など高額資産については、再建のスキームで大きな鍵になりますのでここでは対象にしません。 もちろん、これらをすべて売れというわけではありません。全部売ってしまったら、その後の経営が成り立ちません。

 売るべきものは、
「売っても今後の経営に大きな支障を及ぼさないもの」
に限ります。

[注1] 著者:井上雅司・水谷一生 発行:有限責任事業組合/小規模企業経営支援協会 2008年

次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (9)経費削減対策 です。

 このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 に取り組んでいます。詳しくはそれぞれのサイトをご覧ください。 

 1.「経営救急クリニック

 2.「長寿幸せ企業への道

 3.「事業承継・M&A

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第3章(7)第2回【日繰り資金繰り表】を作れば対策が見えてくる③井上経営研究所の【日繰り資金繰り表】の目的と重要点 

2017年01月03日 | 第3章 経営危機の乗り越え方

章 経営危機の乗り越え方

 資金繰りに困ったり、急激に売上が落ちてきたら、この章をお読みください。

(4) 【日繰り資金繰り表】を作れば対策が見えてくる

 ③ 井上経営研究所の【日繰り資金繰り表】の目的と重要点

 

 先ずその重要点を説明するには、【日繰り資金繰り表】誕生のいきさつからお話しなければなりません。
 企業再生コンサルタントの道を歩みだした当時、再生現場で最初に取り掛かる仕事は、現在と同じく、「止血」つまり「緊急資金繰り対策」でした。

 

 2002年、井上経営研究所設立した当時の再建現場では、中小零細企業の経営者と膝どころか頭まで突き合わせて、「いったい何日、何ヶ月先まで確実に資金の心配をしないでも大丈夫なのか?」を探ることが最初の作業でした。

 しかし、経営危機に陥った中小零細企業に、資金繰り表などあるわけはなく、月末の支払い必要額は請求書が届いてからあわてて掴んでいるような状態です。

 

当然のごとく

「先月の試算表はありますか?」「棚卸表は?」「来月の売上予算は?」と聞いても、

「ない。」「わからない。」ばかりです。

 

 すべて税理士に丸投げの中小零細企業経営者に、来月どころか来週倒産してもおかしくない限られた時間の中で事業計画表や資金繰り表の作成を指導する時間的余裕などありません。

 

 この段階、つまり緊急的な資金繰りをコントロールする段階で必要なのは、

1)毎日の繰越残高がひと目でわかること

2)支払日には常に支払資金より支払わなければならないお金のほうが多い状態なので、支払いをストップさせたり、どの支払先を優先して支払うかを決めなければならない。そのために、勘定科目別ではなく入金先・支払先別に、現金・振込・手形別に分類されていること。

3)入金しても右から左では、状況に応じて支払先や金額の変更がありえるので、一部を変更しても自動的に残高に正確に反映されること

4)外部に出す必要のない自社でのみ使える表で十分で、体裁などよりExcellが初めての人1でも10キーとカーソルキーだけでも使用可能であること。

 

 これらの目的を達成できれば緊急の資金繰りに役立てると考えて、多くの現場で経営者とともに実践と修正を繰り返してできたのが【日繰り資金繰り表】です。

 Linaxではありませんが、関数や計算式などすべて隠していませので、多くの人が使用して今現代も修正や進化を続けています。

 

 資金繰り対策で最も注意しなければならないことは、資金繰りに追われて場当たり的な行動を起こさないことです。そのために最初にやらなければいけないことは、「日繰り資金繰り表」を作成して、いつ、いくらショートするのかを把握することです。

「来週○○万円不足する・・・どうしよう」

と焦るから、抜本的対策など取れなくなり、どんどん【負の連鎖】の蟻地獄にはまっていくのです。

 

 「日繰り資金繰り表」は少なくとも3ヶ月後くらいまでは作成し、ショートする日と金額を特定します。「日繰り資金繰り表」を作成することによって、冷静な判断でその対処策を実行することができるのです。要するに前日の残高に当日の入金予想と出金予想を入力し、翌日の繰越残高にしていくだけです。

 

 入力上の注意点は

1、万円単位で十分です。

 

2、定期的に現預金の実地棚卸をして前日繰越金額と照合、修正する。(本当は毎日やるべきですが・・・)過ぎた日の数字は間違っていようが無視してください。【日繰り資金繰り表】に必要な数字は過去の数字ではありません。これから3~6ヶ月の数字です。

 

3、日付けは全て実際に現金が動く日です。小切手や手形は特に注意してください。また、売上は掛け売上の場合は実際に入金される日ですが、現金売上の場合は当日ではなく翌日にしかすべての現金を使うことが出来ませんので翌日欄に記入してください。

 

4、3ヶ月から6ヶ月間の数字を入力するのですから、当然確定していない金額が沢山あります。確定金額は黒の太字を使い、推定金額は青字の斜字を使い、確定した時点で書式を変えてください。たとえばA社の翌月の買掛金支払い額が確定していないときは、納品伝票や売上高、昨年のA社の仕入高対売上高比率など駆使して推定額を算出して青字の斜め字で入力し、請求書がきた段階で黒の太字に変更ください。

 

5、作成期間は3ヶ月分ですが、手形を発行されている企業は6ヶ月分作成さるほうが良いでしょう。

 

6、全て入力が終わったら全ての日の繰越金額をチェックしてみてください。

マイナスになっている日があなたの会社の破綻日です。通常20日と月末にマイナスが発生しますが、緊急資金繰り対策の対象となる日はそのマイナス金額が最大になる日であって、直近のマイナス日ではありません。日繰り資金繰り表を作成していれば来週の支払いでバタバタするというようなことがなくなります。

 実際はプラスでも現預金がゼロでは商売になりませんし、拘束されている預貯金があるかもしれませんので最低限営業に支障のない金額を割る日を破綻日と考えて対策をする必要があります。

私の経営再建プログラムのクライアント様はそれぞれの最低営業に必要な預貯金金額を割れば濃い黄色で塗りつぶされるように条件付書式を設定しています。

 

7、金融機関から資金繰り表を提出を要請されたら、月次合計の列のみを3~6ヶ月コピー、貼り付けして表にすれば「月次予想資金繰り表」の完成です。

 どこに出す表でもありませんから、経営者が使いやすいように加工していく方が良いと思います。   私の「日繰り資金繰り表」の最大の特徴は、科目別より支払い先別であるというところです。

 

 私の指導は全てにおいて「形より現実と現場」主義です。

 実際に現場でクライアントの社長さんと一緒に「日繰り資金繰り表」を作成していますと会社のお金の流れだけでなく、経費対策や売上対策までが見えてきます。

 

【資金繰りをチェックする以外の「日繰り資金繰り表」の効用】

 

1、入金を入力する段階で売上予算(これを持たれていない企業が実際はほとんど)を自然と作成することが出来ます。

 

2、数ヶ月先の不足金額が出るので、そのためには来週なんとしてでも○○円の売上を作らなければと必死になることが出来ます。

 

3、支払い先別で支払い額を入力していると、諸会費・雑費などの科目でよく見られるのですが、社長が「こんなのまったく必要ない」「こんなのあったの」という経費が多々出てきます。

私が経営再建のメインである、「経営再建プログラム」を依頼されたクライアント先でまず「日繰り資金繰り表」の作成から着手するのはそのためです。また、「現場」での診断にこだわるのはチェック対象となる在庫や経費を目で確認することですぐにその必要性を正確に判断できるからです。

 私の【経営再建プログラム】のクライアントは全ての方が作成して活用されています。中には毎日これを入力し、「少なくとも3ヶ月後までは資金繰りの心配することなく、営業に集中できる。『日繰り資金繰り表』を確認してからでないと床につけない」とまで言われる方もおられます。

 70歳を越され、パソコンなど生まれてはじめて触ったというクライアント様でもテンキーとマウスのみで見事にマスターされた方もいます。

「日繰り資金繰り表」の仕組みは非常に簡単ですが、これを活用すれば倒産しなくてもいい会社が倒産にいたる確立が非常に少なくなります。近い未来の資金繰り状態を把握する温度計というところでしょうか。

 

 私の無料経営相談には

「万策尽くしましたが来週の手形が落とせそうにない」

という危篤状態になってからのご相談が後を絶ちません。これらの会社のほとんどは「日繰り資金繰り表」さえ作成していればここまで手遅れの状態にならなかったはずです。

 

 資金繰り状態がよくない会社の経営者が「日繰り資金繰り表」を作成されると3ヵ月後・6ヵ月後のマイナス数字の大きさを見て、その現実に顔面が蒼白になられます。しかしながらある程度の時間的余裕がありますのでその対策さえ間違えなければ、破綻をとめることが出来ます。

 

 「日繰り資金繰り表」でとりあえず緊急資金繰り対策を行なったといっても、とりあえず応急的に止血しただけです。現実的には、間髪をおかず、「経営再建プログラム」の各対策を実施して行かなければなりません。・・・それも絶えず止血をしながらですから、経営者の強い意志と家族、社員さんの協力が絶対条件であることは言うまでもありません。

1 当時の中小零細企業経営者はまだパソコンを使えない方も多かった

次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (5)会社の中からお金が生まれる「資産負債対策」です。

 このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。

 

 井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に

 

  1. 赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業の経営再建や経営改善をお手伝いする「経営救急クリニック」事業
  2. 再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせ、永続優良企業をめざす「長寿幸せ企業への道」事業
  3. 後継者もおらず「廃業」しかないと思っている経営者に、事業承継の道を拓くお手伝いをし、「廃業」「清算」しかないと思っている経営者に、第2の人生を拓く「最善の廃業」「最善の清算」をお手伝いする「事業承継・M&A・廃業」事業

 

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一人で悩まないでください!

 「心の富」を無くさない限り必ず再起のチャンスがあります。  形のあるものを手放すことが再起への最短距離です。時間が掛かっても迷惑をかけた方々に対して道義的責任を果たせる近道なのです。  「倒産」は犯罪ではありません。  「倒産」という言葉の響きは実態とかけ離れすぎているのです。「倒産」という言葉は一人歩きしすぎています。一般の方は倒産の実態についてあまりに無知すぎるのです。自分自身の世界で倒産を空想しないで下さい。倒産は事業にとっての最後の権利なのです。もがき苦しんでいるあなたを救ってくれる最後の手段なのです。  もちろん私は「倒産」など薦めているわけでは決してありません。 私の仕事は医師と同じく経営危機に陥った会社の検診をし、適切な薬をお渡しし、時には手術を施して健康体にすることです。 しかし病気に末期症状があるように事業にも薬や手術ではどうにもならない状態があります。こうした状況になっても会社や財産を手放そうとしないことが再起へのチャンスさえも失わせることになるのです。  「捨てなければ得られない」 重荷を捨ててみてください。今までのことが嘘のように安寧な生活を得ることができます。貧しくても心の平和や充足感からこそ新しいエネルギーが沸いてくるのです。

井上経営研究所とは

 井上経営研究所は中小零細企業の再生・再建から健全企業化、さらに『長寿幸せ企業』への道をお手伝いする経営コンサルタント事務所です。  ホームオフィスは、紀伊半島の最南端から少し北西(大阪寄り)に戻った 南高梅や紀州備長炭で有名な自然に恵まれた「みなべ町」という小さな町にあります。この町から日本全国にクライアント様を持ち、対応させていただいています。私、井上雅司がこの不便な田舎価値を起点にビジネスを展開している理由は、プロフィールをお読み頂ければお分かりいただけると思いますが、私が人生の危機に陥った時、全てを掛けて私を助けてくれた、年老いた両親がいるからです。  また、コンサルタント事務所といっても、総務以外は、すべてのサービス業務やプログラム診断業務はもちろん、経理も、このホームページ作成も、全て私一人で対応させていただいています。  というわけですので、無料相談といえどすべて私が直接責任をもって対応させていただいています。

井上経営研究所代表者のプロフィール

 井上 雅司(いのうえ まさじ) 1951年和歌山県生まれ。 早稲田大学教育学部卒業後日本航空開発株式会社を経てスーパーマケットを創業。20余年の経営の後倒産。自らの経験を踏まえ「倒産から学ぶ『経営実学』」を研究。自分と同じ体験をする人を一人でも少なくしたいの信念のもと「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を目指して、2002年、「経営救急クリニック」井上経営研究所を設立。2002年、「追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、赤字や経営危機に陥った中小零細ファミリー企業を『経営再建プログラム』で再生させる「経営救急クリニック」事業を創業。  さらに再生なった中小零細ファミリー企業を俯瞰塾などの実践経営塾と連動させて、正常企業から、健全企業、優良企業、無借金企業(超優良企業)そして、企業に関わる多くの人が幸せになれる「幸せ企業」にまで一気に生まれ変わらせる企業再生手法を確立。  2010年、永続幸せ企業をめざす中小零細ファミリー企業のための「『長寿幸せ企業』への道」事業を開始。 ●企業再生コンサルタント   ●論語指導士(論語教育普及機構認定資格) ●M&Aシニアエキスパート(一般社団法人金融財政事情研究会認定資格) ●事業承継・M&Aエキスパート(同)