第3章 経営危機の乗り越え方
(12)社員のリストラは絶対やらない
経費削減対策のなかで必ずと行って話題になるのは従業員のリストラの話です。
私は、経営再建プログラムにおいても、リストラを絶対やらない主義です。損益計算書上では何割かの従業員をリストラすれば、再建できる数字が上がってくることもあります。しかし、経営危機に陥っている中小零細ファミリー企業の場合は「倒産への負の連鎖」をすすめることになる場合が非常に多いのです。実は、私も経営していた会社で従業員のリストラに手を付け、倒産の扉を開いた苦汁の経験をしています。人件費関係の支払いによるキャッシュフローも退職金の支払いなどが出てくれば、効果が出るのは数カ月後からです。しかしながら、その数カ月後に、社員の士気が下がってきて売上や利益額が減少し、人件費は減ったはずなのに逆に赤字額が増えてしまったなどという例は数多です。
経営再建プログラムを始める前に、まず経営者は従業員のリストラや首切りを一切しないことを明言し、それ以外のお金を生み出す資産対策や経費削減対策仕入れ対策への協力をお願いしなければなりません。 ましてや、従業員に十分な説明もしないで一方的に給与・賞与を削減したり、首を切るような行為は言語道断です。そんなことをすれば、おそらく優秀な従業員から退職し、売上高や粗利益が落ち込むはずです。
もちろんプログラムの各種対策を終えても、営業利益が出ない場合は従業員の給与にも手をつける旨を事前に従業員に説明をしておくことにより社員の対策への協力度や意欲も大きく違ってきます。
私は、従業員の皆さんにも参加してもらい経営再建チームを立ち上げる際にお話する機会をいただいたときは「100マス分析」を使って、どうすれば従業員のみなさんの給与に手を付けるなく、会社の利益をだして経営再建プログラムを成功させられるかを説明させていただいています。
経営再建プログラムを成功させる過程でついた体質があってこそ、経営危機や赤字体質から脱却でき、黒字企業にもどることが出来るのです。再建プログラムを成功させた企業こそ、この企業再生手法の中で学んだ掴んだことによりで正常企業から、健全企業、無借金優良企業にまで一気に生まれ変わらせることができるのです。
出光興産の創業者出光佐三の映画、「海賊と呼ばれた男」をご覧になられましたか?
第二次大戦後の敗戦の危機を従業員を一人も首にしないと宣言して、耐えに耐えながら会社を再興させたどこん詳細の経営者の物語です。
経営危機の際も彼の言葉を肝にしたいものですね。
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社員は家族だ。
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家計が苦しいからと家族を追い出すようなことができるか。
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人を大切にせずして何をしようというのか。
次回は、第3章 「経営危機の乗り越え方」 (8)金融機関は一取引業者として交渉する-「金融対策」 です。
このブログ、「中小零細ファミリー企業版 『長寿幸せ企業』の実践経営事典2017」は井上経営研究所が発信しています。
井上経営研究所(代表 井上雅司)は2002年から、「ひとりで悩み、追いつめられた経営者の心がわかるコンサルタント」を旗じるしに、中小企業・小規模零細ファミリー企業を対象に
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