(市役所前には、殺された二人の女子学生を悼む横断幕が並べられている。)
私たちがカルバヨグに着いたちょうどその夜、大変な事件が起こりました。
タンシンコ大学とクライストザキング大学に通っている2人の女子学生が、夜、アパートの部屋に侵入してきた強盗に襲われ、殺されてしまったのです。治安が悪いといわれるカルバヨグでも、2人の女子学生が一度に殺されたのは初めてだというので、街の人々はその噂でもちきりです。
犯人ら(2人)はすぐに逮捕され、昨日、警察が、市役所の会議室でマスコミにインタビューさせたそうです。フィリピンではこのようなセンセーショナルな事件が起こると、犯人がマスコミに公開されることが多いのです。
会議室の前には大勢の街の人々がつめかけました。犯人らが会議室から出て下の道にでようとすると、街の人々が怒って犯人らにつめより大混乱となったそうです。その場にいたクリスは、殺された女性らの親族たち、そして両方の大学の学生らが涙を流して犯人にせまっていたと興奮しながら話してくれました。
この事件で特に驚いたのは、犯人の一人の父親が日本人だというのです。
10年前、私が初めてビニールチューブを使ったバイオガスプラントを設置したバルードというスラムで、クリスの家のすぐ近くに住んでいた男ですから、いつも彼の家の前を通っていたことになります。
この男は、以前から盗みや強盗などの犯罪を繰り返しており、今回も、昨年の12月に刑務所からでたばかりだといいます。
彼のファミリーネイムは「タマグチ」、日本人の子どもです。クリスによると、父親の日本人はカルバヨグに来たことはないということですが、彼も大変な暮らしをしていたのですから、その日本人からの仕送りなども全くなかったのでしょう。
父親の日本人は、自分がフィリピン女性に産ませた子どもが、スラムに住んで犯罪を繰り返し、ついには殺人事件まで起こしてしまったことなどもう知っているはずもありません。
ショックでなんと言っていいのかわかりません。
サマールの治安は悪化しているのでしょうか。
ワークキャンプが心配です。
ちょいさんもどうぞ気をつけてください。