旅とエッセイ 胡蝶の夢

亜細亜の旅日記、オリジナルエッセイ。投稿では万年佳作か特別賞。
まずはアンコール遺跡群

昔はスイカが安かった。 

2016年08月11日 12時23分55秒 | エッセイ
昔はスイカが安かった。   

 果物にもハヤリスタリがあるようだ。バイオの技術が発展、流通の革新があって新しい果実が登場した。50年前生のパイナップルは、果実屋の店頭にはなかった。甘いシロップ漬けの缶詰パインはナシ缶と2大勢力で、カゼをひくと開けてもらえた。だから今でもパイン缶、ナシ缶は風邪の記憶と対をなす。ナシの新種、二十世紀が登場して話題を呼んだ。名前もよかったのね。
 マンゴーだのパパイヤだの、後にアジアでたらふく食うが、当時は言葉だけだから味も大きさも分からない。南の島のパンの実、ヤシの実というのと変わらない。ヤシの実はそんなにうまいものじゃあないが、パンの実には未だにお目にかからない。オレンジだのグレープフルーツだのも新しい。グレープフルーツは出始めのころ、実に対して直角で切って小さなスプーンを差し込んで食ったものだ。
 アボガド、キウイ、ネクタリン、名前も知らなかった。あとプリンスメロンも出始めは新鮮だったな。今はメロンの種類も少しずつ変わってゆくようだね。そうだ、ソルダム(好きじゃあない)とかアメリカンチェリーも出てきたね。あとレストランの取り放題のサラダコーナーとかで、始めて食べた冷凍レイシ、楊貴妃の好物というキャッチフレーズは今でも有効なのかな。
 いろいろな果物が流通してくる反面、スイカは食べなくなったな。実の黄色いコダマ、ラグビーボールのような形、外見が黒くて縞模様の目立たないもの、バリエーションは増えたが1個丸ごと買うスタイルは減った。家族の人数が減り、高齢化が進むとスイカの出番は減るばかりか。1個3千円とかありえねー。かといってカットスイカは、量の割に高くて食指を刺激しない。
 昔は果物の種類も今より少なくて、たくさん作っていたんだろう。夏の盛りになると、スイカは値崩れして八百屋に山積みされ、捨て値30円とかで買った覚えがある。当り外れも多くて、母親はよく翌日に八百屋に苦情を言っていた。外から叩いてポンポン、音を聞いてもよくは分からない。結局切ってみて(緊張の一瞬)、ウハ、駄目じゃん、まあまあか、いいねーとなる。でも実が詰まっていても甘いかどうかは別の話だ。
 スイカの皮の白い所を切りだして、ヌカ床に入れて漬けものにした。でも誰かの食べ残しの再利用じゃあなー。スイカは冷蔵庫でキンキンに冷やしてザックザックと切り、縁側に座って種を庭に飛ばす。これが正しい日本の夏だ。おっツクツクホウシが鳴き出した。今夜は庭で花火をやろう。
 今は縁側も山もりのスイカも無くて、アスファルトの照り返しのきついただの暑い夏。窓をしめてクーラーをつければセミの声など聞こえない。蚊取り線香の匂いもない。だからアジアでホっとする。子供の頃の日本の疑似体験が懐かしい。始めて食べる果物もあるし安いし、人々の喜怒哀楽が路上に溢れているからね。
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