債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら 

ウォールストリートで20年、生き残ってきたノウハウを開示、日々のマーケット・社会情勢を分析します。

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日本ブランド

2008-05-14 10:44:01 | 考察

世界中の人々から見て「日本ブランド」といったとき何を思い浮かべるか?? 

トヨタとかソニーとかキャノンとか出てくると思うかもしれませんが、アメリカ辺りだとソニーはアメリカの会社だと思っている人がたくさんいますのでそうはなりません。

私の知る限り、彼らが日本ブランドと呼ぶ、或いは日本の力の源泉だ、と思っているポイントは「正確さ+お金に惑わされない正直さ」に尽きると思います。トヨタにしてもキャノンにしてもその日本人の力が製品に反映されているのです。

その意味で今回の吉兆の使いまわし事件はまさに日本ブランドを危機に陥れる一大事件だと考えていいと思います。携帯の電池が爆発するよりはるかに深刻な問題なのです。

よく、日本は労働生産性が悪い、効率が悪い国だと批判されますね。OECDの統計などでも労働生産性が15位とかだったりする。でもちょっと待って欲しいんですよ。それ、お金に現れるものだけで量っている訳で、お互い信用がベースでスムースにお金のやりとりができたり仕事が任せられるという、「信用」というポイントには全く考慮されていません。

例えば手形。これは日本にしかありえません。
100万円を90日後に払うよ、と私が誰かに出す訳ですね。悪い奴がいれば明日換金しちゃえ、なんてことがすぐおきそうですが、みなさん商習慣として90日をキチンと守る。

その代わり裏書をすることで次の人に譲れる。つまり100万円の価値を裏書で生み出していく。これはお互いよほど信用が無ければできない訳で中国はおろか、アメリカでも絶対に通用しない究極の信用システムです。

でもそのおかげで中小企業は資金繰りができる。丸紅とかが出した手形なら安心なので(最近社員が詐欺を働くのでそうでも無いみたいだけどね)丸紅は丸紅で長めのサイトの手形を発行する事で資金繰りが楽になる、というこれをまさに「ウィンウィンの関係」と言うわけです。

こういった信用想像力は手形にとどまりません。
例えば前にも登場していただいたワンさん。
日本に来た当初、ビエラが欲しいと言うので秋葉原に連れて行きました。そして感激して「よし、買おう!!」となった。

でもワンさんは今、そこの目の前で移っている奴(つまり見本で飾ってあってみんながべたべたさわった指紋だらけの商品)じゃなきゃ、だめだ、と言って聞かない訳です。

いやいや、ワンさん、あとで新品のきれいなものがきちんとクロネコで送られてくるからその方がいいよ、といっても聞いてくれない。いま目の前できちんと移っているという確証のある商品を自分で持って帰るのだ、といって聞かない訳です。

なぜなら、中国ではまず電気店が粗悪品にすり替えて送ると言うリスク、そしてクロネコが粗悪品にすりかえるというリスクが存在する。それを避けずになぜ、こんな高額な商品が買えるのか、とおっしゃる訳です。百歩譲って、全てを家に持ってきてすえつけてきちんと移ってからじゃなきゃ、お金は払えない、とおっしゃる。これでは手形は流通しませんね(笑)。

なるほど、ワンさんがレストランでイセエビをご馳走してくれる時には必ずイセエビを持ってこさせて、自分の選んだイセエビのひげを折るのです。そして折った位置を指ではかる。つまり厨房で違うやせたイセエビに摩り替えられるのが日常茶飯事なのでこういうことが必要だと言う訳です。

今回の吉兆の事件をみると日本でもこういうとが必要な気もしますが、ともかく日本ではこういうったことは全て信用ベースで処理され、信用を裏切る事が今まではなかった。

そしてワンさんは日本と中国でビジネスをして、この信用できない、と言う事に払うコストの膨大さに比べれば日本は本当に効率がいい、と考えるようになった、というのです。

それはそうです。いちいち相手の持ってくるものがインチキかどうか、チェックしなければならないという社会的コストは膨大なものです。しかも商売の相手だけではなく、中国人従業員に対しても同じような心配をしなければならない、そのための苦労と精神力は膨大なもので、日本語の出来るワンさんは結局いま上海事務所の20人のうち、18人が日本人になってしまった、と笑っている訳です。

まじめにうそをつかずにきちんと働く、こんな給料ならこの程度の仕事で当然だろう、と言うことが日本人にはない・・・これが究極の日本ブランドです。

アメリカや中国のマクドナルドに行かれたことがありますか?
どっちが客だかわからん態度をとられ、挙句の果てマニュアルにはねーだろー、くらいの焼け焦げたハンバーグにはみ出したレタス。これはドッグフードか、と思うようなものが平気で出てきますね。

私のアメリカ人の友人は初めて日本にきてまずマクドナルドに衝撃を受けた、という奴が多い。 まず、店員がみんな若くてかわいい(まあ、これは単なるスケベだね・・・笑)。更にとにかくにこにこしている。そして何よりレタスがはみ出してないハンバーガーが出てくる。唯一、ボリュームが少ない(日本人向けに少なくしてあるからね。日本ではビッグマックを3つ食う、ってやつが居ます)のが唯一の欠点だと言う訳です。

 世界中のサービス産業で忌み嫌われるインド人の話をしましょうか。
なぜ彼らは嫌われるか・・・彼らは伝統的にサービスに対する要求水準が高い。エアラインなどで一番要注意はインド人旅客とよく言われますね。

インド人の親友のラージから教わった思わずうなった、究極の手段があるのです。あまり悪用して欲しくないのですが、要する彼は飛行機に乗ったらすぐにコメントカードを取り寄せるというのですよ。

普通、サービスがひどいとかCAの態度が悪い、とか腹を据えかねてコメントカード下さい、と成る訳。エアライン側もそんなもん出されたらディモーションの対象になってしまうので必死に誤って勘弁してもらう、ってことになる。ところがラージは乗ってすぐリクエストするという。

何もサービスをされていないうちにコメントカードよこせ、と言う訳だからなぜですか、と必ず聞かれますね。そうすると「

いや、いいサービスを受けた時に好かったよ、とコメントしなきゃいけないから先にもらっておくんだよ」、と答えるのだそうです。

インド人、恐るべし。これでは文句のいいようがありませんし、あの客は先にコメントカードを握っていると思えば嫌でもケアせざるを得ないですよね。本当に頭がいい、というとともにラージは「こうでもしないとインド人は絶対に働かないんだよ」、と言う訳。

そして日本のエアラインであればそういう必要は全くないけどね、というのです。僕から見るとJALもANAも不満だらけですが、世界的にはすばらしい水準という事ですね。 事ほど左様に日本人のきちんとしたお金を意識しないサービスと言うものは世界中に認識されており、それは金融機関も同じです。

この程度の給料しかもらってないんだから窓口で1円計算間違ったっていいじゃん・・・という銀行のテラーはいない。アメリカで同じサービス水準を求めたら日本人の倍くらいのお金を払わないとそういう人材は確保できないんじゃないだろうか、と思うくらいですね。

ということで、だんだん麻生さんに似てきちゃいましたけど、日本ブランド、それは信用力、お互いが信頼できる社会力にあるということを再認識して欲しい、と思う今日この頃であります。それだけに許せんぞ、吉兆。

でも僕は付け合せのキャベツはいつも食べません・・・・

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58 コメント

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信用に加えてインフラも (がみお)
2008-05-14 11:22:51
はじめまして。
今日の記事は同感です。

加えて、日本のインフラの水準もすごいなと!
地震や落雷などの事故がない限り、停電しない。
水道は綺麗な水が常に流れていて、ガスが止まることも皆無。

こんなにインフラが整っている国は日本だけかと。
Unknown (Unknown)
2008-05-14 11:23:58
ぐっちーさん!
吉兆と言うなら~年金、国保でしょう!
キャノン? (通りすがり)
2008-05-14 11:36:34
キヤノン(日本の登録商標の会社名)なら米国人は米の会社だと思ってるんじゃありませんか?「日本にはニコンがあるけど、アメリカにはキャノンがある」という有名なネタ話を思い出しました。実際はどうなんでしょうね。
手形のくだり (通りすがり)
2008-05-14 11:38:20
どうがんばっても90日後にしか現金化されないのでは???
銀行で割る場合は、手数料払って手形担保に借りてるだけの状態ですよね。
裏書保証なしで現金化してくれるところってあるんでしょうか?

振り出し先の口座から、額面が引き落とされるのは、
あくまでも90日後の期日じゃないでしょうか。
そのとおりですね (アラン)
2008-05-14 12:05:50
海外、特にアジアだと知らない店で食べるのが怖いですし、病院だって例えば自然分娩より帝王切開の方が儲かるから何かと理由をつけて手術をしたり、必要のない注射を打たされたり。

日本人の良心の水準の高さは確かに世界トップクラスです。それが吉兆の例に限らず最近はいろんなところで崩壊してきていますよね。

原因の1つは、やはり終身雇用などの日本型の共同体組織が崩れ、実力主義・個人主義の欧米型のドライな関係が持ち込まれたことがあるんじゃないでしょうか。

真面目に働いても会社の都合でいつ首を切られるかわからないという風潮では、献身や奉仕の姿勢は生まれませんし、会社から会社へと移動して1つのコミュニティに留まる必要が無くなると共同体に付随した倫理観も希薄になりがちです。

また「貧すれば鈍する」というように単純に景気が悪いことも原因かもしれませんね。

とまれ、この国の民間企業はみんな必死に頑張っていますが、政治家と役人は腐りきってますね。

役所関係に行くと分かりますが、いまだに昼休みを2時間近く取っていたり、訳の分からん手数料を取られたり、収入印紙は外で買って来いだの腹の立つことばかりです。ホント公的機関こそ一斉リストラと業務・サービスの総見直しをしてもらいたいもんです。

マネジメントの資質、教育のミスマッチ、メディアの汚染・・このあたりが問題の本質だと思っています。
確かに (へきぽこ)
2008-05-14 12:31:13
日本ブランドがあるとしたら、ぐっちーさんの言うように信用なのかもしれないですね。吉兆の件も日本だからこそ騒がれるのかもしれませんね。でもこういうのってどこから漏れるのか… 以前ぐっちーさんが書いた内部告発(ちょうど新潟地震の頃)の記事を思い出す今日この頃です。
Unknown (umasashi)
2008-05-14 12:34:51
いやー、まさにおっしゃるとおりですね。
日ごろ思っていたことを明瞭な文章でこれだけ爽快に書いていただけるとうれしくなっちゃいます
Unknown (Unknown)
2008-05-14 12:46:59
アメリカの大学に通っているので、おっしゃることはよく分かります。ただ、労働者としては報われませんよね。
諸外国はわかりませんが (テーラー)
2008-05-14 13:45:38
日本人の就労意識の中には常に、「俺の代わりは常に存在する」という危機感が備わっているからではないでしょうか?

人口密度の高さから来る競争意識の高さに加えて、自意識の低さも手伝ってすごく他人からの評価にこだわる。それが元になって手形という信用決済が生まれたということでしょうか。

羞恥心。そう、私は一人では何もできない恥ずかしい人間。だからこれ以上恥ずかしいことはしたくないと過半数の日本人は心のそこから思っているんだと思います。

米国人の友人は、「お前たち日本人は、少しはできますが自信はないです」とか言うくせに、実際やらせてみたら「それをできるっていうんだよ」ってツッコミしたくなる奴がいっぱいいる。と言っておりました。欧米の方々、我々日本人に自信を与えてください~。w
Unknown (炊き込みパン)
2008-05-14 14:09:37
いつも楽しく読ませていただいております。

許せないのは船場吉兆だけにしておいてください。ほかの吉兆が不憫でなりませんので(笑)

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