債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら 

ウォールストリートで20年、生き残ってきたノウハウを開示、日々のマーケット・社会情勢を分析します。

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レバレッジ

2007-09-05 09:15:32 | 金融経済解説

放って置いてもいいんですけど、だんだんかわいそうになってきたのでもう一度。

もう1年前から何回も書いているのでこちらのフリークエントな読者の方は耳にたこでしょうけど、新しい読者かつ昔の記事を読むのが面倒くさい人がいるようなので(笑)再度おつきあいを。

世界中の中央銀行がシンガポール政府(中央銀行)のテマセックを真似て「テマセック化」しており、ハイレバレッジで投資をしているという話を前に書きました。これですべてなんですが、要するに「日銀型」は100億手元にあったら、その100億で投資をするというもの。だから仮にアメリカ国債がゼロになっても損失は100億。その意味では良し悪しは別として健全なんです。はい。さすが日銀。

所がテマセックを筆頭に特に新興国の中央銀行、場合によってはロシアのように国庫そのものがレバレッジをかけて稼ぎ始めているのです。つまり、自分でCDOをつくる訳ですね。

投資事業組合でもなんでもいいですが、まずテマセックが100億株式として出資する。これにドイツ銀行、とか、RBSとか、バークレーズとかが融資する。株が100億ある、しかもシンガポール政府のクレジットですから、5%比率くらいでも十分貸す事ができますね。そうすると100億元手に2000億が手に入ります。この場合、2000億円で買ったものがゼロになれば損失は2000億円です。簡単ですね。

しかし、実際には更にレバレッジをかけいてきます。
この箱で買った債券が2000億ある訳ですからこれをレポに出す。そうすると更に2000億、正確に言うと掛け目がありますが、相手が中央銀行だと100%レポに応じている投資銀行は多い。スレッシュホールドといって買った債券の価格が3%下がったら追証をくださいね、という取り決めはするのですが、これもテマセックあたりだといいお客さんなので、10%とかいうかなりルーズな取り決めになっている。(私は某中央銀行相手に実際に20%のスレッシュホールドで取ったことがある)

さて、この箱でサブプライムが入ったCDOを買っていたとするとどうなるでしょうか・・・・100億の出資金でCDO+レポで4000億のポジションを取っていますから、損失が100億という訳ではないですね。しかもこの箱の中身のCDOがいくらになっているかわからない訳ですから今は追証もとりようがない。相手が中央銀行であればなおさらですね。大丈夫なんでしょうか、という訳です。

そもそもこういうビークルで買ったCDOなんぞをレポで取るな、という議論はここ5年くらいある訳ですが、相手がテマセックとかになっちゃうと投資銀行は断れません。

こうやって世界中の信用創造機関ともいうべき中央銀行が今回の一連の混乱に巻き込まれている可能性をここでは再々指摘してきた訳です。

その意味で同じやり方をやっていたドイツの州立銀行が多額の損失を出す可能性は十分あるのですね。資産規模から見て考えられない、というご指摘はその意味で間違いです。記事が間違いだった可能性はありますが、これだけ世界中の公的機関がレバレッジをかけていることは我々の世界では常識ですから、可能性があるよ、とこちらで指摘したまでのこと。

「犬が虹を見た」、といってもだれも信じないですね。これと同じかもしれません(笑)。

ご注意!!

なお、テマセックはあくまでもこの種の仕組みの発案者という敬意をこめて例としてあげているもので、実際にCDO投資をして損失を出している訳ではありませんので誤解の無いように。可能性はありますけどね。

コメント (28)

証券版ミートホープ

2007-08-08 14:29:35 | 金融経済解説

かんべえ先生にCDO,すなわち証券化商品の問題点はダンボール入り肉まんのようなものだ、と喝破して頂きました。誠にそのとおりであります。

溜池通信

さらに言いますとさっさと金が返せん! と判定できたベアースターンズはたいしたもん、ともいえまして、こういうハイ・イールドの原資産ほどこういう状況下では価値算出の難しいものはありません。いつものとおりどこにもきちんと説明が出てこないので以下、もう少し詳しくこの世界を解説します。長くなりますがこのあたりをきちんと理解していただくと今回のことが大体ご理解頂けるようになりますのでお付き合いください。

一般的に証券化商品はCDO(Collateralized Debt Obligations)と呼ばれますが、実際はいくつかの商品に分かれます。

まずCBO。
Bは「Bond」のBです。これは通常、ハイイールド債券を200種類くらい買いこんでファンドを組成、ハイイールドですから格付けではBより下のものばかりを買い込みます。もちろん投資適格の債券を買ってもかまわないですが、それなら特定の債券を買えばいい訳ですね。ハイイールドはどれが潰れるか予想がつかないので分散しいましょうね、というのがスタートの発想です。

しかし、すべて「債券」ですので今回問題になっているサブプライムローンが入る事(殆どの場合)はないわけですね。逆にGMなどはもちろん、CCとかCの低格付け債券がごっそりはいっている可能性がありますので、どういう債券が組み込まれているかは実は注意が必要です。

ただし、ほとんどが公募債で構成されていますので、時間さえかければ一つ一つを探し出すことは不可能ではありませんし、社債発行のディスクロが進んだアメリカでは発行企業内容もブルームバーグなどで把握可能です。

そしてこれらのプールに対するリスクを分散し、つまり何がしかの債券がデフォルトした場合、全体のプール自体が毀損しますのでその際の毀損を受け持つ順位をつけておきます。一般的に一番下の優先順位のプールをエクイティー(株式)、そして次がメザニン(Subordinateともいいますし、かなり細かく分ける場合もあります)、そしてその上にシニアと呼ばれるカテゴリーを設置、通常は格付けなどをつけましてそこを債券と称して売っているものです。

例えば総額で200Mil・200銘柄のハイイールド債券を自分で買ったとします。自分でこれを保有していてそのうちの1銘柄、つまり1Mil相当がデフォルトしたとすると「やられ1Mil」ですから資産は199Milに減ってしまいます。当然CDOでも同じことが起きる訳ですが、先ほどのようにこのやられた部分を押し付ける順位を決めているところが特徴で、この場合で行きますと一番したのエクイティーに投資した人がこの1MILををかぶりますので、エクイティーが10MIL発行されていればここに投資した人は元本が10%毀損します。

一方それより上のメザニン、シニアクラスはこの段階では全く毀損がありません。しかし、お分かりのようにあと9銘柄、合計9Milがデフォルトすればエクイティーはすべて飛んで、次にメザニンがこのリスクを負うことになるのです。これがCDOの基本的な建て付けです。しかし、ここに恐ろしいからくりがあるのですよ

下位に倒産した場合のバッファーがはいっているので発行時はそれこそAAなどの格付けがシニアの部分には付いています。原資産が分散していること、バッファーがあることにより、現在のような倒産確率が低い状態ですと、かなり高格付けをつける訳です。怖いのはこの原資産、200銘柄の債券の一つ一つを仔細に検討してリスクの所在を明らかにした上で格付けを振っている訳ではないことです。あくまで分散されていて、倒産したら、下からやられていくので上の方までは来ないでしょう、というきわめて乱暴な推論に基づいている訳です。

実際にはデフォルトが起きるたびに原資産は毀損しますので、同時多発的にデフォルトがおきればあったはずのバッファーはたちどころに吹っ飛び、次にデフォルトおきるとシニアが毀損することになるのですが、この時点でさえムーディーズなどの格付け会社は格付けを変更しません。そんな暇が無い訳です、数が多過ぎて。冗談だと思われるかもしれませんが本当です。 (今回はさすがにサブプライム入りの、次に説明するCLOについて格付けの見直しを発表しましたがこれも一部にすぎません)

全く同じ仕組みで中身がボンドではなくローンになるとこれはCLOと呼ばれます。LはLoanのLですね。

実は先のCBOの方は既にこういう原資産が毀損して、AAだったはずのカテゴリーがある日突然毀損していた・・・という体験をしています。例のテックバブルがはじけた2003年に経験積みなのです。CBOの債券部分が飛びまくりました。ところが、実はこの時同じ仕組みのこのCLOはセーフでした。

なぜか??
そのときまことしやかにいわれたのが、やはりローンは担保がついているから安全なんだという話。実際はゴールドマンやモルスタのセールストークなのですが、ここを境にCLO神話が生まれ、それまでシニアしか手を出さなかった投資家がエクイティーに手を染めていくことになります。しかし、これらのローンはGEやIBM向けのローンではありません。

CBOのローンバージョンですから格付けは同じくBより下のインベストメントグレードに達していないものを用いています。同じカテゴリーなのにボンドは「ジャンクボンド」とよばれ、ローンは「レバレッジドローン」とよばれるのがお笑いなのですが、担保といってもこの格付け程度の会社が持っている資産とはなんでしょう?? 

住宅ならサブプライムだし、普通の企業だと、海のものとも山のものともわからんようなバイオの特許(99%は実現せずに消滅する)などが担保になっている訳ですが(お得意の知的財産権)そんなものが本当に担保価値があるのだろうか・・・・・というのは当然おきる疑問です。ただ、実際にはスウェット・エクイティーといってこれに株式価値までつける場合があるのですね。

いずれにせよ、この時期を境にCLOに投資が集中、日本の銀行ももちろん、世界中の金融機関が殺到します。その結果・・・・

同じBの格付けのジャンクボンドがL+300なのにジャンクローンともいうべきレバレッジドローンはL+100を切るという事態が起きます。2005年あたりから拍車がかかり、原資産でそれだけのスプレッド差がでますので当然CBOのAAクラスとCLOのAAクラスにもかなりのスプレッドの差が着くはずですが、なぜかこちらはほとんど変わらなかったのです。

当然CLO利回りアップのためにCBOより質の悪いローンが組み込まれた訳でしてこの代表例がこの頃から飛躍的に伸びたサブプライムローンだった・・・という訳です。

更に今回事態を複雑にしているのがこのローンという商品特性。
ジャンクボンドなら社債という基準のもとに統一されたフォームに則り発行されていますのでその全容は誰にでも明らかです。一方ローンは個別契約です。
A銀行が出したB社へのローン、C銀行が出したD社へのローン、これらをまとめていますから、一つ一つ、それこそデューデリしなければ本当の価値がいくらかなどとはだれにも分かりません。しかし、格付け会社はボンドと同じく一つ一つのローンは全く審査していません。対数の法則とバッファーの金額だけで機械的に格付けを振っただけなのです。

2003年のケースと比べると当時CLOがセーフだったのはCBOより比較的質の高いローンが組み込まれていたのが本当の原因であり、今回のように利回りを上げるためにサブプライムを組み込めば同じことが起きる訳です。

この状況下ですから、ベアースターンズはそれでも状況が把握できただけ偉いとも言える訳ですね。その他はどれだけやられているか、全く不明状況が続いているというのが実情でだからこその信用不安という訳ですね。ローンを一つ一つ紐解いていくのは気の遠くなるような作業です。そのときの組成担当者が辞めちゃってわからない、なんて代物まであるんですよ、実際に。事がそれほど簡単ではないことがご理解頂けるでしょうか。

PS 実際にデフォルトすると確かにリセールバリューというのが残ってゼロにはならないという議論もあります。今回はそれについては触れて言いませんのであしからず。

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トヨタと野村證券

2007-07-06 12:14:06 | 金融経済解説

「おい、どこに中国製品が入ってるかわからんのだから、原型のない、ハム、だのコンビニのコロッケだの、チキンナゲットなど、中身のわからんものは食べちゃためだぞ!! 」

「はい、わかってます。」

「 あと、うなぎはもちろん、スーパー等で売っている貝類もほとんどメードインチャイナで、麻痺製貝毒とか大腸菌とかうじゃうじゃ入ってるらしいぞ。」

「 はい、わかってます。」

「 野菜もだめだぞ。ピーナッツもほとんどチャイナ。これからつまみを買ってくるときは慎重に選んでこいよ。」

「 はい、でもぐっちーさん。一言いいですか。毎朝お飲みになってるそのペットボトルのウーロン茶、おやめになった方がいいんじゃないですか??」

「・・・・・」

 以上実話に基づく・・・・情けない。

さて、1985年以来、というようなものが相次いだのであれこれ調べているうちに気が付いたことがあるので、今日は備忘録的書き込みです。若い方はえー、という感想をお持ちになると思いますが、まあご参考まで。

 プラザ合意(1985年)以降、日本はバブルに突き進んだ。円高で景気が悪くなるとういのはうそだ、といつも私が言うのはその後、ドル円が1ドル250円から120円に突っ込んでいく過程でバブル景気(一般には1986年12月から1991年3月あたりまでを指す)を迎えていることだけでもわかるだろう。

さて、その最中。
1988年に野村證券は経常利益日本一宣言を出すこととなった。このときの野村の経常が5000億円、トヨタも5000億で、これからは金融の時代だ、だからトヨタを抜いて名実共に日本一、世界一をめざす、と高らかに宣言をした。それはまさに「ライジングサン」の始まりであり、この後株価が急騰して行くにつれ、それを背景に野村證券はまさに世界制覇に乗り出すことになる。

ニューヨークはもちろん、ロスアンジェルス、ヒューストンあたりまで駐在員を置き、シンガポールなど東南アジアを筆頭に、更にインド、UAE,オマーンあたりまで総合商社並みのネットワークを作りあげることとなった。これだけ「金融の雄」が直接出てくれば当時既に中抜き商売が廃れ、「物流から金融へ」というシフトを完了していた総合商社から見ればこの野村の海外進出はとんでもない脅威に思われたし、事実開発途上国以外でのファイナンスはことごとく野村が奪っていった。

1991年は日本の時価総額を背景にした海外買収が相次ぎ、東京23区の土地総額でカリフォルニアが買える、などと言ってはしゃいでいたのははこの頃である。三菱地所がロックフェラーセンターを買ったのもこの頃だ。

野村以外の金融機関も同様で、勢いづく日本勢に押しつぶされる様に収益を悪化させていたアメリカの金融機関は青息吐息、野村一社の時価総額はシティー、メリル、モルガンの3社を足して追いつくのがやっとだった・・・せめてシティーだけでも買っておけば、今頃日本は世界の金融大国だった・・・・とつくづく思うのだ。

もちろん製造業のトップ、トヨタもバブル景気に乗って絶好調だった。

しかしバブル崩壊ですべてが一変する事となった訳だが、現在この両者はどうなっているのだろうか。

トヨタは経常で2兆3000億円、時価総額は堂々の2160億ドルで世界第7位。
一方の野村證券は経常5000億、時価総額は370億ドルで世界ランクでは100位にも入っていない。日本はバブルですべてを失ったといわれるが、その意味では野村はすべてを失って、確かに経常は1988年に戻ってしまった。

しかしバブル崩壊後、しかもあれだけの円高の最中、実際円の最高値は95年4月、79円75銭をつけている訳だが、、一番苦しい時期があったにも係わらずトヨタはここまで成長を続けたのだ。一体何がこの2社の命運を分けたのだろうか?

バブル崩壊直後、野村はこれはいかんとばかりに大転換をする。
世界制覇の野望を捨て、本業回帰だ、まだ基盤の残っている日本の市場に資源を集中するしかない・・・とあれだけの海外ネットワークと投資と人材をすべて引き払い日本国内に集中した。しかも一番強い個人営業を強化すると言い出したのだ。

今思い出しても残念でならない。本業集中とばかりにせっかく芽を出しはじめた投資銀行業務、ボーダレスのM&Aなどの部隊をすべて国内に引き戻し、彼らを支店で自転車に乗せ株の注文をとれ!! とどやしつけた。どれだけ優秀な国際金融マンが野村を去ったか、言うまでもない。

 一方トヨタは歯をくいしばって海外の生産拠点を維持し、かつそれを拡大する戦略に出た。円高だから、やむをえない戦略だったのだとしばしば理解されるが、今当時のトヨタのメンバーから話を聞くと内実はそんな消極的な話ではなく、やむをえない戦略どころか今後10年20年を見据えた極めて勇気ある選択だったのだ。

トヨタが考えたこと。
それはバブルの崩壊で国内のパイを争ってみても仕方がない。日本国内の需要は人口減で遅かれ早かれ飽和するのだ。これからの生命線は海外にある、ということで中南米などの人口増加地域への進出はもちろん、一定の基盤があった北米市場の強化、更にはそれまで基盤の弱かった、あるいはメルセデスに未来永劫勝てないだろうと思われていた高級車分野の欧州生産にまで一気に走ることになる。 現在のトヨタの指導層はみなこの頃の海外ネットワークのトップを経験しているというのは偶然ではないだろう。

まさにこの海外戦略の違いにこそこの2社、野村とトヨタに象徴される金融業の凋落と製造業の興隆の原因があった、ということを忘れてはいけない。

 いや、金融業はとても海外で仕事になるような環境じゃなかったし、あれだけの株価や不動産の下落を見たらだれも日本の資産など買う分けないだろう、という人が多いのだがばかも休み休み言って欲しい。

円高なのだ。

現金ですら、10%以上の利回りでまわるのだ。

・・・・だから、この時期こそ海外で大いにPRをして海外の資金を寄ってたかって引っ張ってきて東京に持ち込むチャンスが十分にあったのだ。その証拠にこの時期にモルガン、ゴールドマンなどの外資系が東京市場で一気にシェアーを奪ってしまった。日本の証券会社がどぶいた個人営業で自転車であちこち回っているうちに、大切な投資銀行、債券、株式にいたるまで法人営業という法人営業がすべて食われてしまった。野村不在の証券業など赤子の手を捻るがごとく、「法人の山一」が潰れてしまったのは偶然ではない。

海外からの円資金の流入があれだけあったにも係わらず、野村は野村で国内株に集中といいながら、一体だれが海外の投資家向けに株式銘柄の分析を提供していたのか。だれが企業を連れてIRをやったのか。すべて外資だ。日本の証券会社は円高による海外資金の流入という千載一遇のビジネスをミスミス見逃していたのだ。

実際私はその時期に既に外資系にいたわけだが、海外の円資産への引き合いはものすごい勢いで、株式、日本国債はもちろん、投資銀行業務など大量のビジネスがその辺に転がっていた。

よく思い出すのは当時BOEが

「JGB(日本国債)を買いたい、できれば日本一の野村證券とやりたいが、彼らはあまり積極的にセールスに来ないし、2000億円の国債は仕切れない(一回の取引ですべてを決めること)と言っているので、あなた方(モルガンスタンレー)は仕切るというから仕方なく発注するよ」

と言ってきたことだ。BOEから見れば日本の国債を日本の証券会社が仕切らない、というのだから面食らった事だろう。世界中で国債を買っているBOEはびっくりしたに違いない。

野村にしてみればそんなものを2000億も仕切って損をするより、国内の郵貯、簡保などにしがみ付いていればシェアーは守れるし、余計なことはしたくない、という事だったのだろう。しかし、これにしたって現在の国債の引き受けランキングを見て欲しい。上位を独占しているのが外資系ばかりではないか。

危機に際して世界に活路を求めたトヨタとうちに引きこもった野村。
まさに日本の製造業と金融業の今の姿を現しているということだ。ではこれから日本の金融業は何をするべきなのだろうか?

 

次回は、では日本の金融機関はこれからどうしましょう・・・という話です!!

 

コメント (12)

それってオカマボンドかね??

2006-06-13 10:03:57 | 金融経済解説

くそ~、大荒れだぜ、酒でも飲むか・・・
と思ったところNYKから散々電話がかかってきてそれどころではないのでありました。
それにしても、NYKは引き続き、軟調・・・なんですね~、除くクレジットマーケット!! GMなんて値上がりしてます。なんなんだよ、一体・・・

大変ご質問の多かったポイント:クレジットマーケットってなんですか??

なるほど、当たり前のように使ってしまってはいかんのですね、反省反省。

クレジットマーケットとはその言葉の通り、国債以外の(国債についてはアルゼンチンみたいなものを除き、まあG7の国債と言い換えてもいいんですが、クレジットリスクゼロというのが市場の大前提になっています)リスクの存在する発行体により構成される市場のことですね。
通常債券、ローンの双方を含みます。地公体のような存在(青森県とか、NYK Cityとか)を含むか否かは難しい所ですが広義には含まれる、とお考え下さい。つまりこの市場はG7の政府は倒産しない、という前提にたって、それに比べるとどれだけ危ないか、それにみあったリターンが必要かということを判定し、それによってスプレッドとうものがついてきます。これの総体がクレジットマーケットということになりまして、一般的には社債市場と読み替えていますが、前述のようにローンもクレデリも含まれるというのが正解です。

例えばトヨタ自動車の社債。
実は、日本はこのスプレッドが滅茶苦茶で多分JGBプラス5BPくらいかな?そう、日本政府並ですね。

裏話をすると、日本は発行体がキングで証券会社は奴隷のようなもので、それを買う投資家はごみ扱いですから、元来もっとスプレッドがつかなきゃいけない低格付け(BB以下を投資不適格と呼ぶことは前にも書きました)のものも大変タイトに取引される傾向にあります。

例えば日本航空。
格付けがBですから完全にジャンクです。しかし、5年ものでせいぜい200BP程度のプレミアムしかついていません。これがアメリカの社債市場でBというと500BP程度のプレミアムとなる訳です。だから日本の企業は安全だ・・・などとおっしゃらないで下さい。それだけ投資家の方は無駄なお金を払っているに過ぎません。

本当は日本の投資家が怒りまくって、同じ水準と言わないまでもあと100BPくらい調整するまで日本の社債を売りまくって裁定される・・・というのが経済学の教科書なんですが、そうは行かない訳です。ドルをもっててもしょうがないよ、という年金のお金などがありますので、いつまでたってもいびつなままです。じゃ、仮にJALがドルでファイナンスをするとどうでしょうか?? しっかり500BPのプレミアムを払う事になります。

そうなると当然逆があるわけですよ。
ドルで調達するとたいへんなスプレッドを払わねばならなかったアルゼンチン、トルコ、果ては潰れる直前のエンロン、渤海湾などなど、危ない連中は最後の最後、円で調達する傾向が出てきます。(こういうものをサムライ債と呼びます。なんでサムライなのか、よくわかりませんね。個人的には性別(格付け)不能なのでオカマボンドと呼びたいくらいですが) 実際個人の投資家の方が多数アルゼンチン債券のデフォルトでお金を失いました。
ついでに中国の悪口をいうと、渤海湾などは一応「省」のギャランティーが付いていて、国に順ずるという建前で起債したのですが、いざ支払い不能になったら、驚くべき事にドル建て、ユーロ建てのものは完済、円建てのサムライだけをデフォルトさせた、等と言うとんでもない事態が頻発しました。もちろん中国よりの朝日新聞はマッタクこの事態を無視、しました。
余談ですが、こういうときは円借款で償還すべきでしょうね。

ということで、話がそれましたが、クレジットマーケットでの調達とは元来返さなきゃいけない資金ですので、株と違いましてその企業の姿がかなりビビッドに反映されます。株は最後は紙切れだろう、という前提があるのでスタート時点でかなりリスクがインプットされますが、債券やローンは返ってくることを前提に資金を出しているので相手方のクレジットにはより敏感に反応するという訳で、昨今の緊急事態に置きましては株価より重要だ、ということになります。但し日本のものは前述のようにまったくあてにならず、アメリカのクレジットマーケットということになります。

そうなると、どうやって見ればいいのか・・・・・というご質問もたくさん!!

確かにだーれもこのマーケットを相手にしていない。商売になんないからだと思いますが(笑)。これではいけませんね~。

www.lcdcomps.com

これはSP社の低格付けクレジットについてのコメンタリーでして、結構参考になると思います。個別に見ていくの大変だと思いますので、全体像を見るためには

http://news.morningstar.com/fundReturns/FundReturns.html?category=$FOCA$HY

あたりで、ハイイールドの投信の値動きを追うのが手っ取り早いと思われます。

もう少し捜してみますが、信頼が置ける、ということも含めて考えるとこのあたりでしょうか。

まあ、こちらのブログではできるだけきちんとレポートしていくつもりです。

では!

コメント (9)

元の切り上げと為替の行方

2005-05-23 16:45:19 | 金融経済解説
結構ご質問の多いのがこれ。今年の重要テーマですものね。われらがマンデル先生のご専門でもあるので、ちょっと特集しておきましょう。

元を切り上げると円高になる・・・・だろう、と思われますが、その保証はありません。切り上げ幅にもよるでしょうし、いろいろなファクターに左右されますが、変動相場制移行という話でもなく、単に切り上げて、ドルペッグ制を引き続きとるならその影響は限られてくるでしょう。元ドル相場が固定されているので、元円相場も固定されているようなものです。対ドルで円高、という方が多いのはむしろドル安なのだから、円高でしょ、というわりと単純な考え方でしょうか、私もそちらだとは思います。相対的なドル価値の下落と読むわけです。

ポイントは2つあります。1つ目。こういう金融自由化の進展はその通貨がより強くなると言う意味を持っていて、ドル需要が減ることによるドル安という見方をします。しかし元の場合こういう体制の国の通貨を持っていて安心だという人が世の中にどれだけいるんだろうか・・・ということからするとやはり元に対する需要は限られてくるでしょう。ドルペッグを続けるならドル資産を買い続けるしか中国に選択肢はないので、それだけでドル安とみるのは難しいのです。これまでのアジア通貨のような「相対的な」通貨需要はない(資産としてのニーズ)となれば極めて限定的な通貨の上昇でしょう。(もちろん現在は中国外での取引は原則できないので、実際に買おうとしてもっ難しいんですが、中国内部にいる外資系企業が元で保有するリスクはかなり高いと見ているはずです)

2つ目はこのドルペッグを辞めると言うケース。この際、シンガポールのようにバスケットにするよ、という可能性は無きにしもあらず。現在1ドル8.3元でほぼ固定されており、これを0.3%という幅に動きを制約しています、それを超えると政府が介入してくる訳ですね。これを例えば8元に対する価格表示をドル、円、ユーロなどのアベレージ(恐らく加重平均)にするというやり方である。この場合、通貨の(元の)ペッグしている相手の通貨が分散するので、その分散どおりに外貨資産を積み立てることになり、これは完全にドル安要因といっていい。今までのように一方的にドルを買わなくても良くなるからですが、但し、これは唐突には行かないでしょう

元と言う通貨は中国国内に留まっていて、海外で売り買いが難しい(一部香港などで例外的に行っている)訳で、メカニズムとしては中国が輸出で稼いだ外貨が殆どドルのため、これを中国全土の市中銀行から一方的に中央銀行が買い入れ、その代わりに元を発行している事になります。決済資金の一部が他通貨ならそのまま同様に買い入れればよいが、もし、貿易決済の大半が引き続きドルである場合、他通貨に変更する度に為替リスクを負うことになりますね。この場合もドル売り他通貨買いなのでやはりドル安材料になります。さらに貿易取引の最大の相手である日本との間の決済を円、ドル以外の通貨で決済できるのかどうか、まあ、微妙でしょうね。もちろん技術的には可能ですよ。

問題の根はちょっと別なところにあるかもしれません。WTOに加盟しているような国が今のような閉鎖的マクロ経済運営を続けられる可能性は極めて低いでしょうが、中国共産党の全ての権限を無視して将来的に元を変動相場性に移行し市場リスクにさらす決断がはたして出来るかどうかということです。それについてかなり明確な姿勢を中国政府が打ち出さない限り、いくら自由化しようにもこの通貨に対するニーズと言う意味では極めて限られてきて、将来的には(アジア危機のような)通貨危機の引き金を引いてしまうことも十分に考えられます。実際にアジアの通貨危機は起こったわけで、一時的アジア通貨高が輸出を減らし、外貨準備を減らし、いざ通貨価値が下がってきたときに買い支えようにも買い支える外貨が国庫になく、HFの餌食にされた、という事態です。韓国などは、これでIMF送りにされてしまいました。

ほんとうに怖いのはやはり通貨安なんです。日本ではこのあたりがまだ理解されておらず、実際に円安を食い止めるために円買い介入をする時は相応の外貨を必要とする訳で、かなりの困難が伴う筈です。まだまだWTOに入ったばかり、かつ制度上の信用度の低い元が今後どういう扱いを受けるか、世界初の大実験です。マルクスもレーニンも共産主義を標榜する国が通貨自由化に直面するとは想像すらしていなかったでしょう。

わかりにくい議論にお付き合いいただきまして有難うございました。
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GMでひと儲けしたい!!   

2005-04-19 16:50:17 | 金融経済解説
などという、個人の方にしては大変アグレッシブな方が多数おられるようで、よく問い合わせがあります。

質問:今債券か株を買うべきでしょうか??  
ぐっち先生の答え:NO,まだ下がるでしょう。
質問:じゃあ、株をショートする??  
ぐっち先生の答え:NO,今救済案が万一出たら踏まれます。

なんだよ、何もできねーじゃないかよ・答えになってないぞ!!

そうなんですよ、こういう混乱期は「見るのも相場」などと昔からいいましてね・・・

などと説明しているうちに殴られそうなので、まあ、ちょっとしろーとにはきついのですがNYKなどに口座を持っている、或いは使わせてくれる友人がいる、というちょっと厳しい条件ながら今の状況で、リスクを抑えてリターンを最大にする方法があるにはあります。これはプロ中のプロ、ということになりますが、ご参考までに解説しておきます。
但し、この種のことは算数的に説明するのが一番簡単ですが、ここで数式とか出すと殺されそうなので数式は使いません。イメージで捉えてくださいね。

本件の投資ポイントは

1.だれも倒産するとは思っていない。
2.ただ、下値の見当ががそのあまりにも巨大な発行額の為つかず、政府も救済するには
  かなり慎重になるだろう。今80で買っても50,40になるかもしれない。

という事です。特に5年後はともかくも一年後に倒産する確率はかなり低いとみるべきでしょう。とてもアメリカのロビイストが許すとは思えませんね、そんな状況を。

そこでこうやります。

1.期間5年程度のGM債券をロング。買う訳です。利回り8%としますか。

2.GMの期間1年間のプロテクション(CDS、クレジットデフォルトスワップ)を売ります。

3.買ったGM債券の同じ価格(ATMといいます)または多少損をしても仕方ないとあきらめの付く価格(OTM)のプットオプション(期間1年)を購入。

この3つを組み合わせます。

1.は簡単ですな。買います、はい。

2.を説明します。オプション取引の一種と考えてください。普通はストライクプライスという行使価格、つまりいくらで売る・買うという権利の売買なのですが、このCDSの特徴は価格は無視してとにかくつぶれるかつぶれんか、どちらかに掛けましょう、という話し、そう、例のサイコロの丁か半か・・・って奴です。それを売るわけですから、1年以内につぶれてしまったら、さようなら、実際には倒産したGMの債券を引き取らなければなりません。まあ、紙くずですな。

ここで、実はリスクをダブルでとったことが判りますね。つまり、倒産しないということについては自信があるわけですから、ここのリスクを余計に取る訳です。倒産すると債券でやられ、プロテクションの売りでやられます。リスクはまあ、ざっくり倍といっていいでしょう。こういうことを専門用語で「レバレッジをかける」といいます。

みそは3.です。こちらは通常のプットオプションの購入ですので、購入した価格でいつでも売却できる権利を買うのです。つまり、@80で債券を買ったとすると、期間一年(実際は価格下落リスクの発生するとおもわれる半年程度が効率がよろしい)行使価格80のプットオプションを、しかるべきコスト(当然かなりのコストです)を払って購入します。しかしながら、あなたはこの先債券価格が50になろうと40になろうとその期間であればいつでも!!! 80でこの債券を売却することができるのです。

これらを全て合成しますと
1.による債券の利回りがプラス
2.によるプロテクションの売りによるオプション料でプラス
3.によるプットオプションの購入によるオプション料でマイナス

まあ、ラフにプラスが二つでマイナスが一つとお考え下さいませ。正確にパソコンなどでごそごそ計算すると、今やりますと400BP程度(年利4%)稼ぐことができます。

債券はいつでも購入価格で売って逃げられますから、価格リスクからは逃げました。絶対倒産しないと思っていれば1及び2のポジションは容認できるでしょう。実際には40まで行ったら、オプションを行使して80で債券を売ってしまい、もう一度40で買いなおすか、そのオプションだけ売るっぱらってしまい、更に追加で買って全体のコストを下げるか(専門用語でナンピンといいます。難品と書きます。難、すなわち損を平らにするわけですな)の判断になるでしょう。

とまあ、こういうことをやると、自分の取りたいリスクだけに限定(GMが倒産しないというギャンブル)して収益を上げることができます。

もちろん単純にプロテクションだけ売ってもOKですが、個人の場合はそれだけやるのは難しく、上記を組み合わせた商品を証券会社に作らせることになるのですが、日本では残念ながら無理ですね。アメリカなら可能です。さすが、投資先進国ですね。

おい、出来ない商品の紹介するなって? いえ、今後の応用問題のためのウォーミングアップだと思って我慢してください。スミマセン・・・・

ちょっとウォールストリートらしい書き込みで今日を終わります!
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世の中で一番正しいLBO解説

2005-03-23 09:38:42 | 金融経済解説
あちこちでかなり誤解されているので、改めてポイントをアップします。

1.公開買い付け価格

2割上だとかテレビで言っている専門家と言われる人たちが多いのであきれます。それではだめです。2倍、3倍のTOB価格をわざとつけるんです。

2割程度だとこれに応じないという選択肢が正当化される可能性があります。つまりTOBの成功が保障されていない時点では2割程度のプレミアムでは手放せなかったという言い訳を株主がするわけですね(この場合は特にフジテレビの親密先)
ところが2倍だったらどうでしょうか? この先株価が瞬間的に2倍になる可能性を見ていたので売らなかったなんて言い訳は通用する筈もなく、ホリエモンが嫌いだから売らないなんてことは言ってられないわけですね、株主は。瞬間2倍で売れるという高収益チャンスを逃す訳ですから、代表訴訟には絶対耐えられません。従ってこの値段でTOBを仕掛けられてしまうともう、売らざるを得ない。これが基本中の基本。

2.借り入れ

いくらフジの資産が大きくてもそんな値段でTOBしたらどうやって資金調達をするのかね、という話が多く語られてますね。全く違います。資産に見合った適正な範囲の借金をすることはLBOとは言いません。下手をすると資産の倍くらいの借金を抱えさせるのです。

借金漬けにする

というのがこのスキームのポイントなんです。それが Leveraged と名づけられた所以であります。

但し、

金利の払いがキャッシュフローの範囲内で

というのが条件です。

すなわちインタレストカバレッジレシオと呼ばれる数字を見ておりまして、キャッシュフロー/支払い利息が2倍程度に収まっている限り、その借金総額がいくらであれ、借金を払い続けている限りその会社は倒産しない訳ですよね。あとはこのキャッシュフローがあまりに上下するようでは、そんなのあてにならん、という話になってくるんですが、前にも書きましたようにフジテレビは広告収入が非常に手堅く入ってきて、かつ、これはあまり景気変動の波を受けないもので、計算しやすいのです。

予断ですがLBOの教科書では ローテク企業を狙え、というのが鉄則です。
フジがローテクとはいいませんが、そこで言われている意味は、間違っても例えばマイクロソフトなんかをLBOしてはいけません。なぜか?? 技術革新が激しすぎて明日には持っている技術が陳腐化しているリスクがあるんです。これ以上技術革新のしようが無く、マーケットシェアーが安定している企業がキャッシュフローにぶれが少ないためにLBOの対象となる訳です。

フジがローテクとはいいませんが、地上波という技術が既に成熟化してしまっていること、何よりマーケットシェアーに殆ど変化が無いこと、そして参入障壁が極めて高いことを考えるとそのキャッシュフローは潤沢かつ安定的ですので、3000億なんてせこいことではなく、1兆円だって調達できてしまいます。

銀行は貸さんだろうって??

いいえ。問題ないんです。そこでジャンクボンドが登場するんですね。アメリカで1980年後半に起きた手法は金融機関はあくまでこのジャンクボンドが発行するまでの繋ぎ融資を行い、ジャンクボンドは一般投資家が買うんです。フジテレビ、年利5% 期間5年なんて債券が発行されたとすると、むしろ買わない理由は無いんじゃないですか、みなさん。アルゼンチン3%だって売れたんですからね。

このLBOを語るに於いてはこのジャンクボンド(ハイイールドボンド)というのがどうしても必要なスキームです。「ジャンク」というのは通常BBBを下回ってしまった債券のことを呼び、私のGMの特集で指摘しましたとおり、あのGMはここまで下がってきてしまった訳ですが、こういうLBO銘柄は最初からBBとか、低格付けでスタートする訳です。

当然上場も取り消しますし、BBやBからスタートしたフジテレビの資産をあれこれ切り売りしながら借金を返済、キャッシュフローも一部は元本返済にまわします。景気の変動にあまりさらされませんから5年でも6年でも時間を掛ければよろしい。

最後には借り入れが減少した結果格上げされた収益(借り換え益ですね)と、再上場した莫大な上場益がLBOした連中にはころがり込む、という訳です。

錬金術、といわれる所以が少しわかっていただけますでしょうか。
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