北村タカトシ(旧ブログ)

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2月の本ネタ

2014年02月28日 | 本や音楽、講演などなど




福田恆存と三島由紀夫〈上・下〉― 1945~1970
遠藤浩一

故・遠藤先生の本。

遠藤先生は歴史的カナで書かれます。そして難しい漢字が多い。
はっきりいって読みにくいのです。
しかしそれは遠藤先生の美学でもあります。そのルーツとなった「国語」の解体についても記してありますが、先生の「好み」なんでしょうね。

浅学のわが身、恥ずかしながら、福田恆存の存在を初めて知りました。
上巻は三島と福田の芸術観や創作活動を通しての交友や政治的に偏った演劇についての考察等。
下巻は憲法の欺瞞や「醜悪」と言い切る戦後政治史について。
田母神論文と栗栖超法規発言のくだりには何とも情けなくなります。


どちらかと言えば下巻のほうが面白い。遠藤先生の幼少時代に起こった三島自決や演劇にのめりこんだ話は嬉しくなります。
学生時代に「痺れた」という福田「防衛論の進め方についての疑問」が読んでみたくなりました。いや読まねば。


この本にも一筆頂こう、と思っていた。

しかしそれはもう叶わない。

返す返すも本当に惜しい、そして早すぎます。


明日、霊前に参ります。





のうだま―やる気の秘密
上大岡トメ、池谷裕二

あっさり読めてわかりやすい。というかマンガです。
内容にもイチイチ納得。

やる気スイッチの入れ方を探している方に。




昭和天皇の学ばれた教育勅語
杉浦 重剛

昭和天皇が13歳から19歳までの間に受けられた御進講(いわゆる学校の授業)の原書。
教育勅語の一文一文を紐解き、その意味や歴史上の人物がどのように体現してきたかが記されています。
大正時代の文語調ですから読みにくさ全開でした(涙)

乃木将軍や豊臣秀吉、二宮尊徳といった人物像を引き合いに徳性を高めていく御進講。
それは、戦後マッカーサーを感服させ、ウェッヴ裁判長に「神だ」と言わしめた昭和天皇の御人徳を形成していったのです。

読みにくいですが、チャレンジする価値はある一冊です。




妻がなぜか島耕作シリーズを揃えた。それも課長からズラリ28巻。

私は普段マンガは読みません。
マンガを読みはじめると時間を忘れてハマってしまうから意識的に避けてるんです。


・・・読破してしまいました。トホホ

市町村議会議員研修「3月議会を前にそもそもから学ぶ社会保障」

2014年02月15日 | 視察報告書等
講義1「基礎から学ぶ社会保障制度の新展開」では金沢大学教授・横山壽一氏より社会保障制度改革推進法を中心にした社会保障制度の問題点のあるべき姿を中心にした講義がなされた。
安倍政権は社会保障理念を変質させ、制度改悪に走っていると断じる。その根拠は憲法で生存権が謳われており、すべての人に無条件で平等に生存権・生活圏が付与されていると説く。また「自助・共助・公助」の考え方がそもそも間違っており、人間が努力する、努力しないに関わらず無条件に救済すべきだという主張である。
社会保障費財源を確保するための消費税増税はまやかし、デタラメ、裏切りとし、所得税・法人税の累進性を徹底する改革により所得再配分効果を強化、そして大型公共工事、防衛費、ODAを削減して財源確保するべきだと主張。全く同意しえない90分間の講義は現政権への批判と非建設的な論調であり、得るものがなかった。質疑では地方議員としてどのような行動をすればよいのか?という質問もあったが、具体的な提案もなされることがなかった実りのない講義であった。

講義2「困窮者の生活支援をすみやかに」ではNPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典(社会福祉士)より大学生の頃より取り組んできた生活困窮者支援活動の報告を中心にした講義がなされた。
貧困問題は社会構造のひずみが発生させている問題だとし、数値で見る貧困と格差のデータの提示がなされた。
しかし提示されたデータは2000~2011年のものであり、昨今の改善した数値のデータは提示されていないのが説得力を欠く部分でもあった。
弁護士、労働組合、市議議員などで構成するNPOの支援活動を写真を交えながら紹介し、失業保険の給付窓口や労災窓口、労働基準監督署の相談窓口を若い世代に広報してほしいと呼びかけられた。
銀行支店長であった方がホームレスになったケースを紹介され、ブラック企業の長時間労働が原因であるうつ病が離婚やホームレス化の原因であり、相談窓口についての知識があれば防げたケースであるかもしれないと分析された。
「ホームレスは自己責任」という風潮には疑問を感じる。雇用環境の改善や、救済策を充実させるべき。という氏の主張に全面的な同意はできない。しかし、貧困問題は社会構造の変化が原因の一つであるという論調には概ね同意できる。国富が減少すると共に、トリックル・ダウン(所得の再配分)が細っていく、家族や地域の繋がりが細まっていくこの現況を変えるためには、国力(特に国際的経済力)を向上させ、再チャレンジ可能な社会を構築することが急務と言える。大学生時代から続けている(現在31歳)貧困問題に現場で取り組むという氏の姿勢とバイタリティには感心した。空き家を埼玉県より補助を受けて借り生活困窮者等の受け入れ施設とし、スタッフの人件費は約100名の賛助会員会費(自民・民主・社民・共産の超党派議員が20名)や寄付などで賄っているという。議会での政策提案にも一役買っているようだ。これこそ社会の課題を解決する社会企業家のあるべき姿だと言えるだろう。今後の建設的な活動に期待するところである。


講義3「介護保険の改定と自治体の課題」では立教大学コミニティ福祉学部講師・服部万里子より制度改正の流れや高齢化の詳細な内容、介護人材の不足、介護サービス形態の変遷といった高齢者を取り巻く環境を最新のデータを交えて解説された。ケアマネージャーとして15年の実務経験を交えて制度の網にかからない弱者への視点や将来への課題・警鐘は慧眼と呼べるものであった。特に介護予防通所、訪問は地域の総合事業に移管するとのことで、当面の財源は国が担保するという見解だったがこれまでの経緯を鑑みれば、先の見通しは暗い。加えて単価設定は自治体にゆだねられている。当市でも通所、訪問介護事業所が理学療法士等専門職を確保するのは至難の業で、大部分が移行せざるを得ないのではないか。またサービスの質を維持する為のチェック機構をどのようにして設けるのかも不透明な部分が多い。今後の議論を注視する必要があるだろう。
社会保障費の削減を在宅介護によって実現しようとする様々な提案やロードマップは渋谷区を「日本一在宅介護ができる街にしたい」という高い目標を掲げる氏の一層の活躍を期待するものである。質疑も充実し時間が切れ。理知的かつ野心的な素晴らしい講義であった。

講義4「子ども・子育て支援推進制度の実施を前に」では佛教大学、杉山隆一より市町村・地方議会の課題、子ども子育て会議と事業計画について講演がなされた。市町村が定める条例についての基準について詳細な説明があった。設置基準や保護者負担、保育士資格等、現行基準より引き下げさせないようにするために議会の役割があるとした見解であった。議会より意見書を決議し内閣府に送付することも一つの手段である旨の提案がなされた。まだ保育士の人材確保が難しくなるという懸念が示され、雇用形態についても非正規率を引き下げることが重要だという見解が示された。

講義5「そもそもの仕組みから学ぶ高い国保料」では、神奈川県職員、神田敏史(同県職員労働組合中央執行委員長)より国民健康保険制度のおこりから意義と課題、現状についての講義がなされた。
社会保障国民会議では都道府県に益々運営困難になる国保財政の押し付けがなされたという見解であった。ただし抜本的な財政基盤の強化をつうじて都道府県の財政構造問題の解決が図られることが前提とされており、その財源については現在議論が進んでいるところで27年春の国会で改正法案が提出される。
それまでに自治体の財政負担を軽減する主張を国(財務省)に対して主張することが求められる。中・低所得者層の負担軽減を実現する為、という理由を推奨された。
制度の歴史や変遷について詳細な講義となり、途中省略や今後の展開についての考察が十分でなかったのが残念であった。

6.所見
二日間の座学となった今回の研修で5つの講義を受講した。今更ながらに講義の質やその効果は講師の能力次第であると認識させられた。偏ったイデオロギーの主張を繰り返す市町村議員の範疇を超えた講義、答弁になっていない質疑。反対に、主義主張を超えて支援を集めるフレッシュな若人の取り組み、現状を数値で把握しつつ、社会保障費を削減しながら高齢者の生活の質を向上させるための理知的で建設的な講義。何れも色々な意味で勉強になった。自治体問題研究所が企画する研修会は全体的に主張の偏りがあるという事も収穫の一つであった。
故・遠藤浩一拓殖大学教授は「政治とはよりマシな選択の集積である」と喝破された。現在の制度も戦後から積み上げられてきた集積の上に成り立っていると言えるだろう。その時々に有権者が政治家を選び、政治家がこれまでの制度を鑑みながら「よりマシに」という思いで選択を重ねてきたはずだ。中には私利私欲の為の“政治屋”もいるのではないかという指摘を全否定することはできない。しかしそれを含めての選択の集積が現在の社会である。社会保障制度の改革を改悪だと声高に叫ぶことは易い。しかしそれはルサンチマンでしかない。
最後に小西砂千夫関西大学学院教授の言葉を引用したい。
「一発逆転の抜本改革を夢見た私たち自身の愚かさに学ぶべきではないか。影響の大きな社会制度は、漸進的にしか動かせない。それまで機能してきた制度を捨てるよりも、そこに隠された知恵を学び、どこを微調整するかを考えるほうがはるかに建設的である。日本人の勤勉さや真面目さは、その中でこそ生きるはずである。何を変えるかではなく、何を変えてはならないのかを知ろうとする方が大切な議論である」

文責 北村貴寿

横浜市港北ニュータウン「燃エンウッド」、静岡県伊豆の国JA「新規就農者支援」

2014年02月08日 | 視察報告書等
経済厚生委員会の先進地視察にいってきました。
今回は民間対象です。

・横浜市港北ニュータウン・サウスウッド
竹中工務店が研究開発した建築資材「燃エンウッド」を活用して建てられた全国初の大型商業施設サウスウッドを視察してきました。
カラマツの集成材にモルタルを組み合わせ、1時間の耐火実験に耐えうる構造を持った建築資材です。

昨年オープンしたばかりで視察も多いとか。UR(都市開発機構)の後継の第三セクター横浜都市みらいが運営しています。
公共建築等木材利用推進法が2010年に施行され、公共施設の木造化が進んでいます。サウスウッドの場合はすべてRC構造にした場合と比較して20%増しとどうしてもコストアップ上がってしまいますが、木のぬくもりを感じる費用対効果のみで判断できません。
また、集成材なので間伐材の有効活用にもなります。強度的にRCと組み合わせる必要がありますが、4階建てまで建築可能ですから県立図書館なんかにも良いですね。

横浜都市みらいが進めたグリーンマトリックスという緑を最大限に保全するまちづくりにはピッタリ。竹中工務店以外にも鹿島など大手が様々な手法で開発していますから徐々に単価も下がるでしょう。

森林保持にも役立つこの素材。この施設に使用されたのはカラマツ集成材ですが、杉やヒノキでも作れるそうですから地域性を鑑みた資材として活用が広がりそうです。


・静岡県伊豆の国市「新規就農者支援について」
日本農業賞を受賞されたJA伊豆の国さんにお話をお伺いしました。
後継者不足が大きな問題となっている農業ですがミニトマトを作っている皆さんの平均年齢は47.1歳です。

儲かる農業ということで農業所得1000万を実現すべく就農支援に取り組まれています。
「ニューファーマー地域連絡会」「がんばる農業人支援事業」等を展開。新規就農者の主力はミニトマト。8.4億の販売額の内、6.9億が新規就農者によるものです。人口5万の伊豆の国市ながら大村市の新規就農者数(前年度年間3名)は倍以上の7名。
離農者もゼロと継続率も高い地域です。やはりというか、技術研修や経営指南のコアになる方がいらっしゃいます。市議会議員も務められているとか。

様々な制度も活用しながら、希望者に自らの農業決算書を開示、地域の方々を巻き込みながらニューファーマーの育成に当たられています。後継者がいなければ育て上げる、という考え方で、ボランティアで農家を回り指導に当たられているとか。
比較的軌道に乗りやすいとされるミニトマトとイチゴに作物を絞ったこともポイント。行政としては基盤整備に力を入れているとのことです。

農業を事業として成功させるには、趣味や定年後の農業とは違う、高度なプロの技術が必要だということで、経営知識から植物生理学、土壌学、遺伝学等々の高度な学習をされています。地力もあるという事も手伝って、3年目からは500万以上の所得が見込めるとか。

農業は自然が相手ですから大変だと思いますが、収入も見込める魅力ある仕事にするという取り組みは大変参考になりました。


イラストは伊豆の国市のゆるキャラ「てつざえもん」
江戸末期、ペリーを追っ払う為につくられた大砲を鋳造した溶鉱炉跡があり、世界遺産登録を目指しているそうです。

公式報告は他の議員が担当します。

1月の本ネタ

2014年02月01日 | 本や音楽、講演などなど


日本書紀(上・下)全現代語訳
宇治谷 孟


新年読み始めは日本書紀。

天武天皇の発意により養老四年(西暦720年)に完成した官撰の歴史書。30巻に及ぶ膨大な量と漢文体の難解さで一般にはなじみにくいとされてきたものを20年かけて現代語訳された画期的な労作・・・だけにスラスラ読める、というものではないような。私は結構時間がかかりました。

古事記より歴史書という側面が強い、とされていますが、なかなどうしてこちらもファンタジー&バイオレンス&セクシー(失礼)

武烈天皇のくだりなんかは思わずのけぞってしまいます。
現在からは想像もできませんが、国家権力の統合ってこういう事なんだろうなあ、と思います。
武家社会の到来以前には天皇家も戦国大名と変わらない存在だった訳ですね。

後半になればなるほど子細になり現実味があります(当たり前か)
おなじみ聖徳太子や白村江の戦いなども出てきますよ。

教養として読んどいて損なし。ですが少々根性いるかもしれません。



燃える闘魂
稲盛 和夫

説明不要かと。
経営者やリーダーたらんとする方には読んで損なし
ただスラスラ読めてしまいまう故に、物足りなさを感じるかもしれません。

アニマルスピリッツが大事なんだけどその前に「徳」が必要だという事ですね。



小説 上杉鷹山 全一冊
童門 冬二

母の友人にお勧め頂いた本。
こちらも長編ながらスラスラ読めました。

著者の文体に好き嫌いはあるでしょうが政治家やリーダーたらんとするもの読んで損なし。
ケネディ大統領に一番尊敬する日本人と言わしめた上杉鷹山の思想、態度、采配、行動にはいちいち得心します。

小説ですから想像・脚色も多いのでしょうが、細かいことは言いっこなし。

お勧めの一冊です。




ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則

ジム・コリンズ
ジェリー・I・ポラス

スタバの元CEOが紹介していた本。

出版は1994年と約20年前。ですが内容はまさに”時代を超える”法則で満ち溢れています。
基本理念の重要さを説き、それをいかにして浸透させるか。

アメリカの主要企業、ディズニー、ボーイング、ウォルマート・・・など18社の設立から現在に至る経緯を6年間かけて調査したレポート。精神論をただ並べているのではなく、説得力があります。
その中でも唯一の国外企業としてソニーが取り上げられており日本人としては誇らしいですね。

著者がピータードラッガーの後継者とみられていたというのも頷けます。「会社は株主のもの」はやっぱり勘違いですね。

20年前の翻訳には少々とっつきにくさはありますが経営者や起業家は読んで損なし。

このシリーズ、次の作品が400万部を記録しています。読んでみよう。