北村タカトシ(旧ブログ)

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静岡県熱海市「A-biz(熱海市チャレンジ応援センター)」

2015年01月23日 | 視察報告書等
・視察内容
先進地視察として熱海市に赴き、熱海市観光建設部観光経済課産業振興室 小山みどり室長 に説明を頂いた。
熱海市は人口38,000人、一般会計200億、財政力0.91、面積61平方キロメートル、伊豆半島北東部に位置する伊豆箱根温泉群の中心的都市である。都心から新幹線で40分というアクセスの良さを生かした国際観光温泉文化都市を標榜している。観光資源でもある熱海梅園は明治政府初代衛生局長、長與專齋の提案により設置されたという縁のある都市である。昭和60年代は人口5万人だったのだが、人口減少が徐々に進んでおり高齢化率は42.1%と県内第一位。生活保護率も1.69%と県内2位、修正率は1.22で県内23位と最下位である。
古くからの温泉地としてのイメージが定着しているが、観光客数もピーク時530万人(昭和50年代)から269万人(平成24年度)と苦戦しているようだ。ただ、平成23年度は247万人と底を打ち、回復傾向にあるということだった。駅前の商店街な平日昼間にも関わらず観光客の賑わいがあり、市の施設もリニューアルが進んでいるということで更なる増加につなげたいとの事だった。
A-biz設立の経緯は平成23年、経済産業省から副市長を招聘したところから始まる。就任当時は36歳と全国最年少の副市長であった。熱海市の経済産業振興政策に「営業する市役所」を掲げ、・民間投資の呼び込み・企業とのパートナーシップ協定・A-biz設置という3つの施策を展開された。副市長はF-biz小出氏との知遇を既に得ていたという。
A-bizは特に専用の部屋等を設けず、市の部局の一部に設置されている。人員は商工会議所職員が1名、市の担当職員が3名というおおよそ重厚とは言い難い布陣である。主たる費用はF-bizに顧問料を年間85万円、商工会議所へ職員の派遣を受けている為、年間50万を支出し年間135万円。F-bizへは設立時に商工会議所職員を1か月間研修に派遣、加えて月一回の相談の指導・助言を受けているという。
当初は研修に市の職員を派遣する予定であったが、F-bizが他の自治体から数千万円(富士市においては7000万円)という相応な委託料を受けている関係上、自治体職員への研修は公平性が保てないとのことで商工会議所の職員を派遣する事になったという。
相談件数は2年間で39事業者、124件、広告換算値400万円と決して多いとは言えない数字であるが、小出氏は「もっとも成果の出た事業の一つ。熱海に変革をもたらした」と絶賛。コストをかけずに知恵を出す、という小出スタイルで商品開発を行い売上アップにつなげている。熱海市は温泉保養地という事もあり別荘が多く、著名人が居を構えている。中でもソムリエとして有名な田崎真也氏がボランティアで認定審査員を務める、地域特ブランド「A-PLUS」の売り上げも好調だという。
公平性を重視する行政が個々の店の売り上げアップに係わるのは異例と思われがちだが、副市長は「市職員の本当の仕事は法令に基づく事務作業だけではない、熱海の強みを知り、熱海を売り出すことだと意識してほしい」と話している。
また、コンサルティングを通じて、事業者のマインドに前向きな変化が見られるとのことだった。
産業支援センター設置について既設の商工会議所との棲み分けが取りざたされるのは宿命である。小山室長によると商工会議所は会員制であり主に融資・記帳・補助金の相談といった明確な目的があっての利用が中心であるのに対し「最近売り上げが上がらなくて・・・」という身の上相談的なところから始めるので、事業者として敷居の低さがあるのではないかと感じているという事であった。

・所見(事業採択の可否も含む)
これまで数々の産業支援センターを視察してきたが、熱海市は予算を抑えつつ設置するというケースである。ハコモノの有無に関係なく設置ができる事は大いに参考になる。
ただし、ハコモノが有ろうが無かろうが、産業支援センターの成否にかかる最大の課題は「人材」である。情熱とビジネスセンス、中小零細事業者と寄り添う優しさと粘り強さを持った支援員を配置できれば、支援センターの将来は明るいものとなるだろう。熱海市では小山室長がその役割を担っていると確信した。失礼ながら時間を忘れて(120分!)熱海市や相談事例を熱心に説明されるその態度からは熱海市への郷土愛、仕事への愛を感じた次第である。
帰りしなA-bizで開発されたという商品を買い求める為に紹介された店に立ち寄った。その折、小山室長から御礼の電話があった。地域の事業者との良好な関係が伺える。帰ってPCをあけると御礼のメールが入っていたことに再び驚かされた。聞けばメディアには24時間対応するという携帯電話を持った職員もいるという。熱海市職員の「営業力」に大きく感動した有意義な視察であった。


東京都豊島区「としまビジネスサポートセンター・すがも事業創造センター(S-biz)」は他の議員が担当します。

三重県伊賀市「議長・副議長立候補制度」

2014年12月01日 | 視察報告書等

伊賀市は平成16年、一市三町二村が合併して誕生した。北は滋賀県、西は京都府、奈良県と接する県の北西部に位置する市である。人口規模は大村市と同程度だが、面積は558㎢と約4倍、南東部を布引山系に囲まれた盆地で、機械系業種を中心とする内陸工業都市でもある。伊賀市は議会改革に平成18年から取り組んでおり、議会運営委員会の視察は二回目。6年ぶりの訪問となったとのこと。当時の視察内容を参考に大村市でも議会基本条例が制定されている。
今回の視察では来年4月地方統一選挙以降の議会運営を視野に入れ、大村市議会がより市民に開かれた議会となるための手法の一つである議長・副議長選挙制度の導入について学ぶため伊賀市議会を訪れた。

伊賀市議会では役員(議長・副議長・監査委員)の任期は1年と定め、毎年選挙をやっているとのこと。立候補については3名以上の推薦人が必要である。この部分に関しては意見が分かれるところであろう。1年という任期では所信で述べるような公約も実現する為の期間としては短いと感じるし、事務局も毎年議長が入れ替わると事務負担が大きい、市民にも定着しづらい、ということであった。ただ、三重県内の自治体では1年任期が一般的だとのことであった。
推薦人を3名以上とすることについては機会の平等という観点から考えれば適切で無いかもしれない。しかし議決機関の長であり、市民に向けて議会を代表する事も多い議員を選出する手続きとしては許容できる範囲であると考える。

立候補の手続きは届け出と共に所信を事務局に提出。所信は各議員に送付され、後日公開の所信表明会で表明される。所信表明は5分以内、それに対する質疑は10分以内。議長選挙は法の規定が無いため、本会議の休憩中に行われる。公開が前提とされる本会議であるため理事者の出席及び市民の傍聴も可、となっている。立候補者以外には投票しない、という申し合わせになっているが、それが守られない事もあったという。無効にする規定が無いため有効票として取り扱ったことがあるそうだ。

所信における質疑については意見の分かれるところであろう。所信は選挙という洗礼を受け、有権者の付託を得た議員各々の信ずるところである。所信表明では議長及び議会の在り方を論じるのであるから、質疑を行うのはなじまないように感じる。伊賀市でも活発な質疑は行われていない、ということであった。ただ、質疑という議論を通して、所信の不明瞭な点があればそれをより明確にできることや、議員としての力量を見極めることができるという意義もある。個人的には有っても良いと感じている。
また、議長選挙を見たいがために傍聴する市民は見当たらないということであった。

議長選挙は合併当時から開催しており、議長選出における会派間の水面下の駆け引きを排し、市民に分かりやすい議長選挙とする、という目的があったが、限られた議員数の中での選挙の為、議員会の事前の調整があるのは否めない、という事であった。
議長は議会全体を代表し、市長と対峙する議決機関の長という役割を担う。所属政党や会派という連携を持って議会を構成する議員同士が選出するという前提が有るため、誰でも良い、という訳には行かないだろう。立候補における所信(=公約)だけを判断材料とすることは難しいだろうし、議会を代表するにふさわしい良識や行動、経験を有する候補は誰なのか、という事を考えなければならない事を鑑みると議員間の調整が行われるのは必然であるし、伊賀市や翌日訪れた知多市でも事前の調整は行われている、との事であった。

議長の再選は妨げないということになっており、連続再選された議長はいないとのこと。ただ、期間をあけて2回議長に就任した議員が1名のみいた。副議長を経験した後、議長へとなる議員も見られるとの事であった。立候補者数は議長選挙で最多4名、副議長最多3名、例年2~3名で選挙をやっており、今年はどちらも1名のみで、指名推薦になったとのことであった。

その他の質疑では、大村市でも先日開催された議会報告会について、住民側からは議員との距離が近くなった、多くの議員の意見を聞けて有意義だ、と好評を博しているという。開催回数はほぼ2倍で、議会からも住民にテーマを提示することがあるそうだ。あくまで私見だが、大村市の市民と議会の集いについては、開催の是非を含めて疑問を抱いているところである。この違いは地域性なのか、それとも議会側に原因があるのかと考えさせられた。
伊賀市は合併当初、当初在任特例で定数78名であったが、初改選時に34名となった。
その後も34名から28名、28名から24名へと定数を削減している。更に減らしたほうが良い、という声もあったが、周辺部の声が届かない、増やして欲しいという意見もあるとのこと。今後は議会活性化推進会議を立ち上げ議論するということであった。
また、新市長になり、反問権を市長自らが乱発しているそうだ。既に決議されていた市庁舎の建て替え案を変更するとして、住民投票にかけるなど(過半数に届かず不成立)混乱が垣間見えた。

以下の表は今回視察に訪れた両議会へ事前にアンケートとして送付していた回答の一覧。

①三重県伊賀市 ②愛知県知多市

・導入の経緯
①会派間の水面下の駆け引きを排し、市民に分かりやすい選挙とするため。H16,11~
②議会としての情報発信、選出過程の透明をめざして。H25,3~

・所信表明を行う会議(実施時期・場所)
所信表明会(知多市:所信表明演説会)(本会議休憩中・議場)

・申出先・申出方法
議会事務局へ文書にて

・推薦者の有無
①有り(3名以上) ②無し

・会議の進行者
改選直後は年長議員(立候補者除く)改選直後以外の場合は前議長

・任期
①1年 ②2年

・所信の発言順序
①抽選(くじ) ②届け出順

・発言時間
①5分 ②10分

・質疑
①答弁含め10分以内 ②無し

・推薦演説
無し

・正副議長候補の所信表明
分離開催

・所信表明を行わなかった議員への投票
有効

・一般傍聴


・執行部の出席
有り

・記録の作成
①有り ②無し(録画は有り)

・記録の公開
有り

・公開方法
①インターネット・ケーブルTV ②インターネット

※回答が分かれていない欄は共通。

所  見(事業採択の可否も含む)

議長の選出過程についての市民のイメージはどうであろうか。議会のパワーバランス、当選回数、議員同士の調整、順番で回ってくる・・・あまりポジティブなイメージとは言えないのではないだろうか。議長の役割も時代の変遷とともに変わるものであろう。名誉職であった時代から議会活性化を目指すリーダーという側面が生まれているのではないだろうか。時代の要請に答えつつ、議会の存在感をより大きくし、情報発信を強化する事は議会の永遠の課題である。
議長の選出過程の透明化もその一つであろう。議会活性化を促進する一助として、議長・副議長選挙制度を次回改選時から導入し、より市民に開かれた議会を目指すべきと考える。

文責:北村貴寿

伊賀市は忍者を観光資源として大プッシュ。
写真は市内を走る松本零士デザインの忍者列車です。車内やホームにも忍者デザインで溢れていました。
愛知県知多市については他の議員が担当します。

埼玉県川越市「地域包括ケアシステム・認知症施策と家族支援」

2014年11月10日 | 視察報告書等
・視察内容
平成27年の介護保険制度改正に合わせて大村市でも検討・立案中の地域包括ケアシステム。厚生労働省のHPに先進事例として紹介、メディア等の報道もあり多方面から視察を受け入れている埼玉県川越市の事例を学ぶために視察に訪れた。 
川越市は人口34.8万人、面積109k㎡、一般会計1120億、財政力指数0.95、埼玉県の南西部に位置する中核市で、蔵造りの風情ある街並みや、明治初期から残る史跡・文化財などの歴史的建造物があり、東京からの日帰り観光でも人気の街であるとともに、30キロ圏内のベッドタウンである。
高齢化率は65歳以上が22.6%、75歳以上が9.1%、市の高齢化率は24%弱であるが、自治会単位でみると50%を超える地域も見られる。急速に都市型の高齢化が進んでいるとのことだった。
川越市が行っている認知症施策を担うのは9つの日常生活圏域それぞれに合わせて指定されている地域包括支援センターである。大村市は直営だが、川越市は社会福祉法人を中心とした民間に委託している。平成18年まで在宅介護支援センターが6カ所運営されており、そのままスライドした形である。現在は9つのセンターのほか、ブランチが2か所開設されており指定更新は1年ごと。運営についてはセンターそれぞれに差があり、必要な場合は委託元として指導をする事もあるとのことだった。
施策は3つのコンセプトに分かれ、それぞれの手法を以下の通りご紹介いただいた。

1「正しい知識の普及・周囲の理解の促進」
・パンフレットの作成配布・広報川越での認知症コラム記事の掲載
・認知症サポーター養成講座・介護マーク貸出事業・世界アルツハイマーデー統一行動

2「認知症の人・家族に対する継続した支援」
・認知症家族介護教室・フォローアップ事業・認知症相談会・市民貢献推進事業
・オレンジカフェ

3「認知症に関する関係機関連携の場づくり」
・川越認知症支援検討懇話会の設置

中でも認知症サポーター養成講座の受講者数は目を引く。平成21年からのデータは以下の通り。

年度 21  22   23   24   25
開催回数 25  63   39   27   58
参加人数 983 2,130 853  981 2,217

養成講座の修了者には、修了書やオレンジリング(シリコンゴムのブレスレット)が授与され、市長自らも受講したとのこと。金融機関や介護保険事業所等の企業による開催が増加傾向で、自治会内の世代間交流を目的に、子供から高齢者を対象に開催した講座が好評だったこともあり、小学校をはじめ教育分野においても認知症についての理解を深める為に広げていきたいとのことだった。
先進事例として紹介されたのは「オレンジカフェ」事業であった。
オレンジカフェとは認知症の高齢者や家族が集まり交流を図る機会を提供する事業であり、オランダでは「アルツハイマーカフェ」イギリスでは「メモリーカフェ」と呼ばれている。我が国でも厚生労働省も認知症施策プラン(オレンジプラン)において推進している。
具体的には各地域の包括支援センターが月に一回ペースで2時間程度、デイサービスセンターや公民館、変わったところでは教会を利用し交流会を行う事業である。
参加費は1名につき100円。お茶・茶菓子などを準備し、特に進行プログラムなどを設けず、自由な雰囲気でレクリエーションや会話を楽しむ。認知症の方とその家族のほかに民生委員やケアマネージャー等の専門職、ボランティアの住民など色々な人が自由に出入りするとのこと。会場は認知症の方の生活記憶に寄り添った懐かしいインテリアを装飾し、歌やお手玉、けん玉、あや取り等懐かしい遊びや、にわか編み物教室等も行われる。
認知症の介護で大変な思いをしている方々や経験者が語り合うことで精神的なサポートを得られるピアカウンセリング効果もあり、認知症への理解を深める場にもなっている。専門職にとっても認知症の状態や残存能力などの把握に役立っているとのこと。
この事業は24年度からスタートし、初年度の参加人数は述べ208名、25年度は1,031名と開催場所も16カ所に広がりを見せている。介護サービス全般についての相談窓口の役割も果たしていて、主催するセンターにとっては広報的な役割もあるという。

・所見(事象採択の可否を含む)
大村市ではオレンジカフェと同様な役割や活動が「認知症と家族の会」よって担われていると言っても良いだろう。レクリエーションの内容についてはデイサービスで行われるものと違いを見出すことは難しい。ただデイサービス利用には介護認定が必要であるし、認知症と家族の会はその関係者が中心となる団体の為、「オレンジカフェ」のような広がりは感じられない。「オレンジカフェ」という言葉の響きからは敷居の低さ、気軽さといったものが感じられ、地域やボランティアを巻き込んだ交流拠点の創出という点では模倣すべき点もあるように感じる。これを市が主導する事業とするよりも、住民主導型活性化事業などにおいて自治会等が主体となって公民館等で開催してもよいのではないだろうか。平成27年には介護保険制度改正が行われる。高齢化の進行によって膨張する社会保障コストのコントロールは自治体の命題でもある。地域で高齢者を見守りながら、高齢者の社会性を保てば介護度の重度化を抑制できるとするならば、「オレンジカフェ」の理念や開催形態は認知症という枠を外せば好例の一つと言えるのではないだろうか。

文責:北村貴寿

神奈川県平塚市「元気応援ポイント事業」は他の議員が担当します。

第10回地域医療政策セミナー

2014年10月24日 | 視察報告書等
講演Ⅰでは、社会福祉法人恩師財団・済生会神奈川県支部 支部長 正木義博氏より
「激動の時代の病院経営とは」~これからの経営マネジメントと地域連携を考える~と題した講演が行われた。
済生会は明治天皇の「済生勅語」により明治44年に設立された100年以上の歴史がある日本最大の社会福祉法人。総裁に秋篠宮殿下を頂き全国に372施設を展開しているマンモス組織である。神奈川支部では5病院19施設を管理しており、全国的な問題として、ドクター不足、建設費の高騰、診療報酬の厳しい改定、消費税アップ等々、外部環境は著しく変化しており、それに耐えうる病院改革が必要だと訴える。そしてその病院改革はチームプレイでなければ達成できない、とする。
改善=単なる行動の修正ではなく、改革=軌道修正でなければならず、それにはトップの決断が必要で、明確なビジョンを示す必要がある。その戦略マネジメントツールとしてBSC(バランスト・スコアカード)を導入し、数々の改革を実行してきた経験を拝聴した。全職員で行動計画を策定、目標数値を設定、進捗状況の報告等々非常にマニフェスト的と呼べるマネジメント手法であった。
また顧客満足を上げる手法として、クリティカルパス(入院診療計画)の充実や接遇の向上、地域貢献の実例など、オーソドックスな手法であるが、法人組織の大きさやその社風を感じさせる豊富な手法が次々に紹介された。事務方らしく様々な数値の分析を紹介され、病院は病床95%以上で埋まらせないと回らなければいけない。空いているベッドは赤字の元凶と認識すべき。ともかく病床の回転率を上げるための工夫に重点を置いているのが印象的であった。
特に医療経営に関して人材の必要性を強調されていた。経営マネジメントは事務方の責務とし、医療の分かる事務職員の育成が必要で、人的資源管理が重要な要素であり、経営企画チームを作る必要があるとのこと。事務方の仕事は医療の主役であるドクターやナース(専門職)がやらないすべての仕事、所謂縁の下の力持ち的な存在でもあり、全体をコントールするゼネラリスト的な役割もあるとされ、事務方の矜持が感じられた。演者は早稲田大学時代にラグビーに熱中したとのことで、チームプレイの必要性や有効性をラグビーに例えられていた。
質疑応答では地域のネットワーク作りのポイントについて質問があった。済生会病院で救急を全て受け入れる、という病院理念の為にベッドを回転させる必要があった。急性期を過ぎた患者を受け入れて頂くためには地域の病院との連携が必要不可欠であり、必要に迫られた部分が大きい。受け入れ先の病院に毎日往診をするなど、地道な連携の積み重ねが今日の状態を作り上げたとのことだった。
難を言えば、スライドが多すぎて語り口が単調で早口、生真面目な人柄が感じ取れる。済生会病院クラスの巨大組織を前提とした医療経営術と呼べる講演であり、組織マネジメント論としても目新しさは感じられなかった。議会人としても学ぶべきところは少なかったように感じる。
ただ、オーソドックスな手法とはいえ、様々な経営指標をきめ細やかに数値化しグループ全体で愚直に取り組んできたからこそ、巨大組織と呼べるまでに成長、発展したのではないだろうか。演者は住友金属工業出身でシンガポールや東京本社勤務の経験があり、民間のグローバル大企業の経験と感覚を大いに活かしてこられたのだろうと拝察する。「大組織病」に対峙し、弛まぬ改革を実行されてきた過程を知ることができた講演であった。

講演Ⅱでは、兵庫県立柏原病院・小児科部長兼地域医療連携部長 和久祥三氏より
「志を救われた泣き虫小児科医の一例」~地域医療再生のヒント~と題した講演が行われた。手元の資料には「講演中お手元の参考資料には目を落とさないでください。渾身のギャグを見落とされます」との注意書きが躍る。否応なしに期待が高まる。講演内容は、県立柏原病院を襲った所謂「医療崩壊」を住民運動によって解消した事例を基に、和解の心理学とされるコンフリクト(紛争、葛藤)解決について。演者は小児科医師として地域医療に携わる傍ら、自身の経験を「わくわく講演」と題し全国を行脚されており、医療崩壊を食い止めた好例としてNHK等でも放映されたとのことである。
演者が勤務する丹波市は500㎢に人口6万5千人が暮らす地域である。地域住民のコンビニ受診、救急車タクシー、研修医制度の変更や医局システムの崩壊、医師不足もあいまって医療崩壊が起こった。疲弊した医者は丹波の人を愚民だと罵りながら出て行ったという。地域医療から身を引いてゆく医者を横目で見ながら、演者自身も一度は限界を感じ、辞意を表明したとのこと。
その医療崩壊を食い止めるきっかけとなったのは丹波新聞の新聞記者だったという。医師の劣悪な労働環境や医療現場をレポート。地域住民に「気づき」をもたらす報道が複数回にわたり行われた。当時は小児科実働医0人、丹波市内でお産ができない状況にまでなっていたとのこと。その報道と合わせて母親を中心にした座談会が行われた。そこでは過酷な医療現場への理解と住民の責任について対話と理解が進んだという。
この座談会が発端となり兵庫県庁に地域医療の改善を求める署名運動が始まった。集まった署名は55,366筆。丹波市の人口は6万5千人であり、その市民の殆どが署名したことになる素晴らしい市民運動となった。しかし兵庫県も無い袖は振れない。署名が集まったからといって医者が直ぐに増えるわけではなく、状況の改善には至らなかった。しかし、この体験が母親達を本気にさせた、市民が地域医療の真の担い手となった瞬間だった、と演者はいう。そして、先ずは住民自らが変わるという運動が始まった。具体的には「柏原病院の小児科を守る会」として市民への啓蒙活動が展開された。守る会のスローガンは「・コンビニ受診を控えよう・かかりつけ医を持とう・お医者さんへ感謝の気持ちを伝えよう」である。啓蒙ステッカーの配布や電話相談。メールマガジンやパンフレット等を使いながらの活動が中心となった。
中でも「医療の不確実性」を伝える、という活動はノーベル賞級の特効薬、と表現している。お産についていえば398人に1人は死亡するという危険性があることをご存じだろうか。(※世界平均値、日本では14,286人に1人)医療は万能だと考えてしまいがちな市民が引き起こす医療訴訟も珍しくない。医師を殺人犯と呼ぶ環境が広がるような中で、若い医師が育つのだろうか。そんな市民と医療者のギャップを埋める講演会を展開する守る会は、柏原病院の小児科を守ると同時に日本の医療を守ろうとしているとの事だった。
この運動は広がりを続ける。守る会の他にも様々な団体が設立され、過酷な労働を強いられる勤務医と開業医の溝を埋める「丹波医療再生ネットワーク」の設立や地域の高齢者による「たんば医療支え隊」柏原町商店街連合会の啓蒙活動や丹波青年会議所の名も挙げられ一OBとして嬉しかった。
このケースを通して、演者はコンフリクト解決法の一つであるトランセンド法を体験したという。コンクリフトは対立であり、両者の目標が共存しない状況である。トランセンド法とは第三者が仲介し、両者の交渉や対話を通して、両者の目標を超越した結果を導き出す事とする。柏原病院のケースは「住民=安価で専門的な医療をいつでも受けたい」と「医者=過剰勤務や専門外の診療をしたくない」という対立構造が、「両損=地域医療の崩壊」という現状を「第三者=新聞記者」の介入によって、対話と理解が進み「トランセンド(超越)=地域医療を守ろう」という「両者の希望の総和+α」という結果を妥協や蛇行しつつ導き出した素晴らしいケースだと分析された。
トランセンド法の特徴としては、
・「共感・非暴力・創造」という基本姿勢を持つ
・一方的な決定は先延ばしして、各当事者と別々なところで対話する
・紛争の当事者から求める理想的な結果を各々から聞く
・ブレーンストーミングを活用し批判無しで対話を重ねる
・双方の基本的ニーズが満たされ、対話によって紛争を転換、超越した結果を導き出す
とされた。現在演者は「丹塾」を主宰しコンフリクト解決の手法を研究しているとのこと。コンフリクトは職場や家庭、学校や地域といった日常に満ち溢れており「和解の方法」を学び実践する事が人間関係や社会関係、世界平和に繋がっていくのではないか、と説かれた。講演中にちりばめられた渾身のギャグは70点というところだろうか。
質疑応答では、県立相原病院の収支状況について質問がなされた。コンビニ受診が減ったことで収益性は悪化した。収益性を伸ばすには医者の数が必要であるとし、適正な受診を抑制してしまう逆効果も生まれたとのことであった。
地域医療の崩壊というコンフリクトは「住民・行政・医療者」によって構成される。
我々議会人は「市民・行政・政治家」の生み出すコンフリクトに日常的にさらされているといっても良いのではないだろうか。市民ニーズの充足には財源や人材、法的な制約といった問題から逃れられない。我々は三者の諦めという結果ではなく「超越(トランセンド)」を目指さなければならない必要に迫られる事例も多いのではないだろうか。幸いにして大村市の地域医療は恵まれた状況にあり、医療崩壊を食い止めた事例を参考にすることはできないが、丹波市民が興した運動の核となる地域愛には尊敬の念を抱かざるをえない。それをトランセンド法によるコンフリクト解決の手法として分析し、論じる演者の知性に触れることができた有意義な講演であった。

                         文責 北村貴寿


千葉県浦安市「うらやす市民大学」については他の議員が担当します。

東京都稲城市「骨髄ドナー支援制度」

2014年06月21日 | 視察報告書等
会派視察において東京都稲城市に赴き、表題の項目について稲城市福祉部健康課、土屋青嗣課長にお話を伺った。

稲城市は東京都のベッドタウンである。人口は86,000人、近年子育て世代が流入しているとのことで人口が微増、高齢化率も19%である。ただし一部の団地は超高齢化しており孤独死などの問題があるという。面積は約18平方キロメートルと人口密度が高い。区画整理事業を7か所行っており、整理された地域と旧市街の街並みが対照的であった。一般会計総額362億円、財政力0.9、経常収支比率83%、実質公債費率1.5%と健全経営である。

骨髄移植ドナー推進事業の発生源は市長のリーダーシップによるものである。全国青年市長会にて先進地事例として挙げられた本事業に市長が感銘し、平成24年4月の制度開始となった。確認はできていないが全国で3番目の早さだとのことだった。
事業内容は至ってシンプルなもので、7日を上限とし、骨髄ドナー本人に日額2万円、ドナーの就労する事業所に日額1万円を支給するというものである。議会や庁内での異論反論もなく、スムーズに制度導入がなされたという。実績としては24年度に2件、25年度では実績なしということであった。

この事業は骨髄移植ドナーの登録増加には直接つながるものではなく、あくまでドナーの負担を軽減する一助である、という認識である。それ以上に大きいと考えているのが、少額の予算で「稲城市は命を大切にするまち」「ボランティアを応援するまち」というメッセージを市民に届けることができるところとのこと。年間予算は21万円が計上されている。制度導入におけるドナー登録数の推移などは日赤が掌握しており県単位での数字は公開されているが、行政区画単位では発表されていない、とのことであった。

所見(事業採択の可否)
(公財)骨髄バンクの調査では、移植コーディネートの途中で提供を辞退するドナーが約50%である。辞退の理由として挙げられるのが「ドナーの経済的負担」「職場の理解(仕事を休めない)」というものがある。この支援制度がそれらを解決できると断じることはできない。しかし、一助にはなると考える。
造血幹細胞移植推進法が平成24年に成立し、自治体にも推進の為の施策が求められることとなった。報道では全国で30以上の自治体で制度導入が進み、九州では宮崎県都城市が26年4月に本制度をスタートさせた。大村市も長崎県内初の導入を目指すべきだと考える。


イラストは稲城市のゆるキャラ「稲城なしのすけ」
この作者、分かる人には分かるはず。私は勿論、同年代には相当なファンがいるはずです。

この大家、稲城市出身&在住であります!


長野県小布施町「市民協働による花のまちづくり・町立図書館まちとしょテラソ(ライブラリーオブザイヤー2011)」
長野県佐久市「世界最高健康都市構想」は他の議員が担当します。

東京都三鷹市「SOHO CITYみたか」構想と戦略

2014年05月26日 | 視察報告書等
「起業しやすい街づくり」を目指すための先進地視察として、東京都三鷹市は「(株)まちづくり三鷹」に赴き表題について経営事業部 吉田巳里子氏より説明を受けた。三鷹市は人口18万人、一般会計663億、財政力指数1.075、東京都のベッドタウンである。

意図的にSOHOCITYみたかを実現する為、SOHOワーカーの集積を図ってきた。昭和初期は中島飛行機の関連産業、自動車産業、測定機器の工場が集積した町であった。昭和40年代に宅地化が進むと同時に公害問題が発生。工場は市外の郊外へ移転、後継者不足等で産業構造が変化し都心のベッドタウン化が進んだ。都心に近いため高付加価値商品の販売は少ない。商店街の主力商品は日用品等単価が低いものが中心である。
市の自主財源の約50%が個人住民税であった。市民が高齢化し、定年を迎えると税収減になる危惧があった。そこで、定年のない個人事業主を三鷹市に集積しようと考え「SOHOCITYみたか」のまちづくりを展開していくことになる。
先ずは300人のヒアリングやインターネットアンケート等を行いSOHO事業者のニーズをくみ上げ、平成10年財産法人三鷹市まちづくり公社を設立、同年SOHOパイロットオフィスを設置した。小さな間取りで個人スペースとし、共有スペースをフリーとした。実費精算の共有プリンター・コピー。秘書機能(電話受付、郵便物収受等。費用は二畳ほどの1区画が一か月2万6千円から広いスペースになると18万5千円の家賃となる。9区画に57社の応募があり、現在も高い稼働率を維持している。翌平成11年、三鷹市とともにまちづくりを担う第三セクター株式会社として、都市施設整備公社・まちづくり公社を統廃合し設立。出資比率は三鷹市が98%であり、現在の社長は副市長が務めている。平成24年の総売上高は10億円。

第二の拠点として平成12年に「三鷹産業プラザ」を開館、駐車場、貸会議室、レストラン、カフェ、パソコンルーム、精密測定室などを備える複合型産業支援施設としてスタートした。駅前の中心市街地と近接し、市街地活性化の担い手としての役割も期待されている。この施設から500社以上のSOHOが生まれることになる。起業例として挙げられたのが、施設に入居するSOHO事業者の細やかな困りごとを受付が解決するビジネスサポートチーム㈲そーほっと。もともとボランティアをお願いしていたグループが起業した子育てコンビニ。シニアがシニアのスピードで教えるシニアPC教室をご紹介いただいた。
また、ICTを活用したまちづくりの担い手でもあり、市内の事業者協会と連携し、26社共同受注や相互事業の補完を進めている。主なIT事業として「Ruby」を使用したパッケージソフトを開発。学校図書館にシステムを導入し、大手ベンダー価格の半額で販売。保守は地域の事業者に委託しており、IT投資が地域内で循環するしくみづくりを進めている。

近年の取り組みとしてはコワーキングプロジェクトがある。仕事場の特定しないノマドワーカーの為の「ミタカフェ」を開始。月3,550円の会費とし、ワークスペースや応接スペース、実費共有プリンター等を設備し、ビジネスコミニティの創造と相互の協働を目指している。現在会員数は約100名。

センターにはビジネスサポート・コーディネーターを1名常駐させている。御年80歳、人格がにじみ出ている優しい人柄が感じられた。人生に定年は無いようだ。SOHO支援の基本コンセプトは「身の丈起業」借金ナシ、リスクを負わずに起業する支援。定年後の居場所づくりとして、ベンチャーとは一線を引いている。平成25年は身の丈起業塾から33名の創業をサポートした。
その他、起業を促すイベントとして、ビジネスプランコンテストやSOHOフェスタを実施している。
コンテスト初回は賞金100万だったが、30万へ減らしオフィス使用無料券や研修受講費支給などを企画している。

SOHO集積戦略の発端となった個人住民税の税収は減っていない。戦略が功を奏したと考えたいとのことだった。この施設で起業するのは子育てを一段落した女性とシニアが中心。若者は減っているそうだ。関連施設全体では80~90%の稼働率を維持している。
三鷹市から直接の運営費は出ていないが、ビジネス支援事業の委託を受けている。
駐車場駐輪場管理・施設賃料が収入源であり、産業施設に使用される建物の所有は中小機構と当社で半々である。建築費は中小機構が保有する1期棟は10億円、同社保有の2期棟もおおよそ同額とのことだった。財源は補助金・国1/2、都1/4、無利子融資、市が1億7千万出資している。

6.所見(事象採択の可否を含む)
財政・人口規模や地域性が大村市とは異なり、三鷹市のケースをそのまま当市の施策とするのは難しいだろう。しかし「身の丈起業」というコンセプトには大いに共感できるものがあった。今後設立が計画されるであろう「大村市産業支援センター」の主たる機能の一つとして、SOHO起業コーディネーター導入を推進するべきだと考える。
SOHO支援の理解と重要性を深めることができた意義のある先進地視察であった。

文責:北村貴寿


・群馬県安中市「碓氷峠鉄道文化むら」
・東京都国立市「国立ファーム」

の報告は他の議員が担当します。報告書は事務局にてどうぞ。

会派視察「NPO法人起業支援ネット」

2014年03月31日 | 視察報告書等
会派視察にてNPO起業支援ネットにお伺いし、久野美奈子代表理事にお話を伺った。
今でこそNPOは花盛りの様相を呈している。公益法人制度改革の発端となるような法人まで出現する始末であるが、20年前はどのような状況だったであろうか。NPOの制度は存在しないしインターネットも一部だけの技術「社会起業家」「コミニティビジネス」などという言葉さえなかった。女性の起業家が物珍しい時代ではなかったか。そのような時代、1992年からスタートした起業支援ネットは社会起業家の歴史を体現しているといっても良いだろう。

久野代表理事は既に二代目の代表である。創設者は久野代表の実母、生協の理事などを務める内「何かやりたい」という女性の輪が生まれたという。女性の起業家が物珍しい時代「事業を興す」という響きに感じるような大それたものではなく、お総菜屋さん、花屋さん、といった身近な事業の立ち上げから始まったとのこと。1992年に前身である「ワーカーズ・エクラ」が誕生し、1998年に「起業支援ネット」として設立、翌年にNPO法人格を取得し「仕事をおこす・自分をおこす・地域をおこす」をキャッチフレーズに身の丈起業やコミニティビジネスの支援に取り組んでいる。

自治体の政策的に生まれてきたものではなく、女性の身近な起業相談から自然発生的に始まった同法人は、近年耳にするようになった「起業コンテスト」や「起業の学校」といった先駆的な事業を設立当初から手がけていく。起業支援というと政策的な中小企業支援を想像しがちだが、「身の丈にあった起業」に主眼を置いており一言でいうと「敷居が低い」

同法人が入るビルもお世辞にも近代的とは言い難い。看板がなければ素通りしてしまうような雑居ビルであった。階段は急で狭くエレベーターは無い。1階のみバリアフリートイレがあるが、かなり年季の入った建物である。おそらく耐震構造ではないだろう。入居当時は壁のペンキ塗りやパーテンションも仲間たちと共に作り上げたとか。公立図書館との併設や財団が運営するビルに入居する産業支援センターをいくつも見てきたので、手作り感あふれる事務所には人間の体温を感じて居心地が良い。
当初は商店街の空き店舗を活用し拠点としていたのだが、所有者の都合で退去せねばならなくなり、かねてから居場所づくりをしてきた同法人の前代表が最後の仕事として小さな中古ビルを購入。作業は自宅で間に合うが、事務所機能や会議スペースが欲しい。部屋を借りるほどではないけれど、団体の住所を置きたい。といった小さな起業家達にスペースを月額6,000円にて貸し出している。
共有スペースにはプロジェクター、コピー機、PC、といった必要最低限の機器が備え付けられている。勿論Wifi完備、スペースの予約等はグーグルカレンダーにて管理、早いもの勝ちだとか。
「いらない本」ではなく「読ませたい本」を持ち寄った本棚のある1階スペースはカフェをやりたい、という方に短期間のシミュレーションカフェとして貸し出したりするのとのこと。最近はスナックにもなるとか。屋上でビアガーデンもやったりするそうで、そこかしこに暖かみや楽しみが感じられる。いわゆる政策主導で設立された閑古鳥が鳴いているインキュベーションルームとは大違いである。

資金的な余裕を感じられない事務所の通り、法人の運営についての恒常的な補助や助成は一切無い。久野代表曰く名古屋市は現市長のアドバイザーが原因で、NPOについての政策が10年遅れた、とか。人口が多すぎること、区に予算編成権がなく自治が進んでいないことも原因と思われるとのこと。法人の運営費は100名程の会員が治める会費と自治体の受託事業等に応募して賄っているという。

財源の柱にはならないが、理念の柱になっている「週末に学ぶ起業の学校」は本年で10年目を迎える。
カリキュラムは5月~11月で月2回の講義を定員16名で学んでいく。午前中に講義、午後をワークショップという基本スタイルで「守・破・離」というコンセプトに沿って進められる。学費は一括183,000円。
初期の受講者はほとんど起業を実現しており、大多数が、小規模なコミニティビジネスとのこと。それらは「カフェ・花屋・ケーキ屋・エステサロン」といった「夢実現タイプ」と「介護サービス・子育て支援・動物保護といった「社会課題解決タイプ」との二つに分類されるという。この取り組みを通して起業家たちのネットワークが形成され、起業者だけではなく、支援者とのさまざまな繋がりが生まれているという。

先駆者ならではの課題としては「追い詰められた起業」というタイプが散見されるようになったとのこと。社会や既存企業になじめず「うつ」や「引き籠り」になってしまう方々の働く手段としての起業であるが、福祉的な側面があり、難しいケースだということであった。
他には民間団体のバックオフィスとしての事業を数件受託している。これは法務や書類関係の業務を請け負う事業であるが、事業経験のない起業家にとっては力強い支援になるだろうと感じた。

6.所  見(事業採択の可否も含む)
民間の事業であり行政としての事業採択には結びつかない。ただ、恒常的な財源の裏付けがなく、20年以上起業支援に携わってきた同法人の蓄積したスキルや手法は括目に値するだろう。事実行政の視察もよく受けているということだった。
市議会では富士市産業支援センターの小出氏を迎えての勉強会を主催したところであるが、その対極のスタイルにあるように感じた支援手法は学ぶべきところが多い。政策的な産業支援とは対極にあるスタイルと言っても良いのではないだろうか。「何かをはじめたい」とぼんやり思っている起業家たちにこまやかにやわらかに寄り添う、といったスタイルのように感じた。
これまでの起業と支援をまとめた冊子の結びには「強力なリーダーシップを求める欧米型マネジメントに対して、複数の関係者が役割を分担し相互連携しつつネットワーク型の組織を形成する日本型のマネジメント」と同法人のスタイルを定義づけている。多様性は強みでもある。産業支援センターも含めて、おおむら市民大学の起業コースに講師として招聘してはどうだろうか。
説明やパンフレットの中に「志」という言葉が随所にあった。久野代表にとっての「志」とは何かと質問したところ、「未来の社会の為に自分という社会資源を使って成し遂げたい事」という回答を頂き得心した。
何事にも共通するのは「情熱」を持つ人が必要なのだと再確認した意義深い視察であった。

文責 北村貴寿


市町村議会議員研修「3月議会を前にそもそもから学ぶ社会保障」

2014年02月15日 | 視察報告書等
講義1「基礎から学ぶ社会保障制度の新展開」では金沢大学教授・横山壽一氏より社会保障制度改革推進法を中心にした社会保障制度の問題点のあるべき姿を中心にした講義がなされた。
安倍政権は社会保障理念を変質させ、制度改悪に走っていると断じる。その根拠は憲法で生存権が謳われており、すべての人に無条件で平等に生存権・生活圏が付与されていると説く。また「自助・共助・公助」の考え方がそもそも間違っており、人間が努力する、努力しないに関わらず無条件に救済すべきだという主張である。
社会保障費財源を確保するための消費税増税はまやかし、デタラメ、裏切りとし、所得税・法人税の累進性を徹底する改革により所得再配分効果を強化、そして大型公共工事、防衛費、ODAを削減して財源確保するべきだと主張。全く同意しえない90分間の講義は現政権への批判と非建設的な論調であり、得るものがなかった。質疑では地方議員としてどのような行動をすればよいのか?という質問もあったが、具体的な提案もなされることがなかった実りのない講義であった。

講義2「困窮者の生活支援をすみやかに」ではNPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典(社会福祉士)より大学生の頃より取り組んできた生活困窮者支援活動の報告を中心にした講義がなされた。
貧困問題は社会構造のひずみが発生させている問題だとし、数値で見る貧困と格差のデータの提示がなされた。
しかし提示されたデータは2000~2011年のものであり、昨今の改善した数値のデータは提示されていないのが説得力を欠く部分でもあった。
弁護士、労働組合、市議議員などで構成するNPOの支援活動を写真を交えながら紹介し、失業保険の給付窓口や労災窓口、労働基準監督署の相談窓口を若い世代に広報してほしいと呼びかけられた。
銀行支店長であった方がホームレスになったケースを紹介され、ブラック企業の長時間労働が原因であるうつ病が離婚やホームレス化の原因であり、相談窓口についての知識があれば防げたケースであるかもしれないと分析された。
「ホームレスは自己責任」という風潮には疑問を感じる。雇用環境の改善や、救済策を充実させるべき。という氏の主張に全面的な同意はできない。しかし、貧困問題は社会構造の変化が原因の一つであるという論調には概ね同意できる。国富が減少すると共に、トリックル・ダウン(所得の再配分)が細っていく、家族や地域の繋がりが細まっていくこの現況を変えるためには、国力(特に国際的経済力)を向上させ、再チャレンジ可能な社会を構築することが急務と言える。大学生時代から続けている(現在31歳)貧困問題に現場で取り組むという氏の姿勢とバイタリティには感心した。空き家を埼玉県より補助を受けて借り生活困窮者等の受け入れ施設とし、スタッフの人件費は約100名の賛助会員会費(自民・民主・社民・共産の超党派議員が20名)や寄付などで賄っているという。議会での政策提案にも一役買っているようだ。これこそ社会の課題を解決する社会企業家のあるべき姿だと言えるだろう。今後の建設的な活動に期待するところである。


講義3「介護保険の改定と自治体の課題」では立教大学コミニティ福祉学部講師・服部万里子より制度改正の流れや高齢化の詳細な内容、介護人材の不足、介護サービス形態の変遷といった高齢者を取り巻く環境を最新のデータを交えて解説された。ケアマネージャーとして15年の実務経験を交えて制度の網にかからない弱者への視点や将来への課題・警鐘は慧眼と呼べるものであった。特に介護予防通所、訪問は地域の総合事業に移管するとのことで、当面の財源は国が担保するという見解だったがこれまでの経緯を鑑みれば、先の見通しは暗い。加えて単価設定は自治体にゆだねられている。当市でも通所、訪問介護事業所が理学療法士等専門職を確保するのは至難の業で、大部分が移行せざるを得ないのではないか。またサービスの質を維持する為のチェック機構をどのようにして設けるのかも不透明な部分が多い。今後の議論を注視する必要があるだろう。
社会保障費の削減を在宅介護によって実現しようとする様々な提案やロードマップは渋谷区を「日本一在宅介護ができる街にしたい」という高い目標を掲げる氏の一層の活躍を期待するものである。質疑も充実し時間が切れ。理知的かつ野心的な素晴らしい講義であった。

講義4「子ども・子育て支援推進制度の実施を前に」では佛教大学、杉山隆一より市町村・地方議会の課題、子ども子育て会議と事業計画について講演がなされた。市町村が定める条例についての基準について詳細な説明があった。設置基準や保護者負担、保育士資格等、現行基準より引き下げさせないようにするために議会の役割があるとした見解であった。議会より意見書を決議し内閣府に送付することも一つの手段である旨の提案がなされた。まだ保育士の人材確保が難しくなるという懸念が示され、雇用形態についても非正規率を引き下げることが重要だという見解が示された。

講義5「そもそもの仕組みから学ぶ高い国保料」では、神奈川県職員、神田敏史(同県職員労働組合中央執行委員長)より国民健康保険制度のおこりから意義と課題、現状についての講義がなされた。
社会保障国民会議では都道府県に益々運営困難になる国保財政の押し付けがなされたという見解であった。ただし抜本的な財政基盤の強化をつうじて都道府県の財政構造問題の解決が図られることが前提とされており、その財源については現在議論が進んでいるところで27年春の国会で改正法案が提出される。
それまでに自治体の財政負担を軽減する主張を国(財務省)に対して主張することが求められる。中・低所得者層の負担軽減を実現する為、という理由を推奨された。
制度の歴史や変遷について詳細な講義となり、途中省略や今後の展開についての考察が十分でなかったのが残念であった。

6.所見
二日間の座学となった今回の研修で5つの講義を受講した。今更ながらに講義の質やその効果は講師の能力次第であると認識させられた。偏ったイデオロギーの主張を繰り返す市町村議員の範疇を超えた講義、答弁になっていない質疑。反対に、主義主張を超えて支援を集めるフレッシュな若人の取り組み、現状を数値で把握しつつ、社会保障費を削減しながら高齢者の生活の質を向上させるための理知的で建設的な講義。何れも色々な意味で勉強になった。自治体問題研究所が企画する研修会は全体的に主張の偏りがあるという事も収穫の一つであった。
故・遠藤浩一拓殖大学教授は「政治とはよりマシな選択の集積である」と喝破された。現在の制度も戦後から積み上げられてきた集積の上に成り立っていると言えるだろう。その時々に有権者が政治家を選び、政治家がこれまでの制度を鑑みながら「よりマシに」という思いで選択を重ねてきたはずだ。中には私利私欲の為の“政治屋”もいるのではないかという指摘を全否定することはできない。しかしそれを含めての選択の集積が現在の社会である。社会保障制度の改革を改悪だと声高に叫ぶことは易い。しかしそれはルサンチマンでしかない。
最後に小西砂千夫関西大学学院教授の言葉を引用したい。
「一発逆転の抜本改革を夢見た私たち自身の愚かさに学ぶべきではないか。影響の大きな社会制度は、漸進的にしか動かせない。それまで機能してきた制度を捨てるよりも、そこに隠された知恵を学び、どこを微調整するかを考えるほうがはるかに建設的である。日本人の勤勉さや真面目さは、その中でこそ生きるはずである。何を変えるかではなく、何を変えてはならないのかを知ろうとする方が大切な議論である」

文責 北村貴寿

横浜市港北ニュータウン「燃エンウッド」、静岡県伊豆の国JA「新規就農者支援」

2014年02月08日 | 視察報告書等
経済厚生委員会の先進地視察にいってきました。
今回は民間対象です。

・横浜市港北ニュータウン・サウスウッド
竹中工務店が研究開発した建築資材「燃エンウッド」を活用して建てられた全国初の大型商業施設サウスウッドを視察してきました。
カラマツの集成材にモルタルを組み合わせ、1時間の耐火実験に耐えうる構造を持った建築資材です。

昨年オープンしたばかりで視察も多いとか。UR(都市開発機構)の後継の第三セクター横浜都市みらいが運営しています。
公共建築等木材利用推進法が2010年に施行され、公共施設の木造化が進んでいます。サウスウッドの場合はすべてRC構造にした場合と比較して20%増しとどうしてもコストアップ上がってしまいますが、木のぬくもりを感じる費用対効果のみで判断できません。
また、集成材なので間伐材の有効活用にもなります。強度的にRCと組み合わせる必要がありますが、4階建てまで建築可能ですから県立図書館なんかにも良いですね。

横浜都市みらいが進めたグリーンマトリックスという緑を最大限に保全するまちづくりにはピッタリ。竹中工務店以外にも鹿島など大手が様々な手法で開発していますから徐々に単価も下がるでしょう。

森林保持にも役立つこの素材。この施設に使用されたのはカラマツ集成材ですが、杉やヒノキでも作れるそうですから地域性を鑑みた資材として活用が広がりそうです。


・静岡県伊豆の国市「新規就農者支援について」
日本農業賞を受賞されたJA伊豆の国さんにお話をお伺いしました。
後継者不足が大きな問題となっている農業ですがミニトマトを作っている皆さんの平均年齢は47.1歳です。

儲かる農業ということで農業所得1000万を実現すべく就農支援に取り組まれています。
「ニューファーマー地域連絡会」「がんばる農業人支援事業」等を展開。新規就農者の主力はミニトマト。8.4億の販売額の内、6.9億が新規就農者によるものです。人口5万の伊豆の国市ながら大村市の新規就農者数(前年度年間3名)は倍以上の7名。
離農者もゼロと継続率も高い地域です。やはりというか、技術研修や経営指南のコアになる方がいらっしゃいます。市議会議員も務められているとか。

様々な制度も活用しながら、希望者に自らの農業決算書を開示、地域の方々を巻き込みながらニューファーマーの育成に当たられています。後継者がいなければ育て上げる、という考え方で、ボランティアで農家を回り指導に当たられているとか。
比較的軌道に乗りやすいとされるミニトマトとイチゴに作物を絞ったこともポイント。行政としては基盤整備に力を入れているとのことです。

農業を事業として成功させるには、趣味や定年後の農業とは違う、高度なプロの技術が必要だということで、経営知識から植物生理学、土壌学、遺伝学等々の高度な学習をされています。地力もあるという事も手伝って、3年目からは500万以上の所得が見込めるとか。

農業は自然が相手ですから大変だと思いますが、収入も見込める魅力ある仕事にするという取り組みは大変参考になりました。


イラストは伊豆の国市のゆるキャラ「てつざえもん」
江戸末期、ペリーを追っ払う為につくられた大砲を鋳造した溶鉱炉跡があり、世界遺産登録を目指しているそうです。

公式報告は他の議員が担当します。

議会基本条例と制定後の運用状況・兵庫県朝来市、三田市

2014年01月28日 | 視察報告書等
議会運営委員会にて視察に行ってきました。

・兵庫県朝来市
人口3万2千人、財政力0.46、一般会計210億、面積402㎞2、天空の城・竹田城で一躍有名になりました。10万、23万、44万人と観光客数も急増中。目下の課題は城跡の保全だとか。

月2回のペースで議会基本条例を議論。議会基本条例制定されました。同時に自治基本条例も制定し、役割分担を明確にするとともに議会の存在感を打ち出す狙いもあったようです。
その後、議会による議案修正31回と多め。当局が固める前から議論するので多くなるとか。
ケーブルテレビは市が運営、月1500円(インターネットは2000円)加入率90%だとか。

議会傍聴者の増加を狙って広報を強化、傍聴席には議員に配られるものと同じ議案書を用意しています。委員会も公開していますが、新聞記者ぐらいしか来ないとのこと。
また、議会で参考人制度が活用されています。当初は招聘に抵抗があったとのこと。国会の参考人とイメージが被っていたからだとか。現在では市に意見を述べる、という機会として認知されてきたようです。また、文書で市長に質問ができます。国会でいう質問主意書ですね。

議会報告会についてはかなり熱を入れていたようです。12会場を回られます(大村8会場)担当議員自らパワーポイントを作成し、開催前に原稿読み合わせ、入念なリハーサルをやれていました。しかし大村市と同じく参加者は減少傾向。
力を入れすぎた面もあり、現在精査している所だとか。大村と違って地区別のテーマは設けず全会場同じ内容。ただし、毎日構成議員が変わっています。

議会報告会と別に一般会議を開催されています。
会議ごとにテーマを決めて、行政、議員、テーマに関連のある市民委員と討議を開催。今まで5回開催されたそうです。ただし、陳情請願の為の会議ではないので、あくまでも結論は出さないということでした。

反問権については当初から設定されていません。基本的に当局には反問権がある、という考えかたとのことで、議会では一問一答の中で日常的に行使されているとか。
しかし政策的な反問は議会の混乱を招くのではないかということで設定していないということです。当局の体制と一議員の専門性や、知識の格差でかみ合った討論にならない、というのが理由。インターネット放送については、これからだそうです。

昭和30年に建設されたという庁舎はボロボロでした(失礼)地震が来たら最初に倒壊するのは大村と同じです。ですが合併特例債(70%は還ってくる)を使って建て替えが決定されているとか。新しい庁舎になればITを活用した発信も行っていくそうです。

告示日には上程議案の説明会が開催されるそう。会派別に質疑も行うとのこと。より深い議論ができそうですね。

主たる説明を頂いたのは事務局15年選手の女性職員。立て板に水の説明で質疑でも間髪入れずに答弁される能力の高さ。恐れ入りました。

翌朝はジョギング。霜が降り氷が張る清冽な空気の中で、朝もやに浮かぶ竹田城を遠目に眺めました。倍増する観光客にお金を落としてもらう方策を確立するのが急務のようですね。


・兵庫県三田市
人口11万3千人、210㎞2、財政力0.83、一般会計332億
庁舎はこちらも昭和35年と相当な年季もの。しかし隣に新庁舎が建設中でした。

こちらも自治基本条例とともに制定されました。
議会報告会は昨年初めて開催されたそうですが、出席者数の少なさが課題だとか。報告会は3会場(大村8会場)と少なめです。定点カメラでユーストリーム中継されたそうです。

反問権の設定はありますが、行使されたことはないとこと。
本議会の質疑は完全通告制。委員会付託にされる議案についても事前に通告しなければなりません。定例会の日程は委員会が一般質問より先なんですね。大村と逆になります。
委員会は公開、熱心な市民の傍聴がたまにあるそうです。

議会からの政策的な条例提案はまだ実績がないようです。議会生中継は7か所の市民センターで放映されます(ラジオやケーブルテレビは無し)インターネットによる録画配信は次の定例会まで3か月。その後は削除されます。

議会ツイッターがあります。かなり日程の案内等フォーマルなツイートばかりですが大村市議会はSNS活用に至っていません。

女性議員はなんと6名(大村1名)、歴代議長(任期1年)も2名いらっしゃるそうで、女性が元気なまち?なんですね。素晴らしいです。

所変われば品変わる。議会の運営も自治体それぞれです。
色々と勉強になった視察でした。

公式報告は他の議員が担当します。


写真は朝来市和田山駅にある車両倉庫跡、100年前にできたとか。

地方議員セミナー「子ども子育て支援新制度」・奈良県立図書情報館

2014年01月23日 | 視察報告書等
表題のセミナーおよび奈良県立図書情報館の視察に行ってきました。
以下はセミナー報告書、図書館は他の議員が担当しています。


講義Ⅰでは新制度導入までの経過について実方伸子(保育研究所)からの説明があった。民主党案の総合こども園法を自公共が取り下げ・修正により認定こども園法として改正された。
しかし複雑な現行制度に加えてさらに複雑な制度になってしまった。実際の運用についてはまだ議論が進行中で全体像がつかめていない状況である。
現在でも満足でない(という見解)基準がさらに緩和されたことにより、待機児童を解消したヨコハマ方式などが成功例として取り上げられているが、高架下に設置されたり、川崎市では産廃施設の隣に設置された例があげられた。
この改正の狙いは国の予算削減の為の給付コントロールが透けて見える、という見解である。しかし国はガイドラインを示し、実施主体は市町村となり、条例で定めるところとなる。ここでチェック機関としての議会の存在意義が見いだせるとの見解であった。
しかし国からの予算がコントロールされれば、自治体間によってサービスの格差は広がるだろうとされた。

講義Ⅱでは、村山祐一(保育研究所所長・元帝京大学教授)より子ども・子育て支援関連3法の概要および新制度の全体像についての講演がなされた。
講義Ⅰの内容をより詳細に説明があり、規制の緩和による悪影響についての懸念が示された。園への補助金から親への給付という形に改正されるので使途制限が緩やかになり、サービスの質が確保できなくなるのではないかという見解や、OECDのデータを参照し、保育費の負担の高さ(保育予算の少なさ)が示された。

講義Ⅲでは大井琢(日本弁護士連合会・貧困問題対策本部委員)より新制度における保育の利用(保育所入所)手続きについての講演がなされた。
改正のひずみにより保育の利用手続きに生じる可能性がある問題点についての見解が示された。二段構えの手続きになることにより、保育へのアクセスが阻害、自治体職員の事務量の増大、保育の差別化が生じるであろうとの見解であった。また営利企業の参入は良質な保育を実施するに当たり矛盾がある、とされ否定的な見解であった。しかしその根拠とする民間企業についての氏の見解は偏重も感じられた。

講義Ⅳでは杉山隆一(佛教大学)より市町村・地方議会の課題、子ども子育て会議と事業計画について講演がなされた。市町村が定める条例についての基準について詳細な説明があった。設置基準や保護者負担、保育士資格等、現行基準より引き下げさせないようにするために議会の役割があるとした見解であった。議会より意見書を決議し内閣府に送付することも一つの手段である旨の提案がなされた。まだ保育士の人材確保が難しくなるという懸念が示され、雇用形態についても非正規率を引き下げることが重要だという見解が示された。

所見:新制度については、様々課題や問題の発生が懸念されるが、2015年施行が決まっており、その運用や制度の詳細について議論が進んでいる。現段階では全体像が明確になっているとは言い切れない。ただ今後も自治体の役割と裁量が益々大きくなることは疑いのないところであり、自治体間のサービス格差は財政力により生じる可能性が高い。議会の役割としては良質な保育サービス提供を実現させる為に監視や議論により力を入れるべきであろう。また、講義で示されたような参入企業悪玉論に流されるべきではないと考える。設置基準と監視をしっかり行うことを前提とし、民間活力を取り入れることが必要なのではないだろうか。
財源論には不安を払しょくできない。給付制度に移行することによって保育予算を国が絞り込む方向でコントロールされるという見解には概ね同意できる。私も介護事業者の一人であり体感しているところであるが、介護は既に給付制度に制度に移行しており、事業の厳しさを実感している。介護から保育までを含めた社会保障費の削減は債務超過と揶揄される我が国の命題でもあるが、その様な中でも知恵を力を出し合って制度を維持しなければならない。そこには民間活力の導入も重要な手段の一つであろうし、自治体の予算や事業のチェックを行う議会の役割も益々重要になると感じた。
また、財政状況を好転させる手段の一つとしてhあい経済成長を実現しなければならないと再認識させられた講義であった。

文責:北村貴寿


奈良の図書”情報”館は「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」にも輝くだけあって素晴らしい図書館でした。
雑誌”ソトコト”の図書館特集にも紹介されていました。

また図書”情報”館だけあって、IT関係の設備が充実しています。撮影スタジオなんかもあって、地元議員が撮影に使ったりしているとか。バックヤードの100万冊収納可能な自動書庫はド迫力、凄いスピードで動くコンテナにビックリ。

そして、企画やイベントの多さに驚きました。話を伺うと館長さんの手腕によるところが大きいとか。
市と県との連携については「ゆるやかな役割分担」を意識されており、それはビジネス支援にも見てとれます。
歩き始めた起業家たちへ知の拠点としての支援を重視。交流やリファレンスに主眼を置いた支援を展開されています。

新図書館整備についての議論が進む大村市。
私も大いに刺激を受けた視察となりました。

地場企業振興調査特別委員会・行政視察

2013年11月05日 | 視察報告書等


地場企業振興調査特別委員会行政視察

・八尾市

中小企業地域経済振興基本条例、中小企業サポートセンターについて。

同友会で「八尾市は振興条例の先進地」との情報を得ていましたので、委員会の視察先に取り上げて頂きました。
条例制定は平成13年と早め。そして平成23年に改正を行ったとのことです。

八尾は大阪のベッドタウン。
41K㎡に人口27万、一般会計1045億、財政力0.73 経常収支比率95.6

大村市の三分の一の面積に三倍の人口が住んでいることになります。
一般会計の規模もほぼ三倍ですね。いわゆる町工場の密集率は国内第三位。

条例そして中小企業サポートセンターについて、職員から熱の入ったブリーフィングを受けました。
啓発資料が充実しているし教育委員会との提携や近隣自治体との連携したビジネスマッチング等と参考になる取り組み多数。
質疑の時間が足らなかったのが残念です。

サポートセンターが入る商工会議所は建て替えられたばかりでセンス良し&機能性も良さそう。
何より職員が元気だった。やっぱり人なんだなあ。


・枚方市

産業振興基本条例、地域活性化支援センター、津田サイエンスヒルズについて。

こちらも大阪のベッドタウン。65k㎡に人口40万、一般会計1158億、財政力0.83、経常収支比率89.4

条例と支援センターについてはどうしても八尾市と比べてしまいます。
まあ平均点というところでしょうか。

しかし津田サイエンスヒルズは大変勉強になりました。

いわゆる工業団地ですが大阪府立の職業技術専門学校や研究所、そして企業が混在している。
なんでも東のツクバに対抗して作られたとか。

特に最後にご紹介いただいた企業は凄かった。

金型からロボット、人口関節の共同開発、社長から直々に熱心なご説明頂きとっても興味深かった。
そしてヒルズ(大村でいえばアルカディア)の事務局長のキャラクターも熱かった。

やっぱり人、そして情熱なんだなあ、と再認識させられた視察でありました。


写真は駅で見かけたトーマス電車。ギョーザ電車も走ってました。
ラッピングってどんどん進化してますね。

おむらんちゃん列車なんて面白いかも。

千葉県成田市「園芸デイサービスなりた」他二箇所

2013年08月14日 | 視察報告書等


連携する4会派にて

・千葉県成田市「園芸デイサービスなりた」
・静岡県富士市「産業支援センター」
・千葉県香取市「滞在型市民農園(クラインガルデン栗源)」

三箇所の合同行政視察へ行ってきました。

視察内容は市制研究会において全議員で共有します。
私の報告担当は「園芸デイサービスなりた」

成田市の財政力はなんと1.5!
うらやましい限りですね。収入の大部分は成田空港関係が稼ぎ頭です。100億以上の固定資産税が入ってくるとか。
人口は13万人、面積は213平方キロメートル。大村市よりワンサイズ上、といったところでしょうか。一般会計560億です。
成田空港開港35年周年。成田山新勝寺が1700年と周年がらみで盛り上がっていきたいとのこと。


いまや必須となった?ご当地キャラは



そのとぼけた愛らしさで引っ張りだこだそう。


視察のきっかけはNHKでの放映。耕作放棄地解消に大学と連携したデイサービスが一役買っているということだったので視察を提案しました。

9年前から事業を開始。母体は建設会社ということで事業拡大の一環だったとのこと。

無償で借り受けた耕作放棄地で20種類以上の作物を育てています。
農作業は自由参加で、2,3名の時から全員が参加する時もあります。
ということはサービスの拠点が分かれてしまう=マンパワーが分散してしまう、という状況が起こるので介護職員は基準の2倍以上を配置しています。
あくまでレクレーションの選択肢の一つ。それぞれの介護度に合わせて農作業を行っており大きな転倒事故は起こっていない、という事でした。

農業関係の専門的知識がある職員も雇用しています。建設会社が母体らしく建設資材を活用して、畑が整備されていました。
収穫した野菜は施設で利用したり、持ち帰りったりしているそうです。

車いすやかがむ姿勢が困難な高齢者でも作業がしやすいよう80cm程度の高さの足をつけたプランターを作成「楽らく花だんレイズドベッド」と名付けています。

大村でも同じですが、成田市でもあまたあるデイ事業所。
その差別化として園芸デイの商品価値があるそうで、それを目当てにやってくる利用者もいるそうです。
ちなみに農作業レクレーションを取り入れている事業者は他にもあるとか。

大学との連携ですが、開設当初から千葉大学のゼミと連携しており、事業所で月1回勉強会が行われています。
園芸療法の形態の一つであり、様々な作物を植えることによって、誰もがどこかでなにかの作業にかかわれる状態を作り出しています。認知症の方が記憶するケースもあるそう。
データの蓄積や提案を受ける対価として少額の研究費を大学へ拠出しているとのことでした。

他の農家からも放棄地を使ってほしいと依頼が舞い込むそうです。
放棄地の2割が都市部にある、デイサービスが使って放棄地解消。高齢者も農家もうれしい一石二鳥の事業だと胸を張られていました。

また、園芸療法はペット療法に比べるとペットロスのリスクがない。作物が枯れてしまっても、今度はしっかり育てようね、という前向きな気持ちで再開しやすい、というお話には納得しました。

経営的には単体での赤字にまではなっていないが、儲かってもいないという事でした。
介護保険外のサービスの為、基準以上の職員配置で持ち出しが常態化しているともいえます。
私も介護保険事業者のはしくれなので実感しますが、スケールメリットを追求しない限り利益は出しにくいす。介護事業は社会貢献と割り切ってやるしかないな、というのが正直なところ。


ただしこの会社の社長さんは相当な事業家、戦略家でもあるようです。

農水省や国交省、千葉県、成田市の補助事業、制度をしっかり活用しながら事業展開。
老人ホームを整備する建設会社や長寿健康啓発NPOと連携しながら介護事業を展開されています。経営者には今日必要なスキルといったところでしょうか。


今回のケースですが、耕作放棄地の解消についての新しい取り組み、とするとミスリードでしょう。たまたま耕作放棄地が事業所の近くにあり、それをタダで借りてレクレーションに農作業を取り入れたらみな喜んだ、という好例。

あくまでも事業者の創意工夫の一例ですから、行政がなんらかの制度構築に活かしていく、という例には繋がりにくいのかな、といった印象でした。
独自のインセンティブが設定されている訳でもなく、耕作放棄地解消と介護がコラボする政策を期待していっただけに肩すかしは否めず。


ただ無意味な視察だったかといえばそうでもありません。
実際に現地を見る、直接話を聞いてみる、という事をしないとわからない事が多いのです。

このケースを政策として発展させるには事業者へのインセンティブが必須ですが、事業所の立地環境に左右されすぎるので政策としては成り立ちにくい=このケース以外の方法を考えましょう。という事が分かっただけでも意味があったと思います。

実は弊社も猫の額のような畑をつくっており、農作業が好きな利用者様に楽しんでいただいています。お米を作ってみたいなあ。


今回の行政視察ではその他に、

・静岡県富士市「産業支援センター」
日本一高い企業家チャレンジスピリット「F-biz」を率いる超多忙な小出所長から直接講義を受けました。
やはりハコではなく人。職員を1年ぐらい派遣して鍛えてもらうというのが一番効果的でしょうね。

・千葉県香取市「滞在型市民農園(クラインガルデン栗源)」
市民の力を活かしたすばらしいコミニュティ。大都市のベッドタウンだから成り立つという見方もありますが、自然との調和が素晴らしい。GL育成塾の同期が出迎えてくれて嬉しいサプライズでした。


フォーマルな報告書は8月21日以降、議会事務局にてすべて閲覧できます。

京都府亀岡市議会

2013年02月04日 | 視察報告書等
二日目は京都府亀岡市議会。

山陰宿場町の「亀岡」として栄えた歴史があります。京阪神大都市圏のベッドタウン、京都市内まで20分、大阪神戸へのアクセスが良い街です。

人口92,000人、一般会計311億、225k㎡
財政力0.62 経常収支比率91.2% 議員数26名。

大村市とほぼ同じ人口、財政規模ながら面積は約2倍、というところです。
庁舎議場はバブルの残り香が漂う立派な建物。議場にモニターが設置されていました。

日経グローカル第二回議会改革ランキングは10位。加西市と同じく大村市に学びたいぐらいだというお話を頂きました。
議会改革については平成10年から取り組み始めたとのことです。

こちらもインターネットのライブ中継をやっています。
ただしケーブルテレビがありません。導入は必然だったとも言えるのでは。
他にもHPで視察報告を公開、委員会会議録を公開しています。

大村市議会とは議会運営について相違点が幾つかありました。
議会にもご当地カラーが色々あるんですね。

まずは質問に関する部分。

質問は毎例会会派代表質問が40分。そして個人質問(いわゆる一質です)20分(最大30分)で構成されます。
短いですが、いずれも理事の答弁時間含まず、ということです。

また、常任委員会を月一回例会として開催しています。
よりタイムリーな情報が得られるとか。

市政記念事業として議会の休日開催を行ったそうです。(45周年・55周年)
職員は代休出勤。


議案に対する質疑が通告制。それも質疑前日まで。

大村のように議場にて質問が飛び交うような事が無いのでしょうか。
複数議員での議論の発展が難しいと考えられます。
しかし議案に対する掘り下げは常任や一般質問で行うとのこと。


議会報告会の意見要望は内容・結果をHPへ掲載しています。


24年9月から文書質問が始まったそうです。
閉会中に1議員が1項目行えます。その効果はまだ未知数。

市長が回数制限無しの反問権を持っています。
スポーツ施設誘致が活性化に繋がるかの是非について市長と議員がやりあったそう。


議員同士の討論はまだまだだそうです。

議会改革について理事者の理解が浅い!と事務局長が言い放ってました。
理事側に戻れないかも、なんていってましたが、議員からは心強い人材ですね。


質疑メモ

議会報告会は年4回、定例会毎に行う。
本会議終了後、全員協議会にて3会場に行くメンバーを発表。
開催地の地元出身議員は外している。資料は議会だよりを使用。

議長・副議長・議運委員長が三会場の責任者、記録、受付、設営、写真すべて議員が行う
当初は委員会報告が中心だったが、難解だと言う声があがり止めた。

インターネット配信についてのコストは年間150万、初期費用42万、市外業者に委託しています。
本会議のみの放映でライブ&録画(不適切発言等は削除編集し1週間後にアップ)
京都府内ではネット放送は5番目と早いほう。


議会だよりがスピーディに発行されている。約1カ月後に発行。
初日代表質問が終わった段階で紙面会議。1会報ごとに3回会議、作業部会4~5回、業者も参加する。基本的には全て議員の手によるとされているが事務局のサポートもある。

決算説明書が充実。課長説明資料を提出させている。理事者は当初抵抗したが、お互いに深い審査に繋がっている。

議会だよりや説明から類推するに、市長と議会の議論が活発であることが伺える。
個人質問も毎回殆どの議員が登壇するとのこと。
今後は議員の政策立案力を高めるような研修を行いたいとの事です。

大村より進んでいるな、と思った所は

・議会報告会が年4回
・ネットライブ放送
・視察報告のWEB公開
・議会だよりの発行がスピーディ

レクチャーを頂いたのは亀岡市議会の議長と事務局長。
議長は勿論のこと事務局長の熱が伝わってくる勉強会でした。


「改革は遅々として進む」

この言葉でプレゼンを締められました。

一気にひっくり返るような改革は難しいが、粘り強くコツコツとやる姿勢に感銘を受けました。

亀の歩みだが必ずやるぞ、と誇る清々しさが感じられます。

良い言葉ですね。


写真はご当地ゆるキャラの明智かめまる君

亀岡は明智光秀が丹波亀岡城主として治めた土地。悪役イメージが強いかもしれませんが良政を布き、当時の武将にしては珍しく側室もおかなかった愛妻家、という愛されキャラなんだそうです。


大村市議会は全員で視察内容共有する勉強会、市政研究会があります。
亀岡の報告担当は私。以下はフォーマルな報告書です。

1~4(略)

5.視察内容
山陰宿場町の「亀岡」として栄えた歴史があり、京阪神大都市圏のベッドタウン。京都市内まで20分、大阪神戸へのアクセスが良い街。京都府亀岡市議会へ議会活性化への取り組みについて視察に赴いた。
一般会計311億、225k㎡、議員数26名。大村市とほぼ同じ人口・財政規模ながら面積は約2倍。
日経グローカル第二回議会改革度ランキングは10位(大村市は16位→82位と後退)だが、議会基本条例制定の先進地として大村市に学びたいところである、とのこと。
議長及び事務局長から作りこまれたPPTにて議会全般にわたり仔細なレクチャーを受けた。議会のご当地カラー的な部分に関しては報告を控え、議会活性化に繋がると感じた部分について内容を報告する。

・議会報告会について
年4回、定例会毎に行う。本会議終了後、全員協議会にて3会場に行くメンバーを発表。
開催地の地元出身議員は外している。資料は議会だよりを使用。
議長・副議長・議運委員長が三会場の責任者、記録、受付、設営、写真すべて議員が行う
当初は委員会報告が中心だったが、難解だと言う声があがり止め議会だよりへ変更。
議会報告会の意見要望は内容・結果をHPへ掲載。

・インターネット配信についてのコストは年間150万、初期費用42万、市外業者に委託。
本会議のみの放映でライブ&録画(不適切発言等は削除編集し1週間後にアップ)
ケーブルテレビ局が無い為、導入は必然であった。京都府内ではネット放送導入は5番目。

・議会だよりがスピーディに発行されている。定例会閉会後約1カ月後に発行。
初日代表質問が終わった段階で紙面会議。1会報ごとに3回会議、作業部会4~5回、業者も参加する。基本的には全て議員の手によるとされているが事務局のサポートもある。
また、HPで委員会視察報告及び委員会会議録を公開。

・決算説明書が充実している。課長説明資料を提出させている。理事者は当初抵抗したが、現在ではお互いに深い審査に繋がっていると認識。

・毎月一回、常任委員会を例会として開催。よりタイムリーな行政情報が得られる。

・市政記念事業として議会の休日開催を行った(45周年・55周年)職員は代休出勤。

・24年9月から文書質問を開始。閉会中に1議員が1項目質問できる。その効果はまだ未知数。

・市長が回数制限無しの反問権を持つ。スポーツ施設誘致が活性化に繋がるかの是非について市長と議員がやりあった(論点整理)。

議会だよりや説明から類推するに、市長と議会の議論が活発であることが伺える。個人質問も毎回殆どの議員が登壇する、今後は議員の政策立案力を高めるような研修を行いたいとの事。
「改革は遅々として進む」亀岡市だけに「亀の歩みだが必ず成し遂げる」と誇る清々しさが感じられるこの言葉で説明を締められた。粘り強くコツコツとやる姿勢に感銘を受けた。

6.所  見(事業採択の可否も含む)

議会活性化の取り組みとして大村市議会との相違点はおおむね以下の通り。
・議会報告会を年4回
・インターネットライブ中継
・視察報告書のWEB公開
・議会だよりの発行がスピーディ
・常任委員会の毎月例会開催
・議場にモニター設置。
以上の点についてはさらなる調査、議論が必要だと考える、中でもインターネットライブ中継については「市民に開かれた議会」を標榜する上で必要不可欠だと考える。
現在はケーブルテレビ・FMおおむらでの放送がなされている。動画でリアルタイム配信の手段としてはケーブルテレビのみで、ご承知の通りケーブルテレビ契約者のみが視聴できる状態。
契約には加入料という負担が発生する。加えて大村市内にはケーブルテレビに加入できない地域がある。この状態は情報格差を生んでいるとも言えるのではないか。
インターネットライブ中継を開始すれば、インターネットに繋がるPCは勿論の事、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末で視聴できる事になる。加えて携帯電話等の普及率はご承知の通りである。
情報格差の是正の為に早急な取り組みが必要だと考える。

文責:北村貴寿

兵庫県加西市議会

2013年02月02日 | 視察報告書等
議会運営委員会の視察へ。議会改革が進んでいる、という先進地にてお勉強です。

初日は兵庫県加西市議会へ。
一般会計182億、議員数15名、面積は150平方キロ、人口は5.3万がピークで減少4.8万人です。
財政力0.62、経常収支比率91.1%
大村市よりちょっぴり大きい面積だけど、人口や財政規模は半分、という所ですね。
現市長は何とか人口5万人へ戻したいとして5万人化計画を実行中だそう。

主たる産業は製造工業。三洋電機発祥の地です。
パナソニックに子会社化されて家電は撤退しましたが、リチウムイオン電池最新工場があります。ちなみに三洋発祥の地は現在イオンが進出してます。

日経グローカルが発表している第二回議会改革ランキング7位。ちなみに大村市82位(第1回は16位)

冒頭頂いたご挨拶では
「何故7位とされたのか正直よく分からない、大村市に学びたいぐらいだ」
という話が。まあランキング=実態とは言えない部分もあるんでしょうね。

大村市議会との一番の違いはインターネットによる情報公開関係
インターネットで中継していますが、本会議、委員会までライブ放送しています。

ちなみに本会議ライブ放送へのアクセスは23年3月議会で514件
委員会は平均54件(44会議に2,413)
録画へのアクセスは23年度トータル21,791件です。

指標が無いので多いのか少ないのか良く分かりません。
年間の推移はほぼ安定していました。

調査事項1
条例の概要、制定までの経緯経過の詳細は別紙日程表参照

19年、職員採用巡って大紛糾。
慣例で試験結果上位から採用しているところを市長が個別に選択、職員採用した。
それが発端となり議会で市長不信任が可決、議会を市長が解散、議員再選後再度市長不信任が可決、市長が辞職、選挙で再選!

不規則発言など議会が大荒れ、議会の役割を改めて見直す結果になり、議会基本条例の必要性が芽生えた。

先進市視察、栗山町の指導にあたった神原先生を招いて研修会。全市民対象の懇談会開催
市民アンケートやフォーラムを活かした条例案作成。22年6月策定

反問権の行使は前市長、部長ではあったが、現在市長になってからは行使されていない。

陳情者は議会に出席して説明を求める(基本的に)
何件も陳情する団体が現れた為、一定の規制を設けた。

大村市議会で行っている市政研究会(視察の結果を全体で共有するという取り組み)は本市ではない。参考にしたい。

議会報告会。
二班編成年二回以上行う。行政はより多くの場所、回数で市政懇談会をやっている
議会だよりと重複する部分があるので中身を検討してはどうか、という意見もあるが、報告はこだわりたいところ。

質疑&談話メモ

委員会は突っ込んだ質問等が多いと思うが、インターネット放送の弊害は無いのか?
ない、すべて見せようという事。しかし公開によって聞けないところ、言えないところということはわきまえた状態になっていると思う(ということは、赤裸々トークは別でやってんでしょうね)

インターネットライブ放送のコストは?
1年400万円、5年契約、外部委託、東京の業者、次回契約は半値になる。
最近のコスト低下には驚いている。更に調査をしたい。

議会批判、公務員批判という流れがある。
議会改革といえば報酬削減、定数削減の話ばかり。
議会本来の役割、議員の仕事がどうあるべきかという話はあまり出てこない。

一問一答は一括質問があり、その後の一問一答であるなら従前のやり方と同じではないか。
→議員ごとに違うが、最初に全て質問する議員が多い。

委員会放映がダブらないか?
委員会室が一つしかないので、同時開催ができないのでダブらない。

議会報告会、参加市民が固定化する傾向はあるか?
ある。市民参加が減っているのが悩み、増員への取り組みが課題。

議会報告会の参加促進は?
自治会で動員をお願いした事もあるが、現在は区長会、議会だより、町内回覧板、地域新聞でのお知らせをしている。ビラ、ポスター作っていない。議員が個人的に呼び掛けている。

議員研修は講師を呼んで始めたばかり、政策形成まではまだまだ。

議長選挙については議員直接投票であった。
現在は会派推薦の弁や立候補者の表明を議場で行い、選挙となる。
立候補制は現在の地方自治法では許可されていないので協議会として、非公開になる。

報告会を議員から止めたほうが良いのではと言う意見は?
ある。意味が無いという声。

大村市議会もインターネットライブ中継(録画のみ)まではやっていません。私も何度か進言していますが、本会議のライブ中継は開かれた議会が市民の接点を増やすという意味でも推し進めるべきです。

委員会放映については意見が分かれる所。私は本会議のみで良いかな、と思っています。理由は前述していますが、赤裸々トークがもっと閉ざされた所に行く可能性が高い。


加西市へは第3セクターが運営している北条鉄道にて赴きました。

途中の風景は何とものどかでした、単線で味わいのある車両。学生や交通弱者の重要な足になっています。
枕木応援団や子ザルの1日駅長さんなどイベントも色々。


地域に愛される鉄道として永く存続して欲しいですね。