きょう(4月10日)午後1時半から、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地に課税した熊野市を被告とする訴訟の控訴審が名古屋高裁民事第3部ではじまりました。
そのちょうど1週間前(4月3日)の同じ1時間半から、韓国慶尚北道議会の決議に基づいて公式に来日した慶尚北道議会議員団が熊野市議会議長らと面談していま。
きょうの第1回控訴審では、長門栄吉裁判長は、書面の形式的やりとりだけで、審理をすすめようとし、原告に、口頭弁論の機会をなかなか与えようとしませんでした。そばにいた内田計一裁判官と山崎秀尚裁判官は終始なにも発言しませんでした。
長門栄吉裁判長は、はじめに、原告にたいして、〝原告が1審で主張したことは、1審の判決文に書かれてあるのと同じであるか”、という意味のことを法律用語を使って言いました。
1審判決を承認できないから、原告が控訴したのであるにもかかわらず、このような裁判長の質問は、弁護士に依頼しないで本人訴訟をおこなっている原告が、法律用語にくわしくないことを知りつつ、原告をだますものです。原告や傍聴人の長門栄吉裁判長にたいする不信と怒りを察した長門栄吉裁判長は、あわてて、「わたしは、原告を、だますつもりで言っているのではありません」と弁解しました。
原告は、、証人申請をしたあと、民事裁判の原則は「口頭弁論」なのだから、口頭で「弁論」すると主張しました。長門栄吉裁判長は、ようやく、〝10分間だけ”と制限して、原告の弁論を承認しました。
原告が名古屋高裁1003号法廷で陳述している1週間前のほぼ同じ時間に、熊野市議会委員会室で慶尚北道議会の金昌淑団長は中田悦生熊野議会議長に、
”慶尚北道議会議員訪問団は熊市野市の紀州鉱山で亡くなられた韓国人に対する真実糾明と追悼碑敷地の
課税撤回を要求するため熊野市議会の議長を訪問した。
熊野市議会も紀州鉱山で行われた不幸な事件に対して関心を持って歴史的な真実糾明のためにご協力
をお願いする”
という訪問目的を伝え、それにたいして、熊野市議会議長は、
”熊野市が紀和町と合併して間もないので、紀和町の紀州鉱山の問題はあまり知らない。
少しずつ関心を持って勉強していきたい」
と述べました。
熊野市議会委員会室での面談の席には、紀州鉱山の真実を明らかにする会のキム チョンミさんが通訳として出席していました。
きょうの名古屋地裁の控訴審の法廷に原告として出席していたキム チョンミさんは、
”慶尚北道議会の決議に基づいて、慶尚北道が、ことし2月22日に「紀州鉱山韓国人死亡者追悼地課税に
対し日本政府と熊野市に紀州鉱山強制徴用現況および基礎調査を促す一方追悼地課税に対し強硬対応す
ることに方針をたて」そのことが、韓国のマスメディアで大きく報道されている。
日本の行政機関が紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の土地に課税することは、社会正義から許
されることではない。
熊野市は、委任した弁護士に基本的なことを任せておくのではなく、事実を明確に知るならば、紀州鉱山で
亡くなった朝鮮人を追悼する碑に課税することが許されないという歴史的社会的国際的正義を自覚できるだ
ろう。
1審裁判は、中田悦生熊野市議会議長が、2012年4月3日に「少しずつ関心を持って勉強していきたい」と述
べる4か月前の2011年12月1日におこなわれ ている。2審段階では、熊野市・熊野市議会・熊野市教育委員会
が、「関心を持って勉強」し、紀州鉱山問題の重大性を理解するなら、道徳的に紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を
追悼する碑の土地に課税をしてはならないこと、課税できないことを自覚できだけでなく、日本の法律に基づい
て紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の土地への課税をしないのが正しいことを理解できるだろう。
韓国慶尚北道議会議員団は、公式の代表団として熊野市議会議長らと三重県議会議長らを訪問し、「追悼碑
敷地の課税撤回を要求」したのは、紀州鉱山に強制連行された朝鮮人の同胞としての行動である”。
と述べました。
原告として出席していた竹本昇さんが、1審は本質問題が審理されることなう極短時間で強引に終結さっせられたが、2審では審理を尽くすべきであること、などを主張したあと、長門栄吉裁判官は、「証人申請を認めるかどうか合議します」と言って2人の裁判官とともに退廷しました。
数分後に法廷に入ってきた長門栄吉裁判長は、「原告の証人申請は却下します。これで本口頭弁論は終結……」といい始めました。
裁判長が「終結」と言った直後、原告のキム チョンミさんと竹本昇さんは、即座に、「裁判官を忌避する」と言いました。
法廷手続きをよく知らない原告らに忌避されることを予想していなかった長門栄吉裁判長は、「忌避しますか」と力なく言いました。
傍聴席からは、「でたらめな裁判だ」、「恥を知れ」、「こんなことは許されないぞ」……という怒号が飛びました。長門栄吉裁判長は、チラリと傍聴席を眺めながら、「発言を続けると退廷させます」とひとことつぶやいて、急いですぐに2人の裁判官といっしょに退廷していきました。
佐藤正人