先日、マーベラスから株主優待として送られてきたゲーム「ルミナスアーク3」。昨年の12月に発売された、ニンテンドーDS用のゲームです。簡単に説明すれば、ファンタジーの世界が舞台の正統派タクティカルRPGという感じです。
DSのソフトはROMなので、声の収録は少なく、最初は誰が誰の声を演じているのか全く気にしていなかったのですが、ある程度プレイしたあとに、ふとケースを見てみると、男勝りで気高い女騎士であるアシュレイの声を演じていたのは、あの水樹奈々でした。
繰り返しますが、声の収録が少ないため、恐らく出演料は安いのではないかと思う(フルボイスではないので、水樹奈々目当てで買う人はほとんどいないと思うし、高い出演料が払えるほど大ヒットしているゲームでもない)のですが、相変わらず水樹奈々は、こういう比較的軽そうな仕事も積極的に受けているように思います。
前置きが長くなりましたが、今回は「アイドル声優とは何か」という話です。
水樹奈々の紅白出演は、やはり非常に大きい出来事だったようです。NHKには今年も積極的に出演していましたが、最近では「食わず嫌い選手権」に出演したり、「ミュージックアワー」に出演したりと、一般向けの番組にも時々出演しています。
そんな中、8月に携帯で見ることができる番組「ドコモ動画」でスタートする手塚治虫原作のアニメ「ユニコ」に、水樹奈々が主演するというニュースが、ヤフーなどに掲載されました。携帯でしか見られない作品と言うこともあってか、発信したのはあくまで音楽系のサイトで、スポーツ紙ではなかったのですが、どのニュースも水樹奈々が出演することを全面的に出して宣伝していました。
これって、実力無視の有名人起用のケースと非常によく似ています。「手塚アニメと水樹奈々の夢の共演」みたいなことが書かれていましたが、水樹奈々を応援している私から見ても、どこがどう夢の共演なのかと疑問に思ってしまいます。
実際、(少ないですが)コメントを読んでいると、実力もないのに知名度だけで起用されたと書いている人もいました。
断言しますが、水樹奈々は決して、顔(或いはその他声優以外の要素)だけで人気声優になったわけではありません。そもそも、「顔は可愛くても演技がダイコン」では、アイドル声優になんてなれません。
声優という職業は、給料が安く狭き門なのに、なりたい人は腐るほどいる人気職です。毎年のように新人声優がデビューしています。更に、「キャリアを積んだ人より新人の方が出演料が安い」という理由で、新人がいきなり主役、或いは重要な役を演じることもあります。人数が多い分、新人でも新人とは思えない演技力を発揮する人もいます。(一方、顔だけはかわいいグラビアアイドル等が出演するケースもありますが、大抵演技力のなさを批判され、その場限りで声優界からは消えています。)
このような状況で、既に声優として10年以上のキャリアを持ち、年齢も三十路に届いた水樹奈々が、演技がダイコンだったら、とっくの昔に消えてしまっています。
水樹奈々の演技を批判している人は、いったい彼女のどれだけの演技を知っているのでしょう。今、すっかり彼女の代表作となってしまったプリキュア(花咲つぼみ)ですが、あの演技はかなりの高音を駆使している演技のために、多少癖があり、好き嫌いが出る演技ではないかと思います。しかし、あの演技はあくまであのような演技を要求されているのです。プリキュアシリーズの主人公としては、初めての「自分に自信が持てない女の子」なんですから、頼りない感じを出している分、一部の人には下手に聴こえるのでしょう。しかし、第何話かでつぼみが授業中に教科書を朗読し、その朗読が見事だったのでクラスメイトがみんな感心するシーンがありましたが、この朗読には私も感心させられました。この朗読などは実力があるからこそ、感動させられる演技ができるのです。
田村ゆかり、堀江由衣については、(失礼ながら)その水樹奈々より更に年上ですからね。しかし、堀江由衣は昨年、主要メンバーからは一歩引いて周りを固める役も多く演じ、その結果声優アワードでは助演女優賞を獲得しました。私は、この受賞は主演女優賞を取るより嬉しかったです。彼女が決して顔や声質だけで人気声優になったわけではなく、演技力も併せ持っていることが正式に認められた瞬間だったのではないかと思います。他にも、名探偵コナンとルパン三世がテレビスペシャルで(こちらは正真正銘)夢の共演を果たしたのですが、この一般の人も大注目された作品のゲストヒロイン(毛利蘭にそっくりな王女)の声を、堀江由衣が担当したのです。なお、この起用は番組が始まるまで一切公表されておらず、実力が認められて起用されたと言っても過言ではないと思われます。田村ゆかりについても、未だに主役級のキャラクターを演じています。
若い声優についても紹介しておきます。
先日も少し書きましたが、グループとしてCDを発売している「スフィア」は、若手声優4人組です。水樹奈々と比べるのはさすがにかわいそうですが、シングルを出せば1万枚くらいは売上を出します。この4人の声優としての実力は、決して他の声優に劣っていません。
中でも、戸松遥については、高校生の頃からその力を遺憾なく発揮し続けています。ツンデレキャラが多いですが、演技の幅は広く、私もDVDを買った「G.A. 芸術家アートデザインクラス」では、癒し系ボイスで知られる(神無月葵役の)能登麻美子と聞き間違えそうな癒し系ボイスを披露。昨年はあだち充アニメ「クロスゲーム」で、勝ち気なヒロイン役で起用されています。一方、メンバー最年少の寿美菜子については、「うみものがたり」の宮守夏音や「初恋限定。」の土橋りかなどでは低い声のクール(若干ダーク)なキャラを演じていたので、こういう路線で行くのかと思いきや、「けいおん!」では琴吹紬として、一転高音のお姉様キャラを演じています。演技も非常に安定しており、これで現在18歳なんですから、本当に驚きです。その他のメンバーも、同じく「けいおん!」で主人公平沢唯を演じる豊崎愛生は、オリコンで1位を取った主題歌「GO!GO!MANIAC」では、声優の特技の一つとも言える早口ソングを披露。あれを歌いきるのは声優ならではです。私もカラオケで挑戦しましたが、とても「歌」と呼べるものにはなりませんでした(笑)。最後に高垣彩陽についても、ベテラン声優も認める実力の持ち主で、次々に主役級の声を演じています。
彼女たちは、間違いなく実力を兼ね備えています。決して、顔だけで人気が出たわけではありません。
一方、顔だけでは人気アイドル声優にはなれない理由がもう一つあります。
アニメファンは、ほぼ全員が声優を応援しているように勘違いされるかもしれませんが、アニメファンの中には、「アニメは好きだけど声優には興味ない」という人が、意外といるのです。それどころか、中には声優に対する不信感を持っているアニメファンすら存在します。
彼らにとって、声優に求めることは作品を壊すことなく演じてくれることだけで、それ以外の要素は全く必要ありません。にも関わらず、演技力がダイコンの声優を起用した日には、激しい抗議が待っているだけです。
従って、演技力のない声優が多くの作品に出演し続けることは、現実的に不可能です。所属事務所のマネージメントで2,3年は持たせられるかもしれませんが、これが5年10年という話になると、それだけで何とかなる話ではありません。
ということで、「人気アイドル声優」になるためには、声優としての実力は必須条件なのです。
ただ、今回の「ユニコ」については聴いていないので何とも言えませんが、いくら上手い声優でも、役柄によっては向き不向きがあります。最近の水樹奈々の人気にあやかって、オーディションをすることなくデタラメに起用を続けた結果、結果的に水樹奈々の価値を下げることは勘弁願いたいと思います。
今日のスポニチに、水樹奈々のコンサートの記事が、芸能面に大きく載っていました。声優がこれだけ大きく取り上げられることについては嬉しいと思う一方、取り上げられ方について不安を感じるのも事実です。
DSのソフトはROMなので、声の収録は少なく、最初は誰が誰の声を演じているのか全く気にしていなかったのですが、ある程度プレイしたあとに、ふとケースを見てみると、男勝りで気高い女騎士であるアシュレイの声を演じていたのは、あの水樹奈々でした。
繰り返しますが、声の収録が少ないため、恐らく出演料は安いのではないかと思う(フルボイスではないので、水樹奈々目当てで買う人はほとんどいないと思うし、高い出演料が払えるほど大ヒットしているゲームでもない)のですが、相変わらず水樹奈々は、こういう比較的軽そうな仕事も積極的に受けているように思います。
前置きが長くなりましたが、今回は「アイドル声優とは何か」という話です。
水樹奈々の紅白出演は、やはり非常に大きい出来事だったようです。NHKには今年も積極的に出演していましたが、最近では「食わず嫌い選手権」に出演したり、「ミュージックアワー」に出演したりと、一般向けの番組にも時々出演しています。
そんな中、8月に携帯で見ることができる番組「ドコモ動画」でスタートする手塚治虫原作のアニメ「ユニコ」に、水樹奈々が主演するというニュースが、ヤフーなどに掲載されました。携帯でしか見られない作品と言うこともあってか、発信したのはあくまで音楽系のサイトで、スポーツ紙ではなかったのですが、どのニュースも水樹奈々が出演することを全面的に出して宣伝していました。
これって、実力無視の有名人起用のケースと非常によく似ています。「手塚アニメと水樹奈々の夢の共演」みたいなことが書かれていましたが、水樹奈々を応援している私から見ても、どこがどう夢の共演なのかと疑問に思ってしまいます。
実際、(少ないですが)コメントを読んでいると、実力もないのに知名度だけで起用されたと書いている人もいました。
断言しますが、水樹奈々は決して、顔(或いはその他声優以外の要素)だけで人気声優になったわけではありません。そもそも、「顔は可愛くても演技がダイコン」では、アイドル声優になんてなれません。
声優という職業は、給料が安く狭き門なのに、なりたい人は腐るほどいる人気職です。毎年のように新人声優がデビューしています。更に、「キャリアを積んだ人より新人の方が出演料が安い」という理由で、新人がいきなり主役、或いは重要な役を演じることもあります。人数が多い分、新人でも新人とは思えない演技力を発揮する人もいます。(一方、顔だけはかわいいグラビアアイドル等が出演するケースもありますが、大抵演技力のなさを批判され、その場限りで声優界からは消えています。)
このような状況で、既に声優として10年以上のキャリアを持ち、年齢も三十路に届いた水樹奈々が、演技がダイコンだったら、とっくの昔に消えてしまっています。
水樹奈々の演技を批判している人は、いったい彼女のどれだけの演技を知っているのでしょう。今、すっかり彼女の代表作となってしまったプリキュア(花咲つぼみ)ですが、あの演技はかなりの高音を駆使している演技のために、多少癖があり、好き嫌いが出る演技ではないかと思います。しかし、あの演技はあくまであのような演技を要求されているのです。プリキュアシリーズの主人公としては、初めての「自分に自信が持てない女の子」なんですから、頼りない感じを出している分、一部の人には下手に聴こえるのでしょう。しかし、第何話かでつぼみが授業中に教科書を朗読し、その朗読が見事だったのでクラスメイトがみんな感心するシーンがありましたが、この朗読には私も感心させられました。この朗読などは実力があるからこそ、感動させられる演技ができるのです。
田村ゆかり、堀江由衣については、(失礼ながら)その水樹奈々より更に年上ですからね。しかし、堀江由衣は昨年、主要メンバーからは一歩引いて周りを固める役も多く演じ、その結果声優アワードでは助演女優賞を獲得しました。私は、この受賞は主演女優賞を取るより嬉しかったです。彼女が決して顔や声質だけで人気声優になったわけではなく、演技力も併せ持っていることが正式に認められた瞬間だったのではないかと思います。他にも、名探偵コナンとルパン三世がテレビスペシャルで(こちらは正真正銘)夢の共演を果たしたのですが、この一般の人も大注目された作品のゲストヒロイン(毛利蘭にそっくりな王女)の声を、堀江由衣が担当したのです。なお、この起用は番組が始まるまで一切公表されておらず、実力が認められて起用されたと言っても過言ではないと思われます。田村ゆかりについても、未だに主役級のキャラクターを演じています。
若い声優についても紹介しておきます。
先日も少し書きましたが、グループとしてCDを発売している「スフィア」は、若手声優4人組です。水樹奈々と比べるのはさすがにかわいそうですが、シングルを出せば1万枚くらいは売上を出します。この4人の声優としての実力は、決して他の声優に劣っていません。
中でも、戸松遥については、高校生の頃からその力を遺憾なく発揮し続けています。ツンデレキャラが多いですが、演技の幅は広く、私もDVDを買った「G.A. 芸術家アートデザインクラス」では、癒し系ボイスで知られる(神無月葵役の)能登麻美子と聞き間違えそうな癒し系ボイスを披露。昨年はあだち充アニメ「クロスゲーム」で、勝ち気なヒロイン役で起用されています。一方、メンバー最年少の寿美菜子については、「うみものがたり」の宮守夏音や「初恋限定。」の土橋りかなどでは低い声のクール(若干ダーク)なキャラを演じていたので、こういう路線で行くのかと思いきや、「けいおん!」では琴吹紬として、一転高音のお姉様キャラを演じています。演技も非常に安定しており、これで現在18歳なんですから、本当に驚きです。その他のメンバーも、同じく「けいおん!」で主人公平沢唯を演じる豊崎愛生は、オリコンで1位を取った主題歌「GO!GO!MANIAC」では、声優の特技の一つとも言える早口ソングを披露。あれを歌いきるのは声優ならではです。私もカラオケで挑戦しましたが、とても「歌」と呼べるものにはなりませんでした(笑)。最後に高垣彩陽についても、ベテラン声優も認める実力の持ち主で、次々に主役級の声を演じています。
彼女たちは、間違いなく実力を兼ね備えています。決して、顔だけで人気が出たわけではありません。
一方、顔だけでは人気アイドル声優にはなれない理由がもう一つあります。
アニメファンは、ほぼ全員が声優を応援しているように勘違いされるかもしれませんが、アニメファンの中には、「アニメは好きだけど声優には興味ない」という人が、意外といるのです。それどころか、中には声優に対する不信感を持っているアニメファンすら存在します。
彼らにとって、声優に求めることは作品を壊すことなく演じてくれることだけで、それ以外の要素は全く必要ありません。にも関わらず、演技力がダイコンの声優を起用した日には、激しい抗議が待っているだけです。
従って、演技力のない声優が多くの作品に出演し続けることは、現実的に不可能です。所属事務所のマネージメントで2,3年は持たせられるかもしれませんが、これが5年10年という話になると、それだけで何とかなる話ではありません。
ということで、「人気アイドル声優」になるためには、声優としての実力は必須条件なのです。
ただ、今回の「ユニコ」については聴いていないので何とも言えませんが、いくら上手い声優でも、役柄によっては向き不向きがあります。最近の水樹奈々の人気にあやかって、オーディションをすることなくデタラメに起用を続けた結果、結果的に水樹奈々の価値を下げることは勘弁願いたいと思います。
今日のスポニチに、水樹奈々のコンサートの記事が、芸能面に大きく載っていました。声優がこれだけ大きく取り上げられることについては嬉しいと思う一方、取り上げられ方について不安を感じるのも事実です。