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北海道機船漁業協同組合連合会
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一般社団法人北洋開発協会

韓国スケトウダラ完全養殖・人工孵化放流 費用対効果問われ幕引きに向かう

2020-11-02 14:51:08 | 日記

 

2020年11月02日

北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[韓国スケトウダラ完全養殖・人工孵化放流 費用対効果問われ幕引きに向かう]

韓国のスケトウダラ資源回復プロジェクトに基づく完全養殖・人工孵化放流事業は、その費用対効果を問われ、国民への詐欺と酷評され幕引きに向かっている。

韓国民主党議員で農林畜産食品水産委員のユン・ジェガプは、2016年に国立水産科学院が発表した、世界初のスケトウダラ完全養殖・人工孵化放流事業が、「研究のための研究」に過ぎなかったことがわかったと2020年10月26日追及した。

1970年代、年間7万トンが漁獲され、韓国の国民の魚だったスケトウダラは、近年、わずか1トンレベルまでに急減、国内需要22万トンの内20万トン近くを輸入(残り2万トン対ロシアGG操業)に依存することとなった。

2016年、韓国国立水産科学院は、世界初のスケトウダラ完全養殖に成功し、これをもとに、年間5万トンの漁獲量の確保が可能となり、2020年には、年間4,800億ウォンの輸入代替効果が期待されると発表した。

世界初のスケトウダラ完全養殖の成功による功労で、当時の国立水産科学院長ガン・ジュンソクは海洋水産部次官に栄転、研究者も、特別表彰を受けた。

しかし、年間5万トンに達するとした国立水産科学院の発表とは違って、まだスケトウダラは年間1,000トンレベルの漁獲量にとどまっている。

ユン・ジェガプは、スケトウダラの漁獲量が激減したのは、個体数の減少が原因ではなく、地球温暖化に伴う海水温の上昇により、当該資源の生息域が北上したためだと指摘した。

統計庁も、2018年の「最近50年間の表層水温上昇の比較と寒流性魚種の漁獲量の変化」というリポートにより、このような事実を発表している。

しかし、国立水産科学院では、今年2020年4月までに計120万尾の稚魚を放流するなど、スケトウダラを5万トン確保するとの大義で実験を続けている。

ユン・ジェガプは海洋水産部監査で、このような問題点を指摘し、同水産部長官ムンソンヒョクも、理屈のある指摘だと認め、改善策を用意すると回答した。

 

(関連過去情報)

 

2016年10月10日 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二

[韓国 世界初のスケトウダラ“完全養殖技術”の成功]

韓国海洋水産部(長官キム・ヨンソク)は、世界初のスケトウダラ完全養殖技術の開発に成功したと発表した。

スケトウダラの完全養殖技術は人工的に受精卵を生産・孵化させて育てた稚魚を親魚に育て再び受精卵を生産する循環システムの構築をいう。

海洋水産部は、現在、東海岸から消えたスケトウダラ資源の回復のために2014年から“スケトウダラ資源回復プロジェクト”を推進してきた。

昨年2015年、商業漁業から有償で収集した親魚から、一定数量、第1世代の人工孵化に成功していた。

今回のプロジェクトには、国立水産科学院東海水産研究所、江原道海洋深層水水産資源センター等が参画している。

海洋水産部等は、昨年2015年12月に20cmほどに成長した、人工孵化第1世代のスケトウダラの内、1万5,000尾を江原道高城沖に放流する一方で、特に200尾を選別、産卵が可能な親魚(35cm以上)に育てた。

この内の7尾が、今年2016年9月18日以降、産卵に成功し、受精卵の10万粒のうち同年10月6日現在、孵化した3万尾が0.7cm前後に成長、スケトウダラ完全養殖に成功したものである。

自然の状態のスケトウダラは約3年後に産卵が可能な程度に成熟することが知られている。

しかし、国立水産科学院東海研究所は、この期間を短縮するために、多くの試行錯誤を経て、海水の温度をスケトウダラの適正水温である10°Cに維持する一方、この温度で生存している低温性の餌生物と高度不飽和脂肪酸(EPA・DHA)を強化した高エネルギースケトウダラ専用配合飼料を開発し与えた。

その結果、スケトウダラの成熟期間を孵化後3年で約1年8ヶ月に短縮することができたとしている。

スケトウダラ人工養殖技術は、これまで日本の1世代の人工種苗生産に加えた特別な進展がなかったが、韓国が完全養殖技術の開発に世界で初めて成功し、大きな発展を遂げた。

海洋水産部次官ユンハクベは「世界初のスケトウダラ完全養殖技術の開発に成功したことで“スケトウダラ資源回復プロジェクト”の達成に一歩近づいた」と評価し、「長期的に地域漁業所得増大はもちろん、輸入代替による経済的効果と地元経済の活性化にも寄与することができるものと期待される。」と明らかにした。

海洋水産部は今後、江原道などの“スケトウダラ資源回復プロジェクト”参加機関と完全養殖技術を共有する一方、スケトウダラの種苗を専門的に生産する施設も拡充し、大量生産を推進する予定である。

また併せて、スケトウダラの生態学的研究も強化し、放流した稚魚の生存率を高める方策も模索していく計画である。

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