薬師寺を出発して、車は一路、京都の伏見方面へ。これまでに何度も行こうと計画しながら、いろいろな理由で実現できなかった、平等院に着きました。
平等院は、宇治市にある藤原氏ゆかりのお寺です。平安時代後期・11世紀につくられた浄土の世界です。山号は朝日山。宗派は17世紀以来、天台宗と浄土宗でしたが、現時点ではどの宗派にも属していません。
本尊は阿弥陀如来、開基は藤原頼道で、開山は明尊です。
鳳凰堂に、別途チケットを買って入りました。ここは1053年の建立で、浄土式庭園の阿字池の中島に東向きに建っています。本尊阿弥陀如来像のある中堂(ちゅうどう)、左右の翼廊、中堂背後の尾廊は「平等院鳳凰堂」として国宝に指定されています。
中堂は入母屋造、裳階(もこし)付きです。東側正面中央の扉を開くと、柱間の格子は本尊の頭部の高さに円窓が開いています。建物外からも本尊阿弥陀如来を拝めるようになっているわけです。
中堂の屋根上には1対の鳳凰(想像上の鳥)像が据えられていますが、現在のものは複製で、実物(国宝)は取り外し別途保管されているそうです。
本尊阿弥陀如来像を安置する須弥壇は螺鈿(らでん)や飾金具で装飾されています。周囲の扉や壁はかつて極彩色の絵画で飾られ、天井や柱にも彩色文様が施されていました。
長押(なげし)上の壁には楽器を奏で、舞いを舞う姿の供養菩薩像の浮き彫り(現存52体)があり、本尊の頭上には精巧な透かし彫りの天蓋(てんがい)が吊られています。
壁画は剥落が激しく、柱や天井の装飾は色あせ、須弥壇の螺鈿は脱落していますが、創建当時の堂内は、極楽のイメージの色濃い華麗なものであったと想像できます。
現在の10円硬貨の表には平等院鳳凰堂が、一万円紙幣の裏には鳳凰堂の屋根上の鳳凰がデザインされています。
今回で年度末の春休み、2泊3日の、京都・奈良散歩の報告は終わりますが、後日、2軒ほど立ち寄った居酒屋を紹介します。