【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

『週刊20世紀シネマ館 No.13』(1946年)講談社

2011-06-06 00:15:00 | 映画

                                 

 ひさしぶりに『週刊20世紀シネマ館』(講談社)をとりあげます。第13号です。

 「カサブランカ」の特集です。本号のメインを飾るのは以下の映画です。

・「カサブランカ」(マイケル・カーティス監督:1942年)
・「うたかたの戀」(アナトール・リトヴィック監督:1936年)
・「我が道を往く」(レオ・マッケリー監督:1944年)
・「天使」(エルンスト・ルビッチ監督、1937年)
・「疑惑の影」(アルフレッド・ヒッチコック監督、1942年)

 「カサブランカ」はこんな映画でした。ときは第二次大戦下。場所はカサブランカ。この地は、戦乱を避けてアメリカにわたる人々の寄港地でした。ここでアメリカ人リック(ハンフリー・ボガート)が経営するクラブには、さまざまな人間の往来がありました。あるビザを盗んだ男がリックを訪ねにきます。そしてビザをリックに預けます。
 そこに反ナチ運動の幹部ラズロ(ポール・ヘンリード)と妻のイルザ(イングリット・バーグマン)が現れます。イルザはかつてパリに住んでいた時代のリックの恋人でした。リックは驚きます。しかし、ふたりの別離にはある隠された事情があったことを知り、再び愛が蘇ります。リックは先のビザを・・・。
 リックの店で、ナチスの将校がドイツ国家を合唱すると、ラズロがフランス国家を歌いだすシーン、リックが次のセリフ言うシーン(「俺はこんな男だが狂った世界を黙って見ちゃいられない。そのうち君にもわかるさ。君の瞳に乾杯!」)がとくに有名ですが、この時代の状況下にもあった男女の愛に心をうたれます。
  若きバーグマンの美しさ、ボガートのカッコよさも記憶に残ります。

  バーグマン(1915年8月29日ー1982年8月29日)については、本書の「銀幕の主人公たち」で触れられていますが、いまひとつほりいさげが足りません。確かに、幼くして両親をなくし、ひとりの世界にとじこもっていながら女優になりたいと願い、運も手伝ってハリウッドで活躍し、その後、イタリアのロッセリーニ監督のもとに飛びスキャンダルとなり、波乱万丈の人生を送りました。そこまでは、本書でも書かれていますが、彼女の内面の強さ、女優の果たす役割、演劇に対する哲学に関する記述が弱いように思いました。それゆえ、最後の作品となった「秋のソナタ」でのスェーデン映画界の巨匠ベルイマン監督との確執、共演したウルマンがこの作品はもう破綻しそうと感じたほどの確執についての分析(紹介する)がないのは残念でした。

 [シネマ物語]
 まともな脚本がなくてもアカデミー脚本賞受賞の快挙うたかたの戀(こい) [監督物語]“多国籍映画人”と呼ばれた、アナトール・リトヴァク監督 我が道を往く

[俳優物語]
 時代に迎えられた、ビング・クロスビーの甘い歌声 天使 [シネマ物語]“レディ”の役づくりに苦労したディートリッヒ 疑惑の影

[監督物語]
 撮影中に母を亡くしたヒッチコックの内面を反映 1946年の名画グラフィティ シネマの神話 

 [名画の舞台] 『カサブランカ』カサブランカ
 [銀幕の主人公たち] イングリッド・バーグマン
  
 [昭和21年の日本映画] 
  「わが青春に悔なし」(黒澤明監督)


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