「日本標準産業分類」の以上の成立経緯をたどると,それは基本的にアメリカ型(国連型)のそれを下敷きにしていることがわかる。「分類の一般原則」では,「産業分類は,その国の産業構造を巧みに示すことを目的とする」と明言されているが,実際にはこれを「相当の犠牲を払わなければならない」なかで作成され,目的と実際の矛盾が露呈する。ただし,昭和22年国勢調査用産業分類で大分類「製造業」に中分類「修理業」がぶらさがっていたが,実情にあわないとの判断で,「修理業」が大分類「サービス業」の下位に位置する中分類「対事業所サービス業」に合併するという改善が行われた。これを受けて昭和25年(1950年)の国勢調査用産業分類では,「修理業」が大分類「サービス業」に移動した。
筆者は次に本稿を執筆した直近に行われた(昭和58年[1983年])「日本標準産業分類(第9次改訂)」の内容と評価を与えている。改訂内容の主なものは,(1)「一般原則」の書き換え,(2)大分類項目の配列替え,(3)大分類I「卸売業・小売業・飲食店」における「飲食店」の登場,である。筆者は「一般原則」で,産業を社会的分業の観点からとらえていること,大分類の配列で「F.製造業」の次に「電気・ガス・熱供給・水道業」と「運輸・通信業」を置いたことを評価している。この改訂では「L.サービス業」の検討にかなりのウエィトがおかれた。また,情報産業,リース業の位置付けにも議論がさかれた。「標準産業分類」の改訂は産業構造の変化や新旧産業の交替を反映するための必要な措置であるが,先走ってはならず,それらがある程度,社会的に定着した時点で行われるべきものである。本稿には「日本標準産業分類(第9次改訂)」の一般原則とその「大・中分類」の一覧がある(165-167頁)。
最後に「日本標準産業分類」の作成に利用されてきた「国際標準産業分類」の変遷についてのまとめが書かれている。それは1893年の第4回ISIにJ.ベルチヨンが提出した職業分類,それが再編されて1895年の第5回ISIに提出された産業分類にまで遡る。ベルチヨン方式の産業分類は,1855年から1923年まで主要国で用いられた(各国の産業分類が172-173頁に掲載されている。あわせて工業分類の利用状況が174-175頁に示されている)。戦後は「国際標準産業分類」が1949年10月に国連統計局で発刊されたものが基準になっている。ここで採用された諸原則は,1958年の第1次改訂版,1968年の第2次改訂版でも変わっていない(両改定による大・中分類は177-180頁に掲載されている)。しかし,細かく見ると,第2次改訂では大分類3.Manufacturingの中分類が第1次改訂の大分類6.CommerceからFinancing, Insurance,Real Estate and Business Serviciesを独立させて大分類8.をたてたこと,そして大分類6.CommerceをWholesale and Retail Trade and Restaurants and Hotels と改称したことに特徴がある。第1次改訂の大分類8.を大分類9.Commmunity,Social and Personal Servicesと改称し,その中分類は行政と防衛,教育,医療,娯楽,文化などからなり,異質なものが一つの大分類9.に一括されている。
筆者は続く第3次改訂では広義のサービス業の再編が問題になると予想している。このことを含めて,日本標準産業分類の改訂が問題になる。その時の根本問題は,再編の分類基準をどのようにするかである。改訂は事業所の生産する商品である財貨とサービスの種類(使用価値)に着目した標識が基準とされるべきである。しかも資本主義経済社会の分類を表象する産業分類であるためには,資本の活動とそれ以外の活動を区別したものでなければならない。ところが国連統計委員会の動きはそうではなく,SNAとISICそしてSITCなどの経済分類との体系的整合性の追及という,体系の形式性に関心の焦点があつまっている。筆者はこれを遺憾としている。(終わり)
筆者は次に本稿を執筆した直近に行われた(昭和58年[1983年])「日本標準産業分類(第9次改訂)」の内容と評価を与えている。改訂内容の主なものは,(1)「一般原則」の書き換え,(2)大分類項目の配列替え,(3)大分類I「卸売業・小売業・飲食店」における「飲食店」の登場,である。筆者は「一般原則」で,産業を社会的分業の観点からとらえていること,大分類の配列で「F.製造業」の次に「電気・ガス・熱供給・水道業」と「運輸・通信業」を置いたことを評価している。この改訂では「L.サービス業」の検討にかなりのウエィトがおかれた。また,情報産業,リース業の位置付けにも議論がさかれた。「標準産業分類」の改訂は産業構造の変化や新旧産業の交替を反映するための必要な措置であるが,先走ってはならず,それらがある程度,社会的に定着した時点で行われるべきものである。本稿には「日本標準産業分類(第9次改訂)」の一般原則とその「大・中分類」の一覧がある(165-167頁)。
最後に「日本標準産業分類」の作成に利用されてきた「国際標準産業分類」の変遷についてのまとめが書かれている。それは1893年の第4回ISIにJ.ベルチヨンが提出した職業分類,それが再編されて1895年の第5回ISIに提出された産業分類にまで遡る。ベルチヨン方式の産業分類は,1855年から1923年まで主要国で用いられた(各国の産業分類が172-173頁に掲載されている。あわせて工業分類の利用状況が174-175頁に示されている)。戦後は「国際標準産業分類」が1949年10月に国連統計局で発刊されたものが基準になっている。ここで採用された諸原則は,1958年の第1次改訂版,1968年の第2次改訂版でも変わっていない(両改定による大・中分類は177-180頁に掲載されている)。しかし,細かく見ると,第2次改訂では大分類3.Manufacturingの中分類が第1次改訂の大分類6.CommerceからFinancing, Insurance,Real Estate and Business Serviciesを独立させて大分類8.をたてたこと,そして大分類6.CommerceをWholesale and Retail Trade and Restaurants and Hotels と改称したことに特徴がある。第1次改訂の大分類8.を大分類9.Commmunity,Social and Personal Servicesと改称し,その中分類は行政と防衛,教育,医療,娯楽,文化などからなり,異質なものが一つの大分類9.に一括されている。
筆者は続く第3次改訂では広義のサービス業の再編が問題になると予想している。このことを含めて,日本標準産業分類の改訂が問題になる。その時の根本問題は,再編の分類基準をどのようにするかである。改訂は事業所の生産する商品である財貨とサービスの種類(使用価値)に着目した標識が基準とされるべきである。しかも資本主義経済社会の分類を表象する産業分類であるためには,資本の活動とそれ以外の活動を区別したものでなければならない。ところが国連統計委員会の動きはそうではなく,SNAとISICそしてSITCなどの経済分類との体系的整合性の追及という,体系の形式性に関心の焦点があつまっている。筆者はこれを遺憾としている。(終わり)








