ビールのことが細大もらさず書いてあります。前半は「そもそもビールとは何か」、後半は「世界のビールを訪ね歩く」。以下、本書を読んで学んだことを整理します。
ビールとは何かを知るには、それはどのようにつくられるかがわかればよいのです。ビールは大麦、酵母、ホップ、水があれば自分で作ることができます。それで孤島で暮らしたロビンソー・クルーソーの話で始まります(彼がそこでビールを造るのは容易でなかったのです)。
大麦を水につけ発芽させた麦芽には、アミラーゼ(デンプンを糖に分解する酵素)、たんぱく質を分解し活性化させる酵素が蓄積されます。これを乾かし、酵母を投入して発酵させればビールができます。
常温で発酵するのが上面発酵酵母、冷温で発酵するのが下面発酵酵母、前者からできるのがエール、後者からできるのがラガーです。ビールの歴史はエールビールのそれでしたが、160年ほど前からラガーが台頭し、いまではラガーがほとんどです。
ラガーの登場とともにビールは琥珀色になりました(それまでは黒色が普通)。こうなるにいたったのには、アンモニア式冷凍機の開発(1874年)がおおきかったようです。
ビールは原料が麦(大麦)なので、パン(かつては大麦、小麦、燕麦)と親戚です。大麦を煮てつくった粥をよりおいしく食べるために発酵させたさいにできるうわずみの液体がビールです。
麦を発酵させるという点では、ビールもパンも同じ行程をたどります。したがってかつてはビールは滋養のために、毎度の食事に欠かせないものでした。
本書は後半で各国のビールの紹介になります。イギリス、アイルランド、ベルギー、ドイツ、チェコ、その他(オーストリア、スイス、オランダ、フランス、アメリカ etc.)です。
その種類の多いこと。ワインの種類は多くてとても覚えきれませんが、ビールも全く同様です。奥が深いです。深すぎます。
この認識は、日本のビールがいかに画一化されているかのを確認でもありました。
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