四谷に「オテル・ドゥ・ミクニ」のフレンチの店を開き、いまやこの分野ではおしもおされぬ第一人者の三国シェフがフレンチの奥義、哲学を、自身が神様として敬愛する5人(正確には6人?)のフランス料理人(フレルディ・ジラルデ、トロワグロ兄弟、ポール・エーベルラン、アラン・シャベル、ジャン・ドラベーヌから学んだものをベースに語った本。
著者は北海道の増毛で漁師の子として生まれ、札幌のグランドグランドホテルで料理人の丁稚奉公。次いで東京の帝国ホテルで修行するなかで村上料理長に見込まれ本場のパリへ。ここでフレンチの神様たち、三つ星シェフと出会い、それぞれに個性的な一流シェフにフレンチの真髄を学ぶ。
三国の「奇跡の一皿」はいい素材を使うことを基本に、毎月一回新たなメニューの作成、伝統(オリジナル)を継承しつつ新たな料理への挑戦によって裏付けられる。「ソース」へのこだわり、「肉を焼くとはどういうことか」、「香草」の活かし方、「酸味」の加減など、ミクニの秘密が開陳される。しかし、それらも「料理人が最低限守らなければならないのは、『食べる人を楽しませ、満足してもらえるもの』をつくることだ。料理はこれに尽きるのだ」という言、「すべてに『もてなす心』に」という姿勢に収れんされる。
最後に料理人としての人生哲学が綴られている。それらは、人と同じことをしたら終わり、失敗(食中毒)を踏まえての再スタート、子供たちの味覚を育てる、「食」はどこへ行くのか、料理は時代とともに呼吸している、第5章の各小見出しに続く文章のなかに刻みこまれている。
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