いい韓国映画を紹介します
「子猫をお願い(고양이를 부탁해))」(2001年)
監督,脚本:チョン・ジェウン,撮影: チェ・ヨンファン
出演: ぺ・ドゥナ,イ・ヨウォン,オク・ジヨン,他。
女子高校を卒業後,別々の世界に踏み出した仲良し5人組が,不安や悩みを抱えながら懸命に生きていく姿をみずみずしい感性で描いた佳作です。
韓国では猫を飼う人は少ないとか。この映画で,子猫はある種、マイノリティーでありながら,行動は気ままな女性たちを象徴しているかのようです。夢を持ってはいるものの実力だけが評価される現実社会に直面して挫けそうな女性たち。人生は苛酷だが,若さの特権は,希望をまだ口にできるということです。
ポイントは4つ。ひとつはテーマです。韓国の現代の若い女性の考え方,生活,夢・希望・悩み・心の葛藤が,誇張なく,自然に描かれ,それらを知るには得がたい作品になっています。
第2はケレン見なく,表現の過剰さも誇張もないので,監督の計算は隅々まで効いていて,それだけにストーリー全体にも,映像にも無駄がなく,この映画が長編処女作という監督の力量に感心させられました。
第3に,若い人の必須のコミュニケーション手段である携帯電話が効果的に使われています。またタイプライターを叩くとハングル文字が机の側面に打ち出されてくるシーンがあり,工夫が随所に見られます。
最後に,登場する俳優の表情,演技のすばらしさです。監督の計算,工夫に見事に応え,映画全体に独特の緊張感を与えることに成功しています。
舞台はインチョン。港の埠頭。満面の笑顔,はちきれるエネルギー,無邪気にはしゃぎながら5人の女子高生がカメラにおさまろうとしています。ヘジュ,テヒ,ジヨン,ピリュとオンジョの5人。彼女たちは,女子商業高校時代の本当に仲のいい友達でした。
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