ヴァイオリニストである著者が自らの演奏経験(人生)を振り返って、核になるもの、アイデンティティを語っています。
薬害で視覚障害となり、8歳からヴァイオリンを始めた川畠さん。眼が見えないハンディゆえに、「聴く」ことの感覚は研ぎ澄まされ、暗譜能力がより確かなものになりました。
「聴く」という意味は、自分の心のなかに湧きあがる音楽を聴くということであり、耳を澄ますということです。音楽をとおして、演奏をとおして自分を「川畠成道語」で、素直にだすというのが信条のようです。
ひとことで言えばそうなのですが、自分が本当に表現したいものは何か、それをどのように伝えればよいのか、これは意外と大変な仕事のようです。
その川畠さんの音楽の原点はバッハであるといいます。ベートーヴェン、モーツァルトもバッハからの距離で理解するようにしているそうです。
そして好きな演奏家として、クライスラー、イザイ、ミルシュテインの演奏家の名前をあげています。
最近、結婚されたのですが、結婚によって演奏が大人っぽくなった、と言われることもあるそうです。
本書の構成は以下のとおりです。
・序章:世界には目を閉じた方がわかることもある
・第1章:自分を知る
・第2章:クラシック音楽について
・第3章:世界と自分をつなぐ道具
・第4章:聞こえてくる
・第5章:旅の音
・第6章:気楽な音楽
・第7章:聞く力
・終章:わたしの『四季』