【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

松岡正剛『日本流』朝日新聞社、2000年

2007-03-26 23:59:12 | 地理/風土/気象/文化
松岡正剛『日本流』朝日新聞社、2000年。

 このプログのリンクにもはってある、「知の巨人」松岡さんの本。
 
 童謡に始まって,童謡で終わる稀有な日本文化論です。三木露風,北原白秋,野口雨情,西条八十らによる大正の童謡運動に、フライジャルな(傷つきやすく壊れやすい)日本独自の感覚を認め,歌を忘れたが,まだ十分に思い出せるはずの「多様で一途」なこの国の伝統を模索しています。

 話は多岐にわたります。日本語,職人,着物,祭りの話,「見立て」「数奇」「ウツ」「スサビ」「アワセ」の奥にある方法をとりだす話,等々。

 とにかく「一対の語り口」を蘇らせること(p.56),「キワとかハシを見抜く」こと(p.63),「ツメ,ツクリ,モノ,メアテ」の意味,「モドキ,フリ」の文化,「間と型」の妙味など,日本流を考える素材が満載です。

 登場人物も多様(夏目漱石,永井荷風などはもとより三宅雪嶺,新渡戸稲造,網野善彦,戸坂潤,三木清,そして中村吉右衛門,井上陽水など),このように多くの有能な日本人がかつていたし,そして現在もいるのです。

 文化の多様な様相を編集していく著者の力量と斬新としかいいようのない切り口は,ただものではありません。