昨秋、仕事で、沖縄に飛びました。2回目の沖縄でした、いろいろカルチャーショックを受けました。その話はまたいずれ・・・。
この地で、紹介されて、手にした本を紹介します。書名は奥野修司『ナツコー沖縄蜜貿易の女王』(平凡社、2005年)。
この地で、紹介されて、手にした本を紹介します。書名は奥野修司『ナツコー沖縄蜜貿易の女王』(平凡社、2005年)。
以下はその内容です。
戦後、1950年10月までの5年間以上、沖縄では対外貿易が禁止されていました。すさんだ生活と飢餓のヒステリー状態のなかで自然発生的に始まったのが密貿易です。
米軍キャンプから盗んだ物資、旧日本軍が遺棄した古タイヤ、生ゴムなど、さらには薬莢や非鉄金属を舟に積み、台湾、香港で売りさばき、台湾、香港から砂糖、米、お茶、ペニシリンを持ち帰り、これらを本土で取引し、莫大な利益をあげた輩がたくさんいたのです。
金城夏子、すなわち「ナツコ」は、その中心人物でした。東シナ海、太平洋をわがもの顔で行き交ったこの小柄な女性は、抜群の情報収集能力をもち、大の男をアゴで使うカリスマ性ももち、開幸丸を操って暗躍したそうです。
「ナツコ」は「女親分」の異名もあり、貧しくとも、輝いていた当時の沖縄の象徴的存在であったようです。
米軍政府から密貿易の頭目とにらまれた彼女は、密貿易の終焉が近づくに及んで、逮捕され、釈放されますが、頭の皮膚ガンに冒され、38歳の若さでこの世をさりました。
この本は、そうしたナツコをめぐる沖縄密貿易時代の状況を、ヒアリングによる地道な取材で集めた資料をもとに、まとめられたものです。取材の開始から上辞まで12年、しかし最初の5,6年は仕事がほとんど進まなかったと書かれています(p.379)。
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞をダブル受賞し、話題になったそうですが、知りませんでした。読んでよかった本です。