森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「MINAMATA ミナマタ」

2021-10-15 02:03:25 | 映画

ジョニー・デップの作品は、出来る限り映画館で見たいなと思うのは、ずっと昔からのファンである私の小さな決まり事かもしれません。

先日、地震の翌日に見に行ったら、映画館が臨時休館になっていて見られなかったのが、この作品でした。

タイトルからして大真面目で固いお話かなと思い、眠くなってしまったらどうしようかとしっかり睡眠を取って行こうと思っていました。しかしいつものこの深夜族習慣は、そうそう変えられるものではなく、しっかり睡眠をとったかは不明のまま、10月14日に見に行きました。

確かに大真面目で固いお話でした。だからと言って、眠くなるなんてとんでもない事でした。

 

ジョニー・デップは、あの海賊の映画でブレイクする前からのファンでしたが、近頃聞こえてくるものは私生活の醜聞。しかもDV疑惑まで。真実の分からない人の話で、自分の中の「好き」を消したくはナイナと思ってはいましたが、なんとなく辛い話だなと思っていたのです。

しかし、私は思いました。

俳優は、「スキャンダルは仕事で消せ!!」と。

思わず私は心の中で言いました。

「ジョニー、ありがとう。こんなに心に残る映画を私たちに見せてくれて。」

 

写真で水俣(Minamata )を、世界に知らしめた写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子の物語。そしてこれは、水俣で被害に遭われながら、決して諦めなかった人々の物語だと思いました。

その日、家に来た中学生に質問しました。

「日本の4大公害って何 ? 」

「えーとえ~と。」

そう、中学生にとってそれは歴史上の暗記項目になってしまいました。

その一つ一つに、どれだけの苦しみや戦いがあったのか、ただ言葉としての暗記項目で無く、子供たちに知って欲しいと思いました。

今は無理な事かも知れませんが、学校単位や学年単位の映画会で「アース」とか選んで見るという事もあると思います。そんな映画会の機会があったら、この作品を選んで欲しいと思いました。

もちろん私だって、その人たちの本当の苦しみが分かるなどと言えるわけではありません。

ただ、日本の公害裁判は、1971年から1973年にかけて立て続けに患者側の全面勝訴に終わりました。

その時に、私たちは被害者の方々の映像をニュースなどで見て、それがどんなものかだったのかだけは、知る事が出来たのです。

 

劇中でも対チッソの活動家であるヤマザキ(真田広之)が、「この戦いには意味がある。」と言っていましたが、私も、今まで思った事もなかった事でしたが、この人たちの戦いがあったからこそ、大きな公害被害は、カウント4で止まっているのではないかと思えたのでした。

 

だけどEDでは、世界中で今も苦しむ公害被害が映し出され、そこには福島の原発の事が含まれていて、胸が痛かったです。

チッソの社長がしたppmの話は、たぶんこの国の誰かも思っているのかもしれません。

ほんの僅かなら害はない。被害にあって騒ぐ人たちは社会の中のわずかなppmと同じ。

そんな考えを持つ者が、間違えて何かのリーダーになってしまう国が楽園になる事は、あり得ない事だと思います。

そんな事を言っていた彼ですが、ユージンの写真がライフに掲載されて、世界に発信されると、「払わないわけにはいかないな。」と呟きます。その時、彼はそっと涙を拭います。

負けたからではないと思いました。人間としての彼が写真を見て、心を揺さぶられたのだと感じました。

 

家に帰ってから、いろいろな特集記事などを読みました。

不思議な事に子役が外人に見えてなんでかなと思っていたのですが、ロケ地が日本の昔の風景に近いという事で、セルビアで主に撮影され、現地の日本人の人たちの多くがエキストラで参加してくれたのだそうです。ちょっと納得しました。

また「入浴する智子と母」の写真は、20年間封印されていました。

そのいきさつは、次にリンクした2017年の記事に詳しく書かれています。

「写真はときには物を言う」――水俣を世界に伝えた米写真家の軌跡

ところがこの映画では、その封印が解かれているのです。

それに関しては、ウキペデァを参考にしました。

『アイリーンは映画を見た後で「この写真を大切にするなら今何をするべきかと考えた時、『本物の写真を見せることだ』という結論」に達したと述べ、再刊する写真集で「入浴する智子と母」を含めた、上村智子の写った写真を掲載する意向を示した。』

 

良い映画でした。

お勧め出来ます。

 

アイリーン役の美波さんはキレイな人だと思いました。

ユージンの良き理解者、ライフの編集長にビル・ナイ。

「柳生一族の陰謀」に出てた頃、若々しくて可愛らしかった真田さん。未来に、裏方も含めてこのようなお仕事をする人だなんて、誰が思った事でしょう。

 

 

 

 

 


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