槍ヶ岳(4)

2010年08月09日 | 登山

 16時10分、殺生ヒュッテに到着した。受付を済ませると2階に案内された。南側の部屋で、窓からは大喰岳の岩壁と天狗原が見下ろせた。4人部屋に3人である。他の山小屋がどうかは知らないが、3ヶ月前に泊まった燕山荘に較べればふとんが大きくて天井が高く伸び伸びとできた。

 夕食は17時半からだった。食堂に揃ったのは7人、2つのテーブルに4人と3人が座った。味噌汁は最後によそったためか具が皆無だった。目の前に座っている外人さんのお椀を見るとたっぷり具が入っている。出身はどちらですかと聞くと、アメリカだとおっしゃる。やはり日米安保は破棄すべきだと思った。

 この外人さん、日本に来て30年間になるとのこと。ワタシ社長、仕事は部下がするからワタシいつも山にいるね、などと自慢げに話をする。やっぱりコノヤローだった。食後に外人さんがワンカップを頼んだので我々も熱燗を頼んだ。これが血管に染み入って眠けを誘発してしまった。2階に上がると即座に眠ってしまった。夜中に屋根を叩く雨音で目が覚めたがまたすぐに眠った。

 翌朝は二人に起こされた。窓からは朝焼けの岩壁と雪渓が見えた。30分早く起きていればカメラを抱えて外へ出ていたけれど、シャッターチャンスの時間帯は過ぎていた。それに槍を写すには近すぎて良い場所ではなかった。5時半から朝食が始まり、6時ちょうどに小屋を出た。500m先に見えている槍ヶ岳山荘までのつづれ折りの登りが非常にきつかった。朝一番は暖機運転のできる緩い道がいい。槍ヶ岳山荘に泊まっていた団体さんがたくさん下りてくる。殺生ヒュッテも頑張って欲しい。泊まり客の少ない山小屋では安眠が得られることを我々はしっかりと学んでいた。

 槍ヶ岳山荘のベンチで一休みしてから穂先へ向かった。最初のはしごが気持ち悪かった。友人が、人工物は信用できなくて恐いと言っていたが、その通りかもしれない。ふたつ目、みっつ目と次第に信用できるようになった。途中で老夫婦を抜かせてもらったが、他には登る人がいなかった。

 槍ヶ岳の山頂3180mに立った。思いのほか感動が薄かった。山頂から見る景色がのっぺらとしていた。2時間前の朝焼け時であれば全く違った印象を受けていたかもしれない。北鎌を覗き込んで、昨夕見た殺生ヒュッテの貼り紙を思い出した。10日前に北鎌へひとりで出かけ行方不明になっておられる人がいる。此処から北鎌の恐れ多い場所は見えないけれど、北鎌の何処かに眠っておられるのだろう。(帰宅後に確認すると未だに見つかっていない。捜索の経過が詳細に記載されていて、家族や友人たちの苦悩がうかがえる) 

 山頂からの下りは、人数こそ少なかったが前のグループに恐がりがいたので随分と待たされた。

  殺生ヒュッテ正面


  上を見れば、槍岳山荘から下る蟻さんの群れ


  巨大ホテル


  北鎌




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3 コメント

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Unknown (アコモ)
2010-08-10 16:09:40
青空に槍が映えますね!
下界は暑いですが、北アルプスとはいいですねぇ~
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Unknown (霧の山)
2010-08-10 21:31:39
今年は特に暑いらしいです。
山の中にいたのはわずか2日間でしたが
余韻に浸るために1週間がかりで登山記を書いてます。
北アルプスは3泊4日くらいでゆっくりと行きたいですね。
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Unknown (アコモ)
2010-08-25 17:57:00
北アルプスは3泊4日くらいでゆっくりと行きたいですねぇ~
でも実体は、前穂日帰りとか忙しく登っています・・・
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