切れ切れ爺さんの徒然撮影&日記

主に寺院や神社等を中心に、文化財の撮影と紹介。
時に世の中の不条理への思いを発言していく。

蛇姫池の祠 京都府乙訓郡大山崎町・・・・たたりなのか?

2022-02-19 23:15:03 | 撮影



蛇姫池の祠

 阪急京都線大山崎駅、あるいは JR京都線山崎駅から線路沿いに北東へ約300メートルのところにある。最初この名前の池を知った時に、あまりにも妙な名前だったので非常に気にはなっていた。大山崎町へは何度も訪れている。私自身最初の赴任地でもあったので町内はくまなく、当時は自転車で走り回っていた。あまりにも坂が多いので途中で仕方なく運転免許をとって、途中から車にはなったが、それなりに土地柄はよく知っている。
 山崎聖天や天王山の話については生徒達からもよく聞いていたし、おなじみの名前となっている。しかし蛇姫池については全く聞いたこともないし、つい最近初めて知った次第だ。山崎町内のお寺には桜も紅葉も見事な場所が多くて、シーズンには必ず撮影に行く。しかし今回はこの池のほとりに祠があるということで行ってみることにした。

 車は山崎聖天に上がる最中に駐車場があるので、そこに置いて後は歩いて行く。数百メートルだ。池はすぐ横を通る東海道本線よりもかなり高い位置にある。一目見てかなり昔に造営された人工池ということが分かる。それが江戸時代なのか、さらにもっと前なのか、時期についてはわからないが、おそらく農業や生活用水として活用するために造営されたものと思われる。池の畔にかなり小さな祠が見えた。柵があってそれを乗り越えて祠に近づく。
 一般的に考えれば、昔の人が大切な水源としてこの池に何事もないように祈るために、池の守り神のような役割のために祠を造ったのではないかと思えるが、やはり蛇姫池という名称が気になる。とりあえず写真を撮って帰宅してから様々な資料を調べてみた。
 所有している書物には何一つ記載はなかったが、ネットであれこれ調べるといくつかの話が出てきた。

 
 
 その昔、おそらく江戸時代だろうか。このあたり一帯の人達が大事に守っていたこの池の中で、若い女性の遺体が見つかった。事故なのか自殺なのか事情は全くわからないと言う。その後この近くで様々な不幸な出来事が起こったと言う。あまりに立て続けに起こるので占い師に頼んで見てもらったところ、池で亡くなった若い娘の霊が蛇の姿となって彷徨っていると言う。そこで近所の人々はその霊を慰めるために池の畔に小さな祠を建て、お地蔵さんを安置し祀った。そうすると不幸が起こらなくなってきた。そして人々はずっと大事に祠を守り続け、いつしか蛇姫という名がついたと言うのだ。
 ひとつの伝説上の話で、どこまでが本当かどうかは分からない。しかし昔は天災であれ人災であれ、悲しい出来事が起こると何らかの怨霊の仕業だとか、誰かの霊がのり移ったからだと言った話は各地によくある。ここもそうなんだろう。たぶん200年かあるいはそれ以上前かの話だろう。

 

 本能寺の変の後、山崎の戦いが起こるが、まさにこの場所において激しい戦いが繰り広げられる。その際に負傷した武士たちが喉を潤すためにこの池の水を飲んで、大勢死んでいったと言う話もある。この話が本当ならば池は名もないただのため池であり、またその頃から存在したということになる。
 あるいは幕末期における尊王攘夷派と幕府側の動乱の中で起こった蛤御門の変(禁門の変)での戦いのことだ。長州藩の勢力が一時京都から撤退した後、再度幕府側と決戦を挑むために京都及びその周辺で各地に陣地を作った。そのうちの一箇所がここ大山崎にもあった。一方幕府が京都守護職の会津藩主が真っ向からこれに挑み激しい戦いとなった。その結果長州側は大きな損害を出し敗北していく。その際やはり負傷した長州の兵士たちがこの池の水を飲んで大勢死んでいったという話がある。おそらくこの辺りではすでに、蛇姫池という名称はつけられていたのではないかと考えられる。



 いずれにしろこの池にはある意味、亡くなって行った者の「祟り」「呪い」「恨み」のようなものがあると付近の人たちは思ったのではないか。それらを鎮めるために祠を建て地蔵を安置して、祈ることによって亡くなっていった人々の霊を弔い、平穏な生活を取り戻そうとしたのではないかと考えてもいいように思える。
 しかしやはり何と言っても「蛇姫池」という名の意味はあまりにも大きいと思える。単なる伝説かどうかは別にして、このように名付けられたのにはそれなりに根拠があったはずだ。ちなみに、祠の正式名はわからない。無いのかもしれない。


 
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