kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

新たなる感想ブログ

2008年12月09日 18時29分47秒 | 小説の感想と批評
何は無くとも新たな感想人@kirekoです。

>今回ご紹介するのは

笑ってる人だって心は孤独

というブログ。
ふうらい屋さん経由で知った(ふうらい屋さんの感想ブログ探索能力の凄さに驚きつつ)のだが、どうやら手軽な短編より、長編を取り扱って紹介、更新しているようだ。
パッと見たところ、kirekoとは違い、かなり温和な言い方で感想を述べている。
長編メインなので、他の感想人の読み比べなどは出来ないと思うが、陰日向にひっそりと埋もれた名作を掘り出してくれる可能性は、短編よりも期待できると思う。

個人的にエールを送りたいと思うのは、やはり長編の感想を行うということだろう。
以前kirekoも幾つか取り上げたが、長編というのは短編と違って、感想を言うのに色んな要素を考慮する必要があるので、感想人としての直感が冴えている人でも、話の全体面を捉えながら感想を言うのは、かなり難しいことだと思う。
しかも、いろんな面で難儀の多いgooブログで感想ブログをやろうとする、その負け戦前提で戦おうとする男気溢れる意気込みは、新鮮でいて強烈だ。

手軽さメインの短編に少し飽きてきた方は、覗いてみては如何だろうか?


ところでブログ名↓のサブタイトルを見てると、どうしても裸の大将を思い浮かべてしまう。
僕はおにぎりさえあれば良いんだなぁ、っていうアレね。
コメント (6)
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まさかり担いだサラリーマン

2008年12月09日 17時52分45秒 | 拍手レスとか
アマデウス拍手カウンター@kirekoです。

>拍手レス

18:41 お言葉に甘えて、お名前お借りしてやりたい放題やってしまいました。
書く前に直接許可を得るべきだったのですが。すみませんです。

でも楽しく書きました。読んでいただけるならとっても嬉しいです。
kirekoさんのこのシリーズ(すでに3作あることになるんですね、すごい)も楽しみにしています! by ニメ


いやいや、許可なんかとらんでもいいので、好き勝手やってくれるのが一番ですよ。
そのほうが本人も脊髄反射で物書いちゃうほど喜びますし。
というより、個人的には続編の催促をしたいぐらいですね。
物語の主人公に自分(の分身)が使われるなんて事は、当たり前ですが今まで無かったので、思いついたら、是非書いてくださいね。
いや、というより書いてください。書いてくださいよ。書いてってば。書けない?書けるでしょ?書け!書かないと泣いちゃうぞ!
と、自分が思いついた「お世話になった人の名前つかって悦に浸るシリーズ」は進まず、横道にそれるような与太話ばっかしててずびばぜん。


22:53 オフレコの方

久々に、かなり棘のある酷評でしたが、読んだ後、素直に思った事を書いてますんで、その辺は申し訳ないという気持ちと、これがkirekoという人間だという事にしておいてくれるとありがたいです。
フォローするつもりは無いんですが、読み手が読むジャンルについて詳しかったり、知識が深かったり、浅かったりするのも、読んだ時の感想とリアクションに関係してくると思うんですよ。
なんでもそうなんですが、人間は初めて見たものの印象が強く残ると言いますし、例えばジャンル、話、書き方、それぞれが同じレベルの物を読んでも、何か一つ飛びぬける物がないと、一番最初に読んだ物のほうが良く書かれてしまうわけです。
過去あった作品と見比べるという行為は、こと感想において、やってはいけない事だと思うんです。でも、どうしても人間だから、先入観というか、そういう物が入ってしまうと考えると、書き手が話の大本ごと変えるか、それが変えられないのなら、後は文章の小技や表現への努力で埋めていく必要があるんだと思います。
自分で言ってても、イマイチ上手く伝えられない事だと思いますが、ようするに、どんなに上手い表現や綺麗な語句を使った完璧な作品でも、肌に合わなければ読めないし、その逆に、話が陳腐で不完全で表現も描写も上手く感じられない物でも、興味さえ沸けば読むというのが読者という生き物だと思うので、その辺を考慮して作品を創るというのも、書き手として必要な事なのでは無いでしょうか。
偉そうなこと言ってますが、自分でも実践できてないので、考えるより、まず書けって話だと思います。


23:06
>「ブログ書いてる人は、読者から見たら、書いたものがその人全てだと思われるのか?」
>という疑問が沸いたので、自分の過去記事を数件振り返ってみると
>ちょっと背筋が凍る思いがした。
>現実でこんな傲慢キャラ居たら、恐ろしく悪辣なイジメにあいそうだなッ……!!

引用長いけど
いじめられている 自 覚 な い ん で す か ?

なんてね by kirihito

23:07 いじめてキャラ変わったらつまらないじゃないですかぁ^^ by kirihito

可愛がられているという自覚はあるが、
いじめられているという自覚はない。
というか、良いにしろ悪いにしろ、誰かにイジってもらえるだけでありがたいと、本当に思うわけなんだな。
話をしたがるっていうのは、ようするに、一人になるのが……怖いのさ。孤独になってしまうのが何よりも怖い、寂しがり屋というわけ。
なんてね。

っていうか、そんなにイジめてキャラになった覚えがないんだが。
ふふ、情報操作か、君もなかなかやるようになった。

23:14 前置はさておき。

ココ最近はなんだか、ブログ主同士でキャラをいじりあっているばかりな気がしてお腹一杯。

腕を見せ合うのは当人同士で面白いかもしれないけど、読んでる人によっては感情移入絶対完全に不可能なキャラなのが玉に瑕。

短編もいいけど、数話構成の中編も書いてくんないかなと思う今日この頃ですよ。
キレ子殿の好きなハードボイルドな硝煙の匂う戦場の物語とか。 by kirihito

23:17 まさかキレ子殿とあろうものがイチャイチャパラダイスな現状で腑抜けちゃいませんよね。

キャッキャウフフな世界に浸かりきっちゃったんですか? by kirihito


おい!貴様!俺の前でその言葉、もう一度言ってみろ!!
皆と俺のロシアンルーレットみたいに刺激的な駆け引きに嫉妬する気持ちはわかるが、そこに水を差して、関係を引き裂こうとするのは断じて許せん!
皆の名誉と、この俺の純情のために、ここで貴様を手打ちにしてくれ……
(言った瞬間、キリヒトの鉄の爪で引き裂かれ、鉄腕でバラバラにされるkireko)

そんな本気と冗談が混じった話はさておき、
確かに言われてみれば、最近シリーズもの書いてないね。
やりたい構想はあるんだけど、書くとなるとまた別次元になっちゃうよね。
うーん、まあそう言われたなら、折を見て挑戦してみっか。

23:18 と、なんとなく人のBlogを現状打破させたくなって見た。

のるかのらないかはキレ子殿の自由です。
だってココはkireko殿の楽園ですものね。 by kirihito
23:23 ぶっちゃけ、今現在短編以外書いてます? by kirihito


楽園か、上手い事を言う。
だが楽園は、ほんの一つたがが外れるだけで、一気に地獄と化してしまう危険性を孕んでいる。
(どうでもいいけど、なんか廊下越しの隣の部屋からすごいニンニク臭がしてきたんだけど、まじ腹減った)

短編以外、暇を見つけてちょくちょく書いてるんだけどね。
納得できない事だらけで、短編に逃げてしまっているわけだ。

23:24 自分は昔の黒歴史ノートを見て、

ガ━━━(゜Д゜;)━( ゜Д)━(  ゜)━(   )━(゜;  )━(Д゜; )━(゜Д゜;)━━━ン!!!!!

な気分で、なんかしてます。

もう、私には書けないわ。 by kirihito


自分に出来ない事を人に押し付けるとは……!!
しっかし書く前から諦めてどうするの。
書いてみて初めて見えてくるものもあるでしょうが。
才能は皆平等なのよ。努力という才能はね。
なんてね。

てか、拍手ありがとな。おかげで気合入ったぜ。


11:36 まさかの続編……!! おもしろかったです、報われないツバメくんがもう愛しくて愛しくて(笑
ちゃんとリアルを踏まえた(?)展開にニヤニヤでした><
これ、ネタ的には長編恋愛モノですよね。ツバメとニメがくっつく、またはニメとカナメ、もしくはツバメとカナメがくっつくまでの。読者として見たみたいような気もします。  by 二面相


読んでくれてどうもです。
恋愛物にありがちな、奇妙な三角関係を狙おうかなと思って書いてました。
で、今回はリアルを踏まえたというか、設定を引き継ぎつつ、新キャラ(リアル恋敵?)を用意してみました。
名前だした本人からは「キャラが違う!私はこうなのよ!もっとこう!」と鼻息混じりに言われちまいましたが、二面相君がそう言ってくれるなら、安心ですね。
で、言われて気付いたんですが、ツバメとカナメというのは盲点でした。
しかし、関係を真のトライアングルにするならありですね。
お忙しいのを顧みず、本人に続編依頼をしてきたんで、後でメモして渡しておこうと思います。

って、報われないツバメが愛しくて愛しくて……!?
おいおい俺の聞き間違いか!?
それは、もしかして、期待しちゃっていいのかな?
ふふ、まずは、ご両親に挨拶しとかないとね。
あとは、この書類に二面相君が判を押すだけだ。

11:39 悪ふざけの鍋に始まり、猟奇ホラー風味のアレ、キリ番なアレ、そしてコレ。この短期間であっという間の大発展。なんだかすごい楽しんじゃったような気がします。
ごちそうさまでしたー!>< by 二面相


いやいや、こちらこそ勝手に続編を名乗っちゃってすいませんでした。
楽しんでいただけたようで、幸いです。
つーわけで、またニメとツバメの話で一本お願いしますね。
ふっふっふ。


12:25 「手早く」「急ごしらえ」と言ってしまう軽いノリで、
深夜の疲れ切ったアタクシに、息抜きじゃなく度肝を抜かせた訳ですね。orz
ジャブになってません。
カウンターノックアウトで、その後の行動が半時間ほどフリーズしました。orz
何回読み返させるんだよっつー…。

しかし、何故カナメを殿方設定にしなかったのだ(悔)。
もう、あちこちでそれを吠えまくってやるぅっ!!
(くそっ! くそっ!! 何かもっそい悔しい!! 同性だからフラグが立てられない!!!!!)
↑ご乱心の模様 by Kaname


二面相君の話を読んでから、書き始めて2時間ぐらいでポッと書けちゃった話ですから、細かい部分なんか目も当てられない話で、急ごしらえ感は自分でも否めないと思います。
とりあえず、そんなものでも読み返してもらって、あざーっす!

あと、誰が性転換をしてまで、余計なフラグなどたてさせるものかよーッ!
ただでさえリアルでリードを許しているのに、話の中でまでツバメがお預けくらった関係じゃ可哀想でしょう!
せめてもの反抗で、何とか首の皮一枚分のフラグを繋ぎとめておくのが、kireko流でござーい。
人はそれを見苦しいと言うらしいですがね。
……う、うるさいやーい!


■誰かにイジられて喜ぶのはMのたしなみ、でも俺はMじゃないWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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短編:ニメとツバメと、あと一人

2008年12月09日 01時47分53秒 | 短編
『ニメとツバメと、あと一人』


「どうしてニメさんは、あんな事を言ったんだろう」
 二十歳を迎えた近野ツバメは、鼻に微かな彼女の残り香を感じながら、安アパートの一角で、ただ悶々としていた。
 ツバメと歳は同じ、背格好はツバメより小さい、だけど何故か、自分より手慣れた大人を感じさせる、そんな魅力的な女性。思い人、坂下ニメへの抗えない恋愛感情は増すばかり。
(……どうにか、してくれる?)
 誘惑されて理性が飛び、ただ己の熱情に駆られて、ニメとしてしまった初めてのキス。
 そして、その後の『大人の階段』手前の行動を思い出せば、沸騰するほど頬が熱くなり、何とも言えない満たされた気持ちになる。
 だが、そんなツバメにも一つ、疑問があった。
「あの時ハト時計がならなかったら、ニメさんは本当に僕を受け入れてくれたんだろうか。ううん、それより、ニメさんが言った、デートの相手って……」
 あの時。
 大胆なニメの甘い言葉にそそのかされて、ツバメの理性のブレーキは壊れていた。
 ツバメが感情に任せて行動に移ろうとした時、ニメは部屋にあったハト時計の音を聞いて、幾つかの素っ気無い言葉を残し、期待に胸膨らますツバメを置いて、そそくさと部屋を出て行ったのだ。
 ツバメの思い人。他ならぬニメの方から誘ってきたはずなのに、ツバメは彼女の言った「デートの相手」が気になっていた。その時、始まるはずだった、互いの愛欲を確認する行為を前に、肩透かしを食らったような他の男の存在を意味する、「デート」という言葉。
 そしてニメが部屋を出る前に言った、最後の言葉。
「嘘つきだけど、好き。って、どういう事なんだ……」
 ツバメは明らかに混乱していた。
 思い返せば、まだ唇に残る小悪魔のぬくもりと、微かに香る彼女の匂いを頼りに、ツバメはベッドの上に寝転びながら、ありもしない妄想を始めた。

 実はニメは、ああ見えて純潔で、最期までするのが怖くなって、あんな嘘を言ったのでは。
 実はニメは、ああ見えて雰囲気を大事にするタイプで、ハト時計に雰囲気をぶち壊されたのを怒っているのでは。
 実はニメは、ああ見えて純情で、結婚するまでそういう行為は親に禁止されているとかなんじゃ。
 ……実はニメは、ああ見えて性悪で、他の男との約束の前に、俺をからかって面白がっていたんじゃ。 

「考えれば考えるほど嫌な気持ちだ。こんな事なら、あんな事無かった方が良かった」
 ツバメはそう言ったが、脳裏には彼女のぬくもりと匂いが鮮明に焼きついており、消そうと思っても消えない記憶の一部は、眼を閉じれば明確に見えてくる。初めてマジマジと見たニメの顔、直に触れたニメの肌、耳元で聞こえた誘うようなニメの声。ただ上ずった声をあげ、終始オドオドしていたツバメとは違い、ニメのそれはどれも甘美で、刺激的。
 ニメという女性の全てを愛してしまった、ツバメという愚かな男は、彼女へ悶々とした気持ちを覚えながらも、何をして良いのかわからず、今また愚かな行動に及ぶ。
 携帯は無造作にニメの番号……ではなく、一学年上の先輩、カナメにかけられていた。


――――

「お、やっと来たのねツバメ君」
「す、すいません。夜分遅くに呼びつけちゃって」
「良いの良いの。相方がぶっ倒れちゃって、ちょうど暇してたとこなのよ。で、話したいことって何? 前に言ってた好きな子がどうとかって話?」
「ええ、まあ……」
 次の日が休講ということもあり、カナメは今日も自分のエスコート役を連れて、気に入りのショットバーに入店していた。
 どんなに高いアルコール度数を誇る酒も、水のようにケロッと飲むので有名な酒豪、学年一の女傑と謳われるカナメの相手をし、酔いつぶれてしまったエスコート役の男性を尻目に、ツバメはクリーム色のコートを椅子にかけ、カナメの隣に座った。
 そして、今日ニメがとった行動について、今自分が思っている事について、取り留めのない相談をニ、三、繰り返した。
「あー、ニメちゃん? んー、あの子は学年上の男どもの話でも、あんまり良い噂は聞かないわね」
 新たに運ばれてきたモスコミュールを間髪いれずに飲み干すと、カナメは似合いの眼鏡をクイッと持ち上げ、虚ろでぼやけた焦点を隣に座るツバメに向ける。
「で、ツバメ君は恋をしちゃったニメちゃんにお預けくらって、悶々としちゃってるという訳ね。おもに下半身が」
「かっ、下半身って! カナメさんには、僕がそんな男に見えますか!」
 気恥ずかしさからか、ツバメは慌てて椅子から背を離し、カナメに向かって否定の言葉を投げかけた。
 だが、カナメはまるで動じていない。むしろ、運ばれてきた新しいカクテルを手に取り、顔を真っ赤にするツバメを前にして、笑っている。
「はっはっは、見える見える。もう少しでニメちゃんと最期までデキたのに、悔しいって顔に書いてあるよ」
「な、何言ってるんですか! カナメさんは知ってるでしょ。僕が恋愛一つまともにした事がないって、だから僕はニメさんのとった行動について、知りたいですよ! か、下半身とか……そういうのは抜きで!」
「やれやれ、そんな事言われてもね。説得力ないよなぁ」
「何がですか! 僕は純粋にニメさんのことが……」
「だからさ。ニメちゃんに、期待しちゃってるんでしょ。それ」
 少し酒の入ったツバメの語調は、いつになく強かったが、カナメが指でニ回ツバメの下半身のある箇所を指すと、ツバメは何かを隠すように慌てて椅子に座り、恥ずかしさの余りアワアワと口ごもったあげく、そのまま笑顔を浮かべてカクテルを煽るカナメの顔も見ず、押し黙った。
 カナメに話をするうちに、あの時ニメとしたことを思い出して、ある部分が思いがけず『隆起』してしまっていたのだ。
 いくら良く知る先輩のカナメだからと言って、女性に男の生理現象を指摘されるのは、この上もなく恥ずかしい。顔を真っ赤にし恥ずかしさを堪えるツバメ、それをカクテルを煽りながらケタケタと笑うカナメ。
 深い夜に入るショットバーのカウンターで、隣同士の対照比。
 口を先に開いたのは、やはりカナメだった。
「ウブねえ。あの子に……ニメちゃんに、そんなに期待しちゃったわけ?」
「……」
 ツバメは頭の中で、台形の面積の求め方を繰り返し唱えて、下半身の一刻も早い納まりを念じながら、カナメの呟きを耳に入れていく。
「まっ、確かに可愛い子だとは思うけどね。やめといたほうが良いと思うよ」
「……なんでですか」
 ツバメは、呪文を唱えながら質問する。
 カナメは、カクテルグラスの遠くに映る酒瓶を、眼鏡の奥の細目で覗きながら、言い難そうに、こう口ずさんだ。
「そりゃあんた。なんていうか、その……。ツバメ君みたいなウブな子には、不釣合いだよ。あの子は特に」
 その時のカナメの歯切れの悪い言葉を聞いて、ツバメは一つ思い出した。
 そう、部屋を出る時にニメが言った、他の男の存在を感じさせた、デートの事だ。
「も、もしかして……」
 ツバメの怪訝そうな表情を察しながら、まだカクテルグラス越しに、遠くを見つめるカナメ。
「知ってるんですか? ニメさんが……彼女が……付き合ってる人の事」
 カナメはツバメの声を聞く前に、見つめていたカクテルグラスを、己の口の中へと煽った。
 気付けばツバメが来てから、彼女が注文したカクテルも、六杯目を数えていた。
「カナメさん……知ってるんですね。ニメさんが、デートするって言ってた人の事」
「知ってどうすんのさ。ウブなツバメ君には、少し刺激が強すぎる内容なんだよ?」
 口ぶりからして、カナメは確実に知っている風だ。
 だからこそ、ツバメは気になってしまう。
「それに、知ったらツバメ君も私も不幸になる。お互いに損するのなんて、馬鹿らしいじゃない?」
「……」
 ツバメは押し黙りながらも、心は憤慨していた。
 誰だ。
 愛しいニメの心を奪って、僕から遠ざけるのは一体誰だ。
 あの顔を、あの肌を、あの声を、あの心を、自由に奪って弄んで、ただ一人ニメ自身から愛する事を許された、その男は誰だ。
 カナメの煮え切らない言葉を聞けば聞くほど、ツバメの心は、まだ顔をあわせたこともない、ニメを奪った男への憎しみと嫉妬に支配されていく。
「言ってくださいよカナメさん。僕は、覚悟してますから。言ってくださいよ」
 ツバメの口ぶりは、いつになく饒舌で、強い。
 気迫の内から禍々しい殺意さえ感じさせる、冷徹なる意思こそが、今、愛を失いかけたツバメを支えている、何か。
「うーん、私の口からは言い難いんだけどねえ……」
 と、迫るツバメの勢いに負け、カナメが言おうとした、その時であった。

バァン!!

「あっ! カナメお姉さま、こんなとこに居たのね! もう探したんだから!」
 ショットバーの扉を、ぶち破らんがばかりの勢いで入店してきたのは、コートを翻し、マフラーを首に巻きつけ、細い足に力強くブーツを履きこんだ、渦中の人物、坂下ニメ、その人だった。
「に、ニメさん!?」
「ありゃりゃ。見つかっちゃったわ」
「お姉さまっ! 私を寒空の下に置いて、何処か行くなんて、酷いです!」
 まさかのニメの登場にさっきまでの迫力は何処吹く風で驚くツバメ、しまったと頭を抱えるカナメ、そして泣きそうな顔で怒り、カナメの席へと近づいてくるニメ。
「でも、そんなカナメお姉さまの冷たいところも、好きーっ」
 二メの泣き顔は、頭を抱えるカナメの姿を見て一変し、つぶらな眼を閉じて、カナメの背を抱く。
 カナメは、背中に当たる二メの胸板を感じながら、ただ横で呆然とするツバメを見て、バツが悪そうに、こう言った。
「まあ、そういうわけなんだ。ごめんね。ツバメ君」
「えっ!?」
「カナメお姉さまー今度こそデートしてくださいねー!」
「えっ!?」
 ツバメは、それぞれが投げかける言葉の情報量の多さに、何処から突っ込んで良いかわからなくなった。
 目の前には、今まで見たこともない、子どものようにカナメにせっつく二メと、眼鏡の内にクールさを秘めるカナメの、ニメへのニヒルな視線、そこに隠されたこそばゆい笑顔。
 超高速に情報処理を続けていたツバメは、それを見て何かを察した。
 ツバメを誘惑したニメが、出て行く時に言ったデートの相手はカナメで、ツバメはニメに、ニメはカナメに、恋をしていたという事。
 全ての謎が解けて、全ての疑問が消えたその時、ショットバーに、男の奇声があがった。

「ええええっ!? そういうことーーーっ!?」

 近野ツバメ、二十歳。
 彼の苦労は、まだまだまだ続く。



=======================

>後書き

この話の大本は、これ
個人的な感想よりも、返答代わりに短編書いたほうが早い……いや、
仕返しのカウンタージャブ代わりになって調度良い
と、思いまして、ちょっと手早く仕上げた次第でござい。
続編と言いつつも、完全kirekoテイストになっているので、
設定読み間違えとかあったら、教えてくれるとありがたい。

以上。
寝るわよ!


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