きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「地域活性化の一般法則」

2008-05-27 21:18:04 | Weblog

  朝、県庁の若手の方がまちづくり事業のご説明に来られる。
  話の中で、事業採択の委員について広く人材を探しているとの話が。

  切歯扼腕。
  もちろん、まちづくりについては、昨年12月にシンポジウムを開催した実績からも明らかなように、宮城大学の山田晴義先生(地域連携センター長)らがすばらしい取組をされている。

  だが、自治体の問題を本当に解決するためには、講義だけでは足りない。

  General Organizer (どうやって問題解決するのかという全体像を提示できる人)
  Specific Adviser  (具体的・専門的なアドバイスができる人)
  Moderator/Facilitator (プロジェクトの進行・調整役)

  それぞれの助言役がいないと、せっかくの自治体職員、商工会関係者、市民の情熱も「空回り」「企画倒れ」になってしまう。

  宮城大学に力あれど、役人出身の講師がいるわけではない。どうやったら役所組織が動くのか、どうやって予算をつけるのか、どう人員を配置するのか、中央官庁とのパイプや、販売促進のためのチャンネル(JETROや百貨店等とのコネ)、技術的なアドバイス(産業技術総合研究所や農業・食品産業技術総合研究機構等とのコネ)でいえば、圧倒的にウチの方が強いはず。大学院の1年生を鍛えれば、2年になった頃にはファシリテーターもできるだろう。GSMフルセットの資源があるはずなのに。いや、ないとすればそれこそ問題だ。

  まちづくりや地域活性化を本気でやるのなら、

 ①いかに地元の人(役所+企業+市民)に意欲をもたせることができるのか
 ②どうやって議論だけでなく具体的な活動につなげるのか
 ③どうやって活動を具体的な成果(問題解決)につなげるのか

 の各段階についてのアドバイスが必要である。コンサルタント会社やシンクタンクに頼んでも、彼らは美しい計画は書けるかも知れないが、一緒に走って成果がでるまでつきあってくれるわけではない。具体的な成果が出ないと、意欲もしぼんでしまう。この「意欲→活動→成果→意欲」のサイクルを回し続けることこそ、地域活性化の一般法則なのに。

  公共政策大学院がこうした地域の課題を解決できる「ハブ」(自転車の車輪のスポークの中心)となれるか。こんどは大学院の「意欲」が問われる。