KIRAKU KUBOTA

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minimal chairs    Jean Prouve

2011-06-16 08:30:24 | 01.CHAIRS
1

今、これほど

価値の高められているデザイナーも珍しいのではないでしょうか?

Jean Prouve (1901-1984, France)
ジャンプルーヴェ

ちょっと(いや、かなり)こだわりすぎるような

アートや音楽、ファッション、建築関係者の人たちの間で

引っ張りだこです。。。。

なぜこれほどまで人気があるのでしょうか???

この椅子 

standard chair (1934/50年)
スタンダードチェア

だって10年前くらいは

あまり目にすることはありませんでしたが
(イームズなどのミッドセンチュリー系が全盛期でしたよね。)

今ではあちらこちらの雑誌などでも普通に目にするようになりました。

復刻されて安く変えるようになったというのもその理由かと

思いますが、

それだけでは無い気がしますね。

(ジャン プルーヴェについて詳しく知りたい方は

どうぞ各自調べてくださいね。ごめんなさい。)

かれのすばらしい構造家としての

確固たる力学知識

むだのない造形感覚

ならぶもののない職人気質。

すべてがバランスよくかみ合って生まれたものだと思います。

プルーヴェというひとは

もちろん皆に使われて愛される

普遍的なものを望んだのでありましょうが

彼自身はけっして八方美人のような人ではなくて

究極的に超個人的で超偏執的(へんしつてき)

なアーティストだったような気がします。


ありふれた

鉄と木という素材
をつかって

究極の形をもった何かに到達するということ。

できあがった作品の目的は

椅子という機能をもったものであったかもしれませんが

かれが本当に到達したかったものは

椅子というものを超えた

究極の 

愛すべきかたち.......  愛すべきなにか...........

ということだったと私は強く強くおもいます。


そのとてつもなく強い思いが

凝縮されて作品のなかに溢れています。

それが

彼のオリジナル作品を

いくら出してでも欲しいというコレクターが

あとをたたない

一番の理由だと思います。


こういう所は彫刻家の

ジャンアルプブランクーシカルダー

などに共通することだと思いますね。


じーっと見てると

かわいい生き物に見えてきませんか???

1_6
ANTONY(アントニー)
(この椅子は個人的に大好きです。どのアングルから見ても愛せます。。。)

もちろん

超超超超超超超頑丈(なげても大丈夫な気がします............やらないでね。)

というのも大きな理由でしょうね。

復刻版なら手の届く値段です。

みなさんまず一脚手に入れてみては!???

きっと愛すべき家族になるでしょう。

リプロダクト品ならかなりお安いですよ。

クオリティーは知りませんけど...............

保証はできませんよ。














狂気という名の椅子

2011-06-09 10:43:35 | 01.CHAIRS
1

この椅子。

スパッとさっぱりしてますでしょ。

初めて

この椅子に出会ったのは

この1000chairs という本のなかです。


1000chairs1


10年くらい前だったでしょうか.........

まだ 椅子というものについてはほとんど知らなくて
(いまでもそうたいしてしりませんが...........)

イームズサーリネンネルソンなど

いわゆるミッドセンチュリー系の家具ぐらいしか知りませんでしたし、
(ちょうどこの頃、中古ミッドセンチュリー系の家具の輸入がさかんでしたよね。)

別にさほど興味もありませんでした。

なせそんな中で chairs というシリーズを描こうと思ったのかよくわかりませんが 

とにかく1000chairs という本をみて

こんなにも多種多彩な椅子があるのだと

そこには自分が知らなかった世界が広がっていました。

なんなんでしょう...........私は椅子を見るとわくわくするんです。

その椅子に座るのを想像して 空間を見たり 自然を見たり

本を読んだり 空想したり..............

外観のデザインや素材

どの国のどの場所で作られて そこにはデザイナーのどういう思想があったのか?

どういうシチュエーションでその椅子が最も生きるのか???
..............

椅子というものは(椅子だけにかぎりませんが.......)

さまざまなことが折り重なった芸術作品だと思っています。

人生を豊かにしてくれる最も大切なものの一つだと認識しています。

世界のセレブリティーたちも椅子を大切にしていますよね。

それだけ生活の中で大切な位置を占めているんだと思います。

とくにBrad Pitt さんは椅子好きで有名(もちろん建築大好き)ですよね。

ところでアンジーは一体どの椅子に座っているんだろうか???気になります。

彼は最初の給料で椅子を買い

又次の仕事のあとも椅子を買い

又次も椅子を買ったらしいです............

将来は椅子の美術館をつくりたいとまで思っているようですよ。

日本だと中田さんやAPE(エイプ)のNIGOさん(彼は最初イームズにはまっていましたけれど次第にプルーヴェにのめり込んでいますよね。)あたりかな。

プルーヴェについては私もとてもひかれるところがあるので

後々、紹介したいと思います。

彼らは皆 椅子好きを公言しているので椅子マニアとして知られていますが

まだまだ沢山いるとおもいますよ。 椅子セレブたち..........

ごちゃごちゃいってしまいました。すいません。

まあ、ぺらぺらと1000chairsをめくっていたんです。

ああっ なんか知りませんが この椅子が目に焼き付いたのを覚えています。

ただ単純に きれいで かっこいいな とでも思ったのだと思います。




2


これが 我が家の椅子。

ちょっと物置になってますけれど..........

座るにはケツがいたいし

背もたれは一見

キラッとしていて美しく

いがいと重厚なつくりなんですが

もたれるとなんか危うい...........

やはりその名の通り危ない椅子な気がしますね。

Follia(1934年) イタリア語で狂気と言う意味だそうです。
(ちなみに狂気という名はこの椅子の復刻時に付けられたらしいですよ。
 じゃあ、その前はなんて名前だったんでしょうか..............)

作者は

Giuseppe Terragni (ジュゼッぺテラーニ)

彼はイタリアのファシズム体制のための建築を沢山作っているんですね。

その中でも 

カサ・デル・ファッショ(Casa del Fascio/1932)
(日本語でファシストの家と言う意味。そのままです。)

は有名です。

かれは最終的にファシズムの終焉とともに自殺してしまいます。

ああ!!!

やはり危ない椅子ですね。

それを好きになっている私も

やはり あぶないのか!!!!!




minimal chair II

2011-06-04 20:55:00 | 01.CHAIRS
椅子というものは

いつから椅子と呼ばれたかどうかはわかりませんが

人類が誕生して以来 もう何万年にも渡って

道具として使用して来たものだと思います.........おそらく。

その辺の岩だって椅子としての機能を果たしたでしょうし

木箱一つをとってもそこに座れば十分椅子として使用できたでしょう.........

椅子の起源に思いを馳せれば

いろいろなことが想像できるかと思います。

そういう議論はさておきまして

造形的に特化して考えると

ある意味

椅子の歴史と言うのは

曲線と直線のせめぎ合いであっただろうと思います。

古代であればそのままの枝や石を使ったでありましょうから

当然できあがったものは自然の線がそのまま出ますよね。

あたりまえのことですね。

工業が発達した時代に入り

直線的な材料(木材や鉄など)が手に入るようになれば

当然それらを簡単に組み合わせて

椅子を作ろうと思いますよね。

その当時は簡単な直線的な椅子が増えたであろうとおもいます。

けれども

そんな直線をただ組み合わせただけでは

ダセーよ と思う芸術家肌の人たちもあらわれて

装飾を施したり

樹を滑らかに削ることで

曲線の美しさを競ったりして

19世紀後半のアールヌーボーのような椅子などが誕生したりしてますね。

まあいろいろありますけれど

要は座るという椅子文化は

人間にとって 切っても切れない

とても重要な文化なのでありますのよ。

そりゃー

人生ずっと立って過ごす訳には

いかないでしょ!????

みなさま。

とごちゃごちゃ うるさいことを言ってしまいましたが

今回は

そんな椅子の中でも

20世紀以降の

直線の美しさにこだわった

ミニマルな椅子たちを紹介しますね。

まずは

自分の

独断と偏見でいちばん

欲しいなと思っているこの2脚

です。


2


まずはこの椅子

ステルトマンチェア
(1963年デザイン リートフェルト最晩年のデザインです。75歳でこのデザイン!!!)

Gerrit Thomas Rietveld (1888~1964)
ヘリット・トーマス・リートフェルト

の揺るぎない名作でございます。

彼の残した建築作品

シュレーダー邸は世界的に有名ですよね。

造形的に

もうこれ以上いじりようがありませんね。

ただの直線的な角材の組み合わせですが

どの角度から見ても

美しく さまざまな表情をみせてくれます。

一生つきあってもおそらく

飽きることはない気がします........

ああ、身近において使いたいですね。

こんなだだの木の椅子ぐらいなんだ!! 

とおもうひともいるかもしれませんが

世界中の

ファッションやデザイン関係の

プロフェッショナルなひとたちの間では

とてつもない人気を誇ります。

オリジナルはもうえらい高値となってしまい

有名オークションで落とす場合

数百万ぐらいはいるんじゃないでしょうか!????

クオリティーがいいと

それいじょうかも!???

まあ引っ張りだこな椅子なんです。

みんなそれだけ出してでもほしいんです。

いまでは

リプロダクト品もでております。

まあ ありがたいはなしではありますが

それでも一脚30万以上致します。

ああ恐るべし...........

輪島塗でもほどこして

美しい漆黒にしたら

もっと もっと

かっこいいでしょうねえ。


1_2

そして

これも上と同じ作者

リートフェルトの作品です。

ベルリンチェア
(1923年のデザイン もう100年近く前の作品です.............
 リートフェルト35歳のデザインですよ。)

といいます。

みなさん 

デ・ステイル (De Stijl)
(興味のある方はここをクリックして読んでくださいね。すいません........)

というデザイン運動をご存知でしょうか?
(もう100年近く前の運動ですが..............)

アートやファッション、デザインをかじっている人なら

聞いたことがあるかと思います。

どうやらこの椅子は

そのデ・スティルの理論を平面的な造形から

3次元的に変換した革新的な意味を持っているようですよ。

なんじゃそりゃ!?!?

まあここでは

そういう難しいことは抜きにしましょうね。

とにかく この椅子

直線の配置や全体のバランスが

このうえなく考えられているとおもいます。
(ほんとかよ!!!)

異なる大きさの平面材を組み合わせているので

動きがあります。

しかしそれがうるさくならず

全体的に静かに凛とたたずんでいるんです。

椅子と言うより

彫刻作品ですよね。

とにかく

一度見たら忘れない椅子です。

みなさん もし機会がありましたら

座ってみてくださいね。

きっと

座り心地は 最悪です。

だってクッションないんだもの!!!


リートフェルトのシュレーダー邸(1924年設計)の動画です。
色の三原色と直線のオンパレードです。

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YouTube: Schröder House - GTRietveld



こんな家にすめるか!!!!!

というのが大多数の意見でしょうけれども

こんなアバンギャルドなものを

作らせてくれた施主がいたんですねえ。

恐るべし 

未亡人トゥルース・シュレーダー・シュラーダーさん。


この建築

2000年に世界遺産になったんですよ。

作った当時はボロクソ言われたでしょうねえ。

オランダのユトレヒト市内にあります。

みなさんぜひ 行ってみてね。


minimal chair I

2011-06-03 08:51:18 | 01.CHAIRS
Jonasbohlin5

前回、紹介致しました

Jonas Bohlin (ヨナス ボーリン)

のミニマルな椅子。

決して座りごこちが

優先ではないんですよね。

Jonasbohlin6


その造形をみて

背筋が伸び

凛とした気持ちで

また仕事に

望めるのです。

この椅子で

くつろぐことを望んではいけませんね。

背中痛すぎ

尻の肉がないと

骨盤削れます。

次回は

そんな直線的にミニマルな椅子を

少し紹介してみたいと思います。

そこには

歴代のデザイナーの野心的な試みが詰まっているんですよ!!!


Jonas Bohlin's chair

2011-06-02 08:44:38 | 01.CHAIRS
Jonasbohlin1

今やスウェーデンを代表とするデザイナー

Jonas Bohlin (ヨナスボーリン?or ボリーン!?日本語の記載はまちまちですね。)

デザインのチェアです。

何年のデザインだったかな!???

もう数十年前ですね。

私の生まれる前だったかもしれません。(調べたら1981年でした......そんな古くなかったですね。)

今はもう、結構洒落たデザインなどを手がけ

商業的な作品が多い気がしますが

まだ、彼が若い時のこのデザイン

ストイックすぎてまるっきし売れなかったみたいですね。

Donald Judd (ドナルドジャッド)

などのミニマルアート全盛期などもあって

Donaldjudd1

彼自身かなりストイックで野心的なこの作品を発表したんです。

しかも

そのときは 

座面と背もたれが

現場制作のコンクリート作り

重すぎて持ち運びできなかったみたいですね。

誰も買わなかったらしい..........

おお!!ヨナス!!!

Jonasbohlin2

後ろからのアングルです。

どうですか!?

いいスタイルでしょ!?

自分のアトリエで使っているのは

その復刻品です。

座面と背もたれは木製で

肘掛けが鉄製です。

色は淡い赤色だったんですが

気に入らなくて

白く塗ってしまいました...........



Jonasbohlin3

飽きなくて

何も余計なものがついてなくて

気に入っています......

もたれると

背中痛いですけどね。

もたれる椅子じゃーないんです。

ピシッとしましょうピシッと

Jonasbohlin4

久しぶりにダイニングに持ってきましたよ。

この直線が

強烈なんですね。

椅子の歴史をみても

ここまでミニマルな椅子

なかなか見当たりませんよ。