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ファーウェイ逮捕当日に自殺していた習氏“参謀” 中国「千人計画」と関係か(河添恵子氏が緊急寄稿)

2018-12-16 | 中国の歴史・中国情勢
2018.12.15

習主席は、米国による「中国の軍事・ハイテク覇権阻止」の動きに追い詰められつつある(ロイター)

中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の副会長兼最高財務責任者(CFO)、孟晩舟容疑者が、米国の要請でカナダ当局に逮捕されたことを受け、中国の「過剰反応」が目立っている。カナダの元外交官に続き、同国の実業家まで中国当局が拘束したのだ。こうしたなか、ニューヨークや香港を拠点とする反中国共産党系メディアは、孟容疑者逮捕と同日(1日)、著名な中国人物理学者が自殺したことに注目している。ドナルド・トランプ米政権が進める「知的財産泥棒狩り」との関係とは。中国事情に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏が緊急寄稿した。

「深く懸念している」

カナダのクリスティア・フリーランド外相は12日の記者会見で、中国で拘束されたカナダ人元外交官、マイケル・コブリグ氏とは別のカナダ人男性1人が、中国当局の聴取を受けているとの情報を明らかにした。

男性はカナダ人実業家のマイケル・スパバ氏で、中国・丹東を拠点に、北朝鮮観光や文化交流事業を手がけていた。米バスケットボール協会(NBA)の元人気選手、デニス・ロッドマン氏の北朝鮮訪問や、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との会見にも関わったという。
中国外務省も翌13日、国家安全に危害を与える行為に関わった疑いで、中国当局がカナダ人2人を拘束していることを認めた。ファーウェイCFO、孟容疑者の逮捕を受けた、新たな「報復」の可能性とともに、孟容疑者の「米国移送阻止」のために圧力をかける姿勢が鮮明になった。

中国製スマートフォンや情報通信機器については、今年2月の米上院情報委員会で、FBI(連邦捜査局)やCIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)、DIA(国防情報局)の高官が、米国人の安全を脅かすという見方を示した。

米国は、中国政府による、海外の中国人研究者や技術者を破格の待遇で呼び寄せるプログラム「千人計画」も危険視している。米国防総省は6月、米下院軍事委員会の公聴会で、「(千人計画の)目的は、米国の知的財産を獲得することにある」と警告した。FBIは「千人計画」で選ばれた人物を3年前から捜査対象としており、今年も次々に逮捕者が出ている。

反中国共産党の華人らが「千人計画=入獄計画」と揶揄(やゆ)するほどだ。

この「千人計画」との関係が指摘されているのが、孟容疑者逮捕と同じ日に亡くなった、米スタンフォード大学の張首晟(ジャン・ショウチャン)教授だ。

1963年に中国・上海で生まれた張氏は、15歳で上海の名門・復旦大学に入学し、ドイツ留学後、ニューヨーク州立大学で物理学博士号を取得した。33歳で米スタンフォード大学の教授となり、トポロジカル絶縁体と量子スピンホール効果で画期的成果を挙げ、「将来のノーベル賞候補」といわれた。今月1日、カリフォルニア州サンフランシスコ市の大学内で命を絶ったという。

大学のサイトには、同僚の《(張氏は)土曜日の晩、突然亡くなりました。これは壊滅的な損失です》といった弔辞や、家族の《著名な科学者・思想家として知られていたが、私たちは愛する夫と父親として彼を知り、愛していました》というメッセージが掲載されていた。家族は、張氏が心の病と戦っていたことも明らかにしている。

ただ、亡くなった日と、「千人計画」との関係などから、ニューヨークや香港の中国系メディアは大騒ぎとなっている。

張氏は、スタンフォード大学教授とともに、中国の習近平国家主席の母校である北京・清華大学の客員教授や、江沢民元国家主席の長男が学長を務める上海科技大学の特任教授も務めていたという。米当局が危険視する「千人計画に選ばれていた」という報道や、「実は、千人計画の発案者の一人」という見方もある。

張氏が単なる研究者と思えないのは、習氏が副主席時代に創設したとされる「国家一等功」賞に6年ほど前、香港「フェニックステレビ」の劉長楽会長兼CEOや、中国IT最大手「アリババグループ(阿里巴巴集団)」のジャック・マー(馬雲)会長、中国IT企業「テンセント(騰訊)」のポニー・マー(馬化騰)CEO、ファーウェイ創業者の任正非CEOらとともに表彰されたという情報が伝わっていることだ。

前出の4企業は、習氏の掲げる「偉大なる中華民族の復興」を支える屋台骨とされ、人民解放軍に近い。ファーウェイの任氏は、カナダ当局に逮捕された孟容疑者の父親で、人民解放軍出身である。張氏は、米中戦争の“被害者”なのか。

米国や同盟国が、中国による「軍事・ハイテク覇権」の阻止に乗り出したなか、世界覇権を目指す習政権の足元が大きくグラついていることだけは明らかである。

河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)など。

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